未来を見据えた新たな動き|鎌倉の地で加速
「生命だけは平等だ」を理念に掲げる徳洲会グループ。1988年、グループ25番目の病院として設置された「湘南鎌倉病院」は湘南鎌倉総合病院への名称変更、移転を経て現在の形になった。今、救命救急・外傷センターなどの新築プロジェクトを進めている。
―病院の歩みを聞かせてください。
鎌倉市民の署名活動を受けて30年前に誕生しました。徳洲会グループは、創設者・徳田虎雄の「医師は、急病人であればどんな人でも何があっても診るべきだ」という思いが原点。この病院も開院当初から「救急患者さんを決して断らない」姿勢を貫いてきました。
2010年には、現在地に移転。地上15階、地下1階建てで648床を擁する病院となりました。地域医療の核となる急性期病院として、外来診察から入院治療まで一貫して行える体制を整えています。
救急搬送患者の受け入れは年間で約1万3000人、時間外診療と合わせれば4万人を超えています。
病院機能評価だけでなく、国際的医療機関評価機構である「JCI」の認証も取得。「外国人患者受入れ医療機関」としても認められています。地域を大切にしながら、海外からも患者さんを受け入れるため、体制を整備しているところです。
―新築プロジェクトが進行中ですね。
高齢化などを背景に救急のニーズが高まり、現在の施設では手狭になっています。さらに年間1万件を超える手術のうち外傷の割合が年々増えて今はおよそ25%。外傷治療の機能拡張も必要です。
そこで、「救命救急・外傷センター」の新築工事を進めています。2021年の春には利用開始予定。集中治療室を増室するなど、重篤な症例や高度医療を必要とする症例への対応力を強化します。
がん治療を包括的に実施するためのセンターも建設中で、2020年6月に稼働開始の計画。がん治療では、手術、化学療法、放射線治療に加えて、免疫療法も広がりを見せています。私たちは、日本でもまだ数施設でしか実施されていない「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」を導入予定。先進医療を含めたさまざまな治療を提供します。
また、認知症や心臓疾患がある方や透析を受けている方ががんを患うケースも増えています。総合病院である強みを生かし、専門診療科のサポートの下、全身的ながん治療が行える体制を構築していきます。
新築プロジェクトに伴ってスタッフを100人ほど増員する予定です。当院は、職員が働きやすく、安心して働き続けることができ、さらには働くことに誇りが持てる病院であることを目指し、NPO法人イージェイネットの「働きやすい病院評価」も取得しています。専門分野の枠を越えて活躍する人材がさらに集まることを願っています。
―徳洲会グループ初の「大学」設立に向けた動きも始まっています。
医療大学を旧・湘南鎌倉総合病院跡地に建設中。2020年4月にまずは看護学部(定員100人)をスタートさせる計画です。
ゆくゆくは、臨床心理士、理学療法士、医学物理士の育成、さらには事務から病院経営までを学べるような、これまでにない場にしたいという構想があります。最終的には文部科学省の許可が必要ですが、「現場主義」を徹底し、臨床実習が多いカリキュラムを組みたい。海外からの学生も受け入れる国際色豊かな医療系大学のイメージです。
これまで徳洲会グループは、東南アジアやアフリカで透析センターや病院、看護学校などの開設を支援してきました。現地の医療従事者を国内のグループ病院で受け入れて実施してきた技術指導なども、大学への短期留学という方法が可能になることでより一層、スムーズになると思います。
医療法人沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院
神奈川県鎌倉市岡本1370-1
TEL:0467-46-1717(代表)
http://www.shonankamakura.or.jp/