市立奈良病院 矢島 弘嗣 院長

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民営のメリットを生かし市民に寄り添う市立病院に

【やじま・ひろし】 1979 奈良県立医科大学卒業 同整形外科入局 1989 奈良県立医科大学助手 2007 同准教授 2010 市立奈良病院四肢外傷センター長 2015 同院長

 2004年、国立病院機構から奈良市に移譲。施設とスタッフはそのままに、市立奈良病院として再スタートした。市立でありながら運営は公益社団法人が担う「公設民営」方式。経営に必要なスピード感を上げ、市民に満足してもらえる医療サービスの強化に取り組んでいる。

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―市立病院になって変わった点は。

 当院は、奈良市が開設者で、公益社団法人地域医療振興協会が運営主体の病院です。財政面では市に依存しておらず、独立採算です。

 現在の経営形態になって一番の変化は、医師の増員。国立病院機構時代は常勤医が30人程度だったのが、現在は研修医を含めて120人規模です。

 民間運営なので経営の自由度がありますね。患者さんのために必要だと判断した設備の購入や人員の採用は予算の範囲内で即決。公的な役割と民間マインドの両方を備えた医療機関と言えます。

 2014年には建物を全面改築。手術室を4室増やして8室に。ICUも拡張し、救急受け入れ能力を大幅に向上させました。年間受け入れ数はおよそ4000件。病棟への入院が必要な中等症の患者さんに対応する2次救急での要請が中心で、運ばれてきた患者さんはまず総合診療科の医師が担当しています。

 当院では総合診療科がERの役割を兼ね備えています。救急の患者さんは総合診療科での初診を経て、必要があれば各専門科で治療するという流れです。

 総合診療科の医師は現在13人体制。運営主体である地域医療振興協会からも医師の派遣を受けています。スタッフの連携もスムーズで、その点も当院の特徴だと思います。

 診療科とは別に、特定の分野、疾患を診療する「センター」も設置しています。乳腺、消化器肝臓病、四肢外傷、脳・神経、網膜硝子体、人工関節などの各センターに、それぞれを専門とする医師が診療科の垣根を越えて集まり、難しい症例の治療に取り組んでいます。

 私自身も手外科を担当する四肢外傷センターに所属しています。整形外科と形成外科の交流が活発になり、さまざまな知見で患者さんを診ることができるメリットを実感しています。

―人材教育で力を入れている点は何でしょう。

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 当院は基幹型臨床研修病院として、地域医療を志す医師の育成に力を入れてきました。「研修医センター・専攻医センター」では前期・後期の研修プログラムを設置し、前期では毎年8人を採用。2年間かけてさまざまな経験を積んでいます。

 前期研修医は、研修期間中3カ月間、人口の少ない町や村で地域医療に従事。1カ月は奈良県内で、残る2カ月は地域医療振興協会が運営する全国の診療所などに派遣されます。

 戻ってきた研修医からは、「患者さんに一番近い場所であらゆる病気を診ることができた」という感想を聞きます。プログラムの趣旨が理解されていると感じますね。

 8人のうち、半数程度は県内にある奈良県立医科大学の卒業生で、そのほかは北陸や中部、九州の大学の出身者です。

―これから取り組むべき課題は。

 2010年に36万8000人だった奈良市の人口は、2040年には27万9000人にまで減少すると推計されています。一方で65歳以上の高齢者の割合は増加を続け、2040年から2045年にかけて40%を突破、その後、45%まで上昇する見通しです。

 「多死社会」はもう目前です。そこで昨年、緩和医療を専門とする常勤の医師を採用。緩和ケアに本格的に取り組み始めました。

 同時に、周産期医療と小児医療の充実も市民から期待されています。産婦人科と小児科の態勢強化を一層図っていく方針です。

市立奈良病院
奈良市東紀寺町1-50-1
TEL:0742-24-1251(代表)
http://www.nara-jadecom.jp/


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