地域包括ケア病棟開設 患者や家族の希望に応える
院長就任6年目。患者支援センターの新設、心臓血管センターの開設や地域包括ケア病棟の稼働など、超高齢社会で必要とされる医療を常に模索してきた。小林進院長に思いを聞いた。
―今年10月に地域包括ケア病棟を開設されました。
稼働215床のうち、41床が地域包括ケア病棟です。現在、そして今後もしばらくは増え続ける高齢の方々は、急性期の治療を終えて、すぐに在宅に戻れるとは限りません。高齢者の受け皿をつくるという意味でも、当院の病床稼働率を上げる意味でも、地域包括ケア病棟が必要だと考えました。
現状、すでにこの病棟は稼働率が高く、レスパイト入院や看取りも、この病棟の役割になっていくと思います。さまざまなケースに対応し、患者さんやご家族の希望に応えることが、この病棟の最大の役割だと考えています。
今後、どんな医療を行うべきなのか。そう考えた私は、高齢者の増加もにらみ、侵襲が少なく効果が高い医療を目標に掲げました。そのためには「血管内治療」「鏡視下手術」「リハビリ」の三つが特に重要だと考えています。今後は急性期病棟と地域包括ケア病棟のバランスのとれた病院運営を行っていきます。
2015年3月、循環器内科内に「心臓血管センター」を設立したのも、その一環です。医師10人を中心として、看護師、臨床工学技士などが一体となったチーム医療を行っています。
アンギオ(血管造影)装置も2台導入しました。2台入れたのはリスクヘッジのため。検査中に心筋梗塞の患者さんが救急搬送されてきた際、急患室で診ている間に亡くなってしまうようなことがないように、と考えました。現在、当院での血管内治療・検査は年間約900実施しています。
鏡視下手術は現在、胆石や胃がん、大腸がんの手術が中心ですが、今後は産婦人科、整形外科などでも行っていく方向です。当院の急性期病棟の平均在院日数は10.5日です。これは、かなり短いと思います。
救急については、産婦人科医、内科医、循環器内科医、小児科医が1人ずつと、外科系として整形外科または外科の医師が1人の計5人の医師が毎日夜間当直をしています。これは、当院程度の規模の病院としては、多いほうだと思います。救急隊がしっかりとトリアージをして、当院で対応できる患者さんを搬送してきます。
―今後の展望について。
今年4月の診療報酬改定で、PFM(ペイシェントフローマネジメント/患者支援センター)が入院時支援加算として新設されました。
当院では、4年前に患者支援センターを立ち上げ、入院患者の情報を事前に入手し、治療計画立案や退院支援などを実践してきました。私は以前、勤務していた大学病院でPFMを立ち上げた経験があり、この導入は、経営改善、患者さんの治療の最適化に必ず役立つとの思いがありました。
PFMは入院前から患者さんに丁寧に病気のことや予後について説明します。例えば、こういう手術をして術後何日目から歩くことができますなどと、詳しく説明することで、患者さん自身にも納得して入院していただける。患者さんの術後の歩行ができるまでの日数が大きく変わります。
このPFMは、患者さんのためのサービスであると同時に、病院にとっては効率のよい入退院を可能にする方法でもあります。
地域にできるだけのことをして、貢献するというのが病院の目標ではないかと考えています。しかし、そのためには、経営の健全化は必須です。良い医療を続け、地域の方々に選んでいただき、経営を上向かせて、それを再び良い医療に還元していく。そんな病院でありたいと思います。
医療法人社団亮正会 総合高津中央病院
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