早期発見で守る「聞こえ」

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検査実施率の向上に必要なのは

 難聴児の早期発見、早期療育開始は言語の発達やコミュニケーション能力、QOLの向 上に大きく影響する。「新生児聴覚スクリーニング」が実施可能な施設は全国的に整備さ れているが、まだ欧米のような普及率には届いていない。の早期発見、早期療育開始は言語の発達やコミュニケーション能力、QOLの向上に大きく影響する。「新生児聴覚スクリーニング」が実施可能な施設は全国的に整備されているが、まだ欧米のような普及率には届いていない。

ここ20年で普及した新生児聴覚検査

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 先天性難聴の割合は1000人に1人とされる。新生児マススクリーニング(先天性代謝異常検査)によって発見されるフェニルケトン尿症(8万人に1人)やクレチン症(3000〜5000人に1人)など他の先天性疾患と比べて頻度が高いのが特徴だ。

 米国では1999年、米国小児科学会が「全新生児の聴覚スクリーニングと早期診断.療育開始」を勧告。多くの州で法制化され、2004年時点で米国内の9割を超える新生児がスクリーニングを受けるようになり、欧州諸国などでも公費負担による実施が進んだ。

 2000年、岡山、神奈川、栃木、秋田で5万人規模の新生児聴覚検査モデル事業が予算化、2005年に厚労省「母子保健医療対策等総合支援事業」の対策事業となったことで普及。

 日本産婦人科医会の母子保健部会が2017年6月、全国2369施設を対象に実施した「新生児聴覚スクリーニング検査に関するアンケート調査」によると、検査可能施設率は94.3%との結果だった(有効回答数1795施設)。

「100%」の実現には公的支援の拡充が必要

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 検査環境は整備されてきたものの、調査では検査実施率の全国平均が「87.6%」と伸び悩んでいることも浮き彫りとなった。

 2007年、新生児スクリーニングは母子保健医療対策等総合支援事業の対策事業から外れ一般財源化。2015年に実施された厚労省の実態調査によると、1741市区町村のうち公的補助を実施しているのは109。わずか6.3%にとどまっていることが分かった。検査可能施設率と実施率の開きの背景には、経済的な理由などによって検査を受けなかったことが推測される。

 公的補助のある地域とない地域では受検率に明らかな違いがある。早くから県内の全市町村で公的補助を導入していた岡山県、福島県、長崎県をはじめとする公費補助ありの地域は96.6%であるのに対し、なしの地域は84.9%。

 公的補助に力を入れる自治体は増加傾向にあるが補助額は自治体によって異なり、多くが一部補助。自己負担の平均費用は5000円だと報告されている。

 生後1カ月までにスクリーニングし、リファー(再検査)であれば3カ月までに精密検査、6カ月までの療育訓練開始が望ましいと言われる。

 「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」では「インフォームドコンセントを取得した上で聴覚スクリーニング検査を実施し、母子健康手帳に結果を記載する」とされ、推奨レベルは「C(必ずしも実施が勧められているわけではない)」から「B(実施が勧められる)」に上がった。

 親への説明が義務化されたことになり、少なくとも「検査の存在を知らなかった」ケースの減少が期待できる。平等なスクリーニング機会の提供は「誰もが活躍できる社会」の実現に欠かせない。各自治体の支援の充実が望まれる。


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