高知大学医学部神経精神科学教室 數井 裕光 教授

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高知から世界へ キーワードは"連携"

【かずい・ひろあき】 1989 鳥取大学医学部卒業 大阪大学医学部神経科精神科入局 1995 大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了 2002 同精神医学教室助手 2006 同講師 2018 高知大学医学部神経精神科学教室教授

 「世界で通用する医師を育てたい」と語る高知大学医学部神経精神科学教室の數井裕光教授。1月の就任からまもなく4カ月。新教授の目に映る、高知の精神科医療を聞いた。

医学の進歩裏に研究

―高知大学神経精神科学教室の特徴を教えてください。

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 高知大学医学部附属病院には、高知県内に住む人が認知症かもしれない、と思ったとき、偏りなく診断・治療・介護ケアを受けられるように設けられた「高知県基幹型認知症疾患医療センター」があり、当教室のスタッフが診療などにあたっています。

 県内各地の疾患医療センターで診断が難しかった患者さんの最終診断という役割のほかに、認知症における自動車運転能力の評価を行っているのが大きな特徴。全国的にも先駆的なこの取り組みが進んだのは、高知県が車必須の地域であるという背景があります。

 また、高知県立療育福祉センター内には、児童精神医学分野の世界的権威であるスウェーデン・ヨーテボリ大学のクリストファー・ギルバーグ教授の協力によって開設された「高知ギルバーグ発達神経精神医学センター」があります。増え続ける発達障害に関わる医師を養成するのが主な狙いで、われわれ高知大学や県内の医療機関の医師が、発達障害について学んだり、臨床研究に取り組んだりしています。

 そしてもう一つ、私たちの教室では患者さんや家族の「教育」にも力を入れています。例えばうつ病は、その疾患のことを正しく理解することで適切な治療が可能になります。そこで、冊子やDVDを作成し、患者さんや家族に配布しています。

 県内の精神科専門医の数はやはり不足していて、あちこちの病院から医師の派遣を依頼されている状況です。一人前の精神科専門医になるには精神保健指定医と日本精神神経学会専門医の資格が必要になります。両方の資格をしっかり取得できるよう教育することが、まず、大学の役割として大事であると思っています。

 これまでの専門医制度では、診療の技術や知識に重点を置く傾向があり、研究面はあまり重要視されていませんでした。それが新しい専門医制度では、臨床も大事にしつつ、研究の分野にも視野を広げようとしているのがポイントです。

 医学の進歩の裏には誰かの研究が必ずあります。誰も研究をしなくなっては、医学は止まってしまう。研究の重要性を理解していただいて、臨床を大事にしながらも若い方に無理なく研究にも携わってもらえるように、いかに育成していくかを考えていかなければいけません。

 将来的にこの高知大学から世界へ、精神疾患の患者さんに役立つような研究成果を発信できるように頑張りたいですね。

サイト運営つながり構築

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―今後の教室運営で大事にしていくことは。

 「三つの連携」を掲げています。一つは、地域の精神科病院との連携の強化。いくつかの病院とは現在も連携をとっていますが、「すべての施設と密に」とは言えません。もっと県内の医師会などと連絡をとり、連携を促進したいと思っています。

 もう一つは、院内での他の診療科との連携です。例えば身体の疾患を円滑に治療するために、心のケア、すなわち「リエゾン精神医療」がしばしば必要となります。体に疾患があると、同時に精神的な症状が出ることも珍しくないのです。そこで身体疾患の専門医と精神科医が連携をとることがとても重要になってきます。

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 最後は、住民との連携。現在「認知症ちえのわnet」という認知症のケアに悩む方のためのコミュニティーサイトを運営しています。

 認知症には物忘れなどの症状のほか、思い込みが強くなる、怒りっぽくなるといった心理症状(BPSD)もあります。このBPSDは、実は周囲の方の理解や知識で改善されるものなのです。

 しかし、専門医のいない地域ではその対処法など、情報を得ることは難しい。当サイトでは実際にケアを行った方が、どんな対処をし、その効果があったのかなかったのかなどを投稿してもらうことで、利用者同士で情報を共有できます。

 こちらは大阪大学在籍時に始めたものですが、高知に来てみて改めて、高知にこそこういったコミュニティーが必要であると強く感じました。広く認知していただくことで、これからの高知精神科医療に貢献したいと思っています。

高知大学医学部神経精神科学教室
高知県南国市岡豊町小蓮185-1
TEL:088-866-5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_nrpsy/


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