神戸北部の脊椎・腰椎治療拠点に
神戸市北部・須磨区。北須磨病院は、約9万人の人口を有する須磨ニュータウン近くにある、整形外科を主軸とする病院だ。腰部脊柱管狭窄症などの手術に定評があり、患者数が増加。2019年の完成を目指し、増築工事を開始した。
―整形外科の特徴を聞かせてください。
整形外科は、私を含め常勤医師5人。1カ月当たりの平均外来患者数は約3500人に上ります。多くが、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎変性側弯症の方です。
椎間板ヘルニアは、以前と違い、疼痛治療薬の進歩により手術を必要とする症例は減りました。神経ブロックで痛みをとり、症状を緩和させヘルニアの縮小を待つ「保存療法」で治る人が少なくありません。神経障害が強く手術が必要となった患者の数は2016年実績で53人。近年大きな変化はありません。
手術数がもっとも多いのは、脊柱管狭窄症です。高齢化に伴い病態も変化しており、以前は単椎間狭窄が多かったのですが、多椎間の狭窄や脊柱管外側狭窄が増え、変性側弯による外側狭窄が増加しています。
当院は、顕微鏡や内視鏡を使いメスを入れる部分を少なくし、患者さんへのダメージを最大限抑える低侵襲手術の技術が特色で、2017年の脊椎の手術患者数は240人。県内でトップクラスの症例数です。
―病院を増築されるそうですね。
系列病院の老朽化による閉鎖に伴い、同院の33床を当院に移すことになりました。現在の本館の北西側、患者専用駐車場の場所に地上4階建ての新館を建設。本館と2階部分でつなぐ計画です。
現在、手術室と一般撮影室はそれぞれ1室。患者数が増えている影響で、緊急時以外の手術待ち、検査待ちの期間が長くなってきてしまったため、この増築で1室ずつ増室します。
また、地域包括ケア病床を従来の45床から74床に増床。一般病床も4床増やし、入院環境も充実させます。新館の屋上には屋外リハビリ用の庭園もつくる予定です。
―高齢化が進んでいます。今後の展望は。
北須磨病院がある須磨区北須磨エリアは、65歳以上の高齢者の割合が32.1%と、神戸市平均の26.9%を大きく上回っています。ニュータウン造成時に働き盛りで入居された方が70歳から80歳を迎え、脊椎や腰、外傷だけでなく糖尿病や腎機能障害、排尿障害といった疾病を併発している方が急速に増えています。地域の急速な高齢化に、病院としても対応する必要に迫られているのです。
そこで、消化器や呼吸器を含む内科の充実も図っています。糖尿病などの生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群などの治療にもあたっています。
さらに今年2月には泌尿器科の診察も開始。脊椎圧迫による神経障害で排尿異常を訴える患者さんなどにも喜ばれています。
そのほか耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科なども併設。「複数の科を受診するためにさまざまな病院にかからなければならない」という患者さんの負担を軽減するため、16の診療科を擁しています。
神戸市は、神戸大学医学部附属病院などの特定機能病院が充実しています。町のかかりつけ医も多く、患者さんに頼られています。しかし、両者をつなぐ二次的機能を持った医療機関はまだ不足していると思います。
当院は、高度急性期医療を担当する病院と、かかりつけ医の中間に位置する病院として、超急性期医療を終えた患者さんを受け入れて在宅へつなぐ、または在宅で過ごす患者さんの入院を一時的に担い、再び在宅へ戻っていただくといった役割を果たしていきたい。今回の増築をきっかけに、さらに地域の方に信頼される病院へと成長していきたいと考えています。
医療法人社団菫会 北須磨病院
神戸市須磨区東白川台1-1-1
TEL:078-743-6666(代表)
http://www.sumire.or.jp/kitasuma/