地域に暮らす患者の医療はこの地域で完結させる
「患者さんに寄り添って、また利用したいと思われる病院になりたい」。患者を断らず、なるべく早く診察して不安を取り除く「まず診る運動」を提唱するなど組織の先頭に立って職員を鼓舞してきた。若きリーダーの改革は、始まったばかりだ。
―病院の特色は。
急性期病棟169床と地域包括ケア病棟30床を有しています。隣接する系列の麻生リハビリ総合病院(回復期リハビリテーション病棟180床)と連携し、治療、リハビリ、在宅復帰、さらにはその後のフォローまで、一貫してできる。それが大きな特徴です。
特色のある診療科としてまず挙げたいのは「整形外科」。当院に8人、麻生リハビリ総合病院に2人の整形外科医が在籍し、協力し合って、外傷、スポーツ整形、脊椎手術や人工関節置換術など年間1000件を超える手術を実施しています。また、手術だけでなくその後も、併設のリハビリ病院で質の高いリハビリができていると実感しています。特にスポーツ整形は、野球、ラグビー、アメリカンフットボール...プロ、アマチュア問わず、肩・肘に関する疾患の患者さんが来院しています。
二つ目の強みが「救急」です。「救急総合診療科」を設置し、日勤帯では毎日、夜勤帯では火曜を除く週6日、救急科の医師がスタンバイ。地域の患者さんの医療はすべてこのエリア内で完結させることを目指し、まずは当院で患者さんを受け入れてトリアージします。高度医療が必要な場合には処置を施しつつ、大学病院などに転送。当院の救急の応需率は9割を超えています。
―地域連携にも力を入れているとお聞きしました。
急性期を主軸とする病院として、患者さんが在宅に戻るために必要な治療と支援をする。それが、われわれの役目です。
当院がある川崎市麻生区や隣接する町田市には療養型の病院が複数あります。長期にわたる入院が必要な場合には患者さんを紹介しています。また、高齢者向けの施設約30カ所と提携し、具合が悪くなった入居者の受け入れだけでなく、施設職員の健康診断なども行っています。
もともと、当院と麻生リハビリ総合病院にはそれぞれ地域連携室がありました。私は法人内のつながりを強化し、組織全体で地域の患者さんを受け入れて、ご自宅や施設へと帰っていただける仕組みをつくる目的で、数年前にそれを一つに統合。「地域医療支援部」を編成しました。今は、少しずつ軌道に乗ってきたところです。
2015年に開設した地域包括ケア病棟も、大きな役割を果たしています。脳卒中など高度なリハビリを必要とする患者さんは麻生リハビリ総合病院の回復期リハビリ病棟で受け入れ、軽中度の骨折などの場合は、ここの地域包括ケア病棟で在宅復帰の準備を進める。あらゆる段階、程度の患者さんを受け入れられるようになりました。
在宅移行が進む一方で、介護する家族からの「体力的、精神的に大変」という相談も増えてきているように感じます。地域包括ケア病棟ではレスパイト入院も受け入れながら、在宅復帰後の患者さんやご家族も支えています。
―今後の展望は。
「チーム医療の推進」が今年の目標です。多職種間で情報を共有するとともに、それぞれの専門性を生かして意見を出し合い、最良の答えを導き出せるようなチームを作っていきたいと思います。
在宅診療部の強化も進めます。今は内科医2人体制。褥瘡(じょくそう)や排泄(はいせつ)の問題がある患者さんの場合には皮膚科医や泌尿器科医が出向くなど、広がりが出てきています。当院に入院していた患者さんが在宅に戻った後、夜間の急変などにも対応できるようにしていきたいですね。
医療法人社団総生会 麻生総合病院
神奈川県川崎市麻生区上麻生6-25-1
TEL:044-987-2522(代表)
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