"断らない医療"を実現する環境が整った
千駄木エリア再開発計画「アクションプラン21」を推進する日本医科大学付属病院。1月、コア事業である新病院がグランドオープンした。日本初の救命救急センター開設(1977年)などを実現してきた医療への熱意は、どう受け継がれていくのか。
重症部門を一元化国内最大規模に
―新病院の機能は。
3階の高度救命救急センターはCCM、CCU、SCUなどの重症部門を一元化。国内最大規模の60床を有しています。
CCU、SCUの常勤医は携帯端末を所有し、「心臓救急ホットライン」「脳卒中ホットライン」を開設。24時間の受け入れに対応しています。地域の医療機関との密なネットワークによって脳卒中の急性期治療数、急性心筋梗塞の年間収容数はともに都内トップです。
センターには緊急検査専用のCT、MRI室、モバイル型の血管撮影装置を設置した手術室がありますので、迅速な診断、早期治療が可能です。
主に軽症の救急患者さんを対象にした「救急・総合診療センター」も特徴の一つです。「どの診療科を受診すればよいのか分からない」という患者さんに対して、幅広い疾患や外傷の初期治療を実施。必要に応じて専門各科と連携を図っています。
今回、22室の高機能手術室を新設しました。うち1室は血管撮影装置を備えたハイブリッド型手術室で、安全性の高い胸腹部大動脈瘤(りゅう)に対するステントグラフト治療(TEVAR、EVAR)を施行しています。
近い将来、重症の大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)の実施も視野に入れています。また、「ダビンチ」によるロボット支援下手術は前立腺がんに加えて、今後は直腸がんや婦人科がんなどにも広げていく予定です。
術後管理については、外科系集中治療室(S│ICU、S│HCU)のほか新生児集中治療管理室(NICU)、回復治療室(GCU)を開設しました。ハイリスク妊産婦管理から新生児の管理まで、トータルでサポート可能です。
全領域をカバー充実の放射線科
―主任教授を務める放射線医学教室は国内屈指の体制。
当院の放射線科は、常勤スタッフ22人、大学院生15人、専修医9人、の計46人で構成しています。放射線診断専門医22人、放射線治療専門医2人が在籍し、充実した診療、教育環境を整えています。
CT、MRI、SPECT、PET、カテーテル治療を含む血管造影などを駆使して、「いずれのモダリティでも全身の検査に対応できる」ことが強みです。検査当日に診断を完了させることができ、画像診断管理加算2を取得済み。4月の診療報酬改定で新設される管理加算3の取得も見すえています。
当院の近隣に併設している日本医科大学健診医療センターの診断も担当。月に350件を超えるPET検査を実施しています。がんの早期発見にも注力し、当センターの検診で発見されたがん症例の「96%が早期がん」です。
地域とも一丸となってさらに高いレベルを目指す
2021年予定で駐車場整備も完了
―あらためて、現在、どのような手応えを感じているのでしょうか。
患者さんやご家族が院内で快適に過ごせるようレストランやカフェ、ラウンジを充実させ、11階と12階の高層階にはコンシェルジュが常駐する特別個室病棟も用意しました。
残る課題はアクセス面です。最寄りの白山駅(都営三田線)、根津駅、千駄木駅(東京メトロ千代田線)、東大前駅(同南北線)の各駅から当院までは徒歩10分から15分。利便性向上のために、2021年の竣工予定で約150台を収容できる駐車場の建設を進めます。また、巡回バスの運行開始も検討中です。
2017年に院長に就任して1年が経ちました。当院は医療機能的にも職員の意識的にも新しいフェーズに入ったと感じています。地域の医療機関とも一丸となって、素晴らしい病院にするー。着実に一段ずつ、レベルを引き上げていきたいと思います。
日本医科大学付属病院
東京都文京区千駄木1-1-5
TEL:03-3822-2131(代表)
https://www.nms.ac.jp/hosp/