仕事を通して"幸せ"になれる病院を
呼吸器外科や心臓血管外科の開設、センター化の推進など、改革を進めてきた新松戸中央総合病院の松尾亮太院長。就任から6年。意欲あるスタッフが集い、院内が活性化。同院は、高度急性期、急性期病院として信頼を高めている。
―病院の強みだと感じている点を聞かせてください。
333床と中規模で、地域の方からすると「身近な病院」。一方で、診療自体は高度急性期と急性期に特化し、がん診療や心臓血管手術など、その領域で高いレベルの医療を提供しているという自負があります。
2012年の院長就任後、患者さんが受診すべき「窓口」に迷わないようにとセンター化を推し進めてきました。消化器病センター、血液浄化センター、心臓血管センターがあります。
このセンター化は、スタッフ教育にとっても有効でした。例えば、「消化器病センター」であれば、内科的なことから外科的なことまで、共通部分も含めて、すべてを網羅した消化器系のエキスパートのスタッフを育てることが可能です。
診療科間のコミュニケーションも密になりました。画像診断など、悩むことがあれば、いつでもコンサルトを仰ぐことができるし、ミーティングを開くこともできる。同じ患者さんを診て、仲間として一緒に最良の方法を模索することができる。それが大きなメリットだと感じています。
43歳で院長になってから6年。必死で取り組んでいるうちに、やる気のあるスタッフが少しずつ、集まってきてくれました。当院のスタッフが、この病院で手術を受けたり、家族を紹介したりするケースも増えています。「ここで治療を受けたい」。スタッフがそう思ってくれる病院になれたことを、本当にうれしく思っています。
手術件数は、外科だけで月100件ほど。私がこの病院にきたころの5倍です。救急搬送も5年間で約3000件から約5000件に急増。その大きな理由は、2013年にER室を新設し、常駐する医師を配置したからだと思います。
かつては、各診療科の医師が専門診療のかたわら、救急対応をしていました。今は、3次救急の経験もある医師が初療を担当。トリアージをしてから、必要であれば各専門診療科に移しています。
今年7月には、ERを担当する医師による「総合診療科」を立ち上げました。来年4月には、総合診療専門研修プログラムの認定施設になります。総合診療科をつくることによって、患者さんにとってもわかりやすく、スタッフも「総合診療をするのだ」という目的が明確になる。モチベーションアップにもつながります。
―病院運営で大切にしていることは何でしょう。
この病院が、すべてのスタッフにとってキャリアアップの場であってほしい、チャンスの場であってほしい。それが私の根本にある思いです。
医師であれば、研修医を受け入れ、専門医や技術認定医となるべく育てていく。コアとなる高い専門性を備えながら、裾野の広いゼネラリストとしての医療を展開できる人を養成したいと、十二分なパワーと熱意で対応しています。
医師人生を40年と考えて四つのフェーズに分けると、第1フェーズは、砂漠が水を吸うがごとく、いろいろな技術や知識の基本を吸収する。次のフェーズはそれを社会的に認められるための資格取得など、後進を指導するために必要なものをそろえる時期で、いずれのフェーズも吸収のベクトルです。
私が今迎えている三つ目のフェーズ、さらには、今後訪れる四つ目のフェーズは、吸収したものを分け、伝えていく時期です。院長という職位を生かして、職員にさまざまなことを伝え、コミュニケーションをとりながら、仕事を通じて幸せになってもらえる環境を、一緒につくりあげていきたいと思っています。
IMSグループ 医療法人財団明理会 新松戸中央総合病院
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