来たれ!リウマチ診療に関心がある医師たち
「患者の期待に、私はどう応えていくべきか」。東千夏講師が専門として選んだのは「関節リウマチ」の領域。沖縄の診療体制の充実に向けて奮闘中だ。
―なぜ整形外科を選んだのですか。
歩けなかった人が歩いて退院できたり、痛みがとれたと喜んだり、変形を矯正できたり。医学生のころ整形外科を受診した患者さんの症状や機能、あるいは外見が、目に見えて回復していくのが印象的でした。
もともと外科系を志していましたので、手術ができるということ。そして、病棟の雰囲気が明るいと思ったことも整形外科に決めた理由の一つでした。老若男女の患者さんがいて、医師は元気なタイプが多い気がしますね。
女性の整形外科医の割合は、全体の1割にも届きません。ただ近年は当教室でも、継続して女性が入局するようになりました。少しずつ増える傾向にあるのかなと感じています。
外傷、ひざ関節鏡視下手術、スポーツ整形など、さまざまな分野を経験してきました。その中で「自分が役に立てる患者さんのニーズはどこにあるのか?」と考えた時期がありました。患者さんから求められ、また自分でも医師としてのやりがいを感じられるのは│。関節リウマチを専門にしようと決めたのは8年ほど前のことです。
関節リウマチの患者さんは女性が多く、男性の医師には相談しづらい悩みを抱えている方もいらっしゃいます。使用する薬が妊娠や産後に影響するのではないかと心配されているケースもある。
ここに、女性のドクターのニーズがあると考えました。経験年数はまだキャリアの半分以下。これからやるべきこと、学ぶべきことがたくさんあります。
―県内のリウマチ診療の現状は。
沖縄県内にいるリウマチ専門医は約20人で、女性は私を含めて数人。診療科は整形外科、内科、小児科です。専門医の数が少ないこともあって、リウマチ診療の体制は十分に整ってはいません。ですから、どうしても患者さんが特定の医療機関に集中することになります。琉球大学にもたくさんの患者さんがお見えになります。
県内のリウマチ外来はどこも「満杯」なのです。何時間もお待たせしている状況ですから、やはり、専門医がもう少し増えてほしいという思いがあります。
世界的にも研究が大きく進展し、痛みや腫れ、関節が破壊されるメカニズムが明らかとなりました。
なぜリウマチが発症するかという点はまだ解明されていませんが、薬剤によって多くの症状や進行を抑えることが可能です。痛みや変形の度合いによっては手術を選択しますが、その数は減少。基本的には薬剤治療がメインです。
患者さんが訴えている痛みと、診察や検査結果からドクターが読み取るもの。それぞれをすり合わせて、個々の患者さんに適した治療方針を決定します。とてもやりがいのある、興味深い分野だと思います。
リウマチへの関心をもっと高めることができたらと思い、昨年、診断や治療に関する初歩的な講演会を企画しました。
この分野の第一線で活躍されている先生を講師として県外からお招きし、まだ専門分野を決めていない若手の先生方に集まってもらいました。今秋、2回目の開催を予定しています。
―今後の目標は。
琉球大学整形外科の特徴は、「新しいことにチャレンジしたい」という思いを後押ししてくれるところでしょうか。毎年、一定の入局者数がいる理由の一つだと思います。
引き続き人が集まる、魅力ある医局づくりに取り組みます。そのためには、教室に若い医師たちの目標となる人がいることが大切。地域に根ざしたリウマチ診療を広げていくためにも、私自身もそうなれたらと思っています。
琉球大学大学院医学研究科 医科学専攻 整形外科学講座
沖縄県中頭郡西原町上原207
TEL:098-895-3331(代表)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/orthop/