関西医科大学精神神経科学教室 木下 利彦 教授

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研究・治療・社会復帰 精神疾患治療を推進

【きのした・としひこ】 1981 関西医科大学卒業 1988 同大学精神神経科学教室助手  1990 同大学精神神経科学教室講師 1997 同大学精神神経科学教室教授

 1958年の開設から今年で60年を迎える関西医科大学精神神経科学教室。複雑化する精神疾患に対し、遺伝子の側面から薬効の個人差の原因、また脳内神経細胞の変化の解明といった先端分野での研究を進める。

―教授就任から20年余り。これまでの取り組みを。

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 1997年の教授就任以降、「研究」「治療」「患者の社会復帰支援」の三つを発展させることを目指して取り組んできました。病院内にデイケアと作業療法の2施設を併設。薬物を中心とした治療と生活技能訓練を組み合わせて、患者の社会復帰を支援する体制を強化しています。

 私自身の専門である統合失調症やうつ病のほか、認知症をはじめとする老年精神医学、てんかん、発達障害といったあらゆる疾患で中度以上の症状の治療を重点的に行っています。

 教授、准教授、講師に助教、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士、鍼灸師など40人からなるスタッフを擁しており、個々の専門性が発揮される環境整備を進めてきました。

―本院とは別の場所にある総合医療センターに専門外来がありますね。

 大阪府守口市にある、関西医科大学総合医療センターの精神神経科には、もの忘れ外来とうつ病専門外来があり、外来患者は1日に計100人超が訪れます。

 もの忘れ外来では、認知症の鑑別診断や治療方針の決定、介護相談まで担います。うつ病外来では、加藤正樹准教授を中心に遺伝子レベルで薬の効き方を研究しており、治療に生かそうと努力しています。

 同じ薬でも効く患者さんと効かない患者さんがいます。個々人の遺伝因子に対応した薬物療法の構築を進めており、その人に合った「オーダーメード医療」を目標にしています。

 患者さんの年齢層は幅広く、若年層の方や働き盛りの方も悩まれて来院されています。職場での複雑な人間関係やストレス、増大する仕事の負担に耐え切れないことが原因となるケースが多いため、当院から非常勤で医師を企業に派遣する取り組みも続けています。

―研究面も重視されてきました。

 研究面では、薬理遺伝学と脳科学的アプローチで実績をあげています。

 個々人の遺伝子や血中タンパク等の因子が薬物療法にどう反応するかを解析し、データを蓄積。投薬前にデータを基に評価することで最適な治療法の選択を進めています。

 脳の研究では、脳神経細胞の一種で、他の個体の行動や意図を認識・理解する能力と関連する「ミラーニューロン」の分析に力を入れています。特に薬物療法がミラーニューロンという社会的なコミュニケーションに関わる脳のネットワークにどう変化をもたらすのかを観察する研究を行っています。

―社会復帰支援も欠かせませんね。

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 デイケア室では、生活技能訓練を中心に、運動や料理など毎日異なるメニューでリハビリテーションを行っています。対人関係を築く練習、また集中力や持続力を養うことに主眼を置いています。

 作業療法室では患者さんの将来の自立を目標とし、主に入院中の患者さんを対象として、工作やゲーム、絵を描くといった作業療法により、社会生活の再開に向けた支援をしようと取り組んでいます。

 精神神経科学は、他の科と違い、数量化できない世界です。血液などのように「正常値がある」という領域ではなく、そこがおもしろいのではないでしょうか。

 当教室には若いドクターが続々と入ってきており、今年4月には新たに7人が入局しました。あらゆる世代が刺激し合う、活気ある教室にしたいと考えています。

関西医科大学精神神経科学教室
大阪府守口市文園町10-15
TEL:06-6992-1001(代表)
http://www3.kmu.ac.jp/psy/


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