橋本市民病院 嶋田 浩介 病院長

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"苦肉の策"が病院にもたらした複数の効果は?

【しまだ・こうすけ】 1979 北里大学医学部卒業 1985 海南市民病院和歌山県立医科大学大学院卒業 国保日高総合病院 2004 橋本市民病院 2015 同病院長

 人口8万8千人、和歌山県にある橋本医療圏の中核的病院として医療サービスの充実を図ってきた。医師不足に「大リーガー医育成プロジェクト」など独自のプログラムを創設。医師数確保だけでない効果を生み出している。

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―独自の取り組みを始めた理由について、聞かせてください。

 きっかけは、5年ほど前に直面した内科医不足です。日常の診療に加えて、当直の救急対応をするには、明らかにマンパワーが足りない。医師一人ひとりの負担が大きくなり、疲弊を招いていました。

 大学にも医師派遣を要請したものの、新医師臨床研修制度の影響もあり実現には至らず。そんな時、当時の事務局長から、医師の募集にあたって付加価値を付けてはどうか、という提案があったのです。

 さまざまな方に相談、助言を受け、2014年4月に「臨床研究支援プログラム」、翌年4月には「大リーガー医育成プロジェクト」の二つのプログラムを立ち上げました。

―この二つのプログラムの特徴や内容について教えてください。

 「臨床研究支援プログラム」では、臨床研究をする人材を育成するため、働きながら臨床研究を学びたいと希望する内科・腎臓内科・総合診療科の医師を募集しています。

 当院で診療などの業務に従事するほか、平日1日が研修日として与えられます。また、この「臨床研究支援プログラム」では、認定NPO法人「健康医療評価研究機構(iHope)」の支援をいただき、日本にいながらアメリカのジョンズホプキンス大学の MPHプログラムや臨床研究遠隔学習プログラム(gMAP)を受講することが可能となっており、その費用は当院が負担します。

 もう一方の「大リーガー医育成プロジェクト」は、当院で1〜3年勤務していただくことを条件に、勤務年数に応じ、留学時に年額300〜500万円を助成金として支給しています。留学種類には、臨床留学、研究留学、MPH留学などがあります。

―結果や成果をどう受け止めていますか。

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 これまでに「臨床研究支援プログラム」で4人、「大リーガー医育成プロジェクト」で2人の先生に来ていただくことができました。大リーガー医養成プロジェクトの先生のうち1人は、すでに米国に留学しています。

 現在、当院に勤務している4人は急性期病院での経験が豊富な方々で、特に臨床研究支援プロジェクトの3人は総合内科のけん引役になっています。県内にはもともと総合内科が少なく、当院の総合内科への関心が高い。研修医からも人気で、募集枠4人に対して7〜8人の応募があります。

 最初は人手が足りないということで募集した総合内科が、研修医に人気の科となり、若い医師が集まり始めた。当初の想定にはなかった効果で、大変喜んでいるところです。

 総合内科が内科救急のかなりの範囲をカバーするようになったのも、大きな成果ですね。救急車の応需率も上がってきました。

 院内の感染症対策、NST(栄養サポートチーム)や多剤併用(ポリファーマシー)の減薬、呼吸療法を安全に行うRST(呼吸療法チーム)の指導にも従事してくれています。

 医師偏在の問題の解消にはまだまだ時間がかかるでしょう。当院も、またいつ内科医不足の事態に陥るかわからない、という危機感は今もあります。

 二つのプログラムに応募して勤務している医師たちは、想定以上のものをわれわれにもたらしてくれています。これからも厳しい財政状況であっても人材に投資し、独自のプログラムによる医師確保を続けていくつもりです。

橋本市民病院
和歌山県橋本市小峰台2-8-1
TEL:0736-37-1200(代表)
https://www.hashimoto-hsp.jp/


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