新築移転でパワーアップ 要請に応えられる病院に
10月1日に、移転オープンしたばかりの桃泉園北本病院。1981年の開業から、地域と歩み、37年の時を刻んできた。齋藤豊彦院長に、新病院の概要や新設病棟など、取り組みについて聞いた。
―まずは病院の概要を。
2011年の東日本大震災の際、旧病院も一部被害を受けました。その教訓もあり、新病院は、耐震構造を採用し、自家発電システムも導入しています。
廊下の幅を広くしたほか、療養病院としての環境を向上させるため、居室スペースも拡張。患者さんが寝たままで入浴が可能な特殊浴槽も各病室に備えました。
もともと当院は1981年に市内初の病院として開業しました。旧建物はここから歩いて2分ほどのところに立地。開院当初は苦戦したそうですが、徐々に患者さんが増加。他施設からの紹介などもあって私が赴任したころには近隣だけでなく、かなり遠方からも入院の希望があって、ほぼ満床の状態でした。
2015年9月にはリハビリテーション科を新設し、翌10月に回復期リハビリテーション病棟を立ち上げました。2016年8月には入院専門透析施設20床をオープン。このころから新病院建設の話が持ち上がりました。
現在の診療科目は内科、リハビリテーション科、泌尿器科、消化器科、循環器科、整形外科、人工透析内科。病院構成は医療療養病棟128床、回復リハビリテーション病棟60床、地域包括ケア病床8床の計196床です。院内には北本通所リハビリセンターも併設オープンしました。
スタッフは常勤医師6人、非常勤医師22人、正・準看護師80人、リハビリ専門職の理学療法士ら22人、薬剤師4人、臨床工学技士6人、事務員17人など計246人です。
―新たにオープンした北本通所リハビリセンターについて聞かせてください。
当院から退院した患者さんを中心に利用いただいています。送迎サービスもあり、患者さんから非常に喜ばれています。2〜3時間のリハビリを定期的に実施することで、ご本人も驚くほど回復されます。
診療報酬の点数には含まれませんが、専門のスタッフが体の硬直や可動域をみてから、理学療法士にその状況を伝え、リハビリをスタートさせているのが、この施設の特徴。これによって、患者さんに痛みなどの負担がなく効果的なリハビリを実施できます。最新の機器や設備も取り入れています。
―入院専門透析施設や回復期リハ病棟、地域包括ケア病床については。
透析施設の機器は、最新のI-HDF(間歇補充型血液透析濾過)。ベッドは20床で、週に80人の患者さんに対応可能です。地域の開業医の先生のところに通院して透析を受けていた患者さんが高齢になり、通うことが難しくなるケースが増えてきています。施設などからの「外来透析は可能か」といった問い合わせも多くなっています。入院透析をメインに、今後はそういった患者さんへの対応も視野に入れていこうと考えています。
地域包括ケア病床の運用はこの秋にスタートしました。さまざまな患者さんにも対応できる柔軟性が、この病床の良さです。地域から患者さんを受け入れ、在宅復帰に向けてリハビリなどを提供する。回復期リハビリ病床と透析ベッドが同じ施設内にあるという利便性も強みに変えて、地域の方々を支えていくつもりです。
さらに、救急も強化していく方針です。市からは1次、2次救急への対応を打診されています。当院のモットーは、私たちが対応できる範囲内の患者さんは「絶対に断らない」こと。当院は新築移転によって、再スタートを切ったばかりです。これから要請にしっかりと応えられる体制を整えていきたいと思っています。
医療法人社団博翔会 桃泉園北本病院
埼玉県北本市深井3-75
TEL:048-543-1011(代表)
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