独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 江﨑 宏典 院長

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毎年の変化を読み解き がん医療の質を高める

【えざき・ひろのり】 1981 長崎大学医学部卒業 1983 同附属病院第三内科 1994 カナダトロント大学医学部家庭地域医学科留学 1997 国立長崎中央病院(現:独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)内科医長 2004 川崎医科大学総合臨床医学講座教授 2007 長崎医療センター統括診療部長2012 同院長

 長崎県は全国的にも「地域がん登録」の精度が高いと言われている。地域がん診療連携拠点病院である長崎医療センターでは、集計データを活用して治療戦略の高度化、課題の発見などにつなげている。

―がん診療の特徴は。

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江﨑 宏典 院長

江﨑宏典院長(以下院長) 当院の「県央がんセンター」のコンセプトは「総合力」です。診断、治療、看護、そして緩和医療や相談支援。がん患者さんのあらゆる悩みに応え、支えていくための体制づくりを進めています。その中心となるのが「地域がん登録」です。

吉田真一郎統括診療部長(以下統括診療部長)
全国的にも、がん登録の精度をどう引き上げていくかが課題とされています。その中でも長崎県のデータは安定して高い精度を維持しているのが特徴です。当院でも登録もれや入力ミスなどの防止に力を入れています。



院長 5大がん別の集計に基づいて各分野の専門医が治療に当たっています。

 在院患者さんの3割超ががん患者さんで、約半数を5大がんが占めています。当院の場合、胃がんは減少傾向にあり、乳がんは増加傾向です。2011年と比較すると外科手術は半減し、腹腔鏡下手術が増えています。これからどのような領域に力を入れていくべきか、足りないのはどのような点なのかが分析できます。

 年次ごとの変化だけでなく、県内の医療資源に地域差があることもよく見えてきます。医療機関の偏在により手術を受けられない患者さんがいる地域も少なくないのです。遠く島原市から当院にお越しになる患者さんもいらっしゃいます。

―集計結果で注目している点はありますか。

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吉田真一郎統括診療部長

統括診療部長 ニーズの高まりを実感しているのが相談支援部門。昨年末にとりまとめた当院の「2016年腫瘍集計報告」によると500件を超える相談が寄せられています。主な内容は医療費や保険、休職中の生活のことなどでした。

院長 多くの方が「どこに相談したらいいのか分からない」「主治医に保険のことを質問していいのだろうか」「他の医療機関で治療を受けているのだが相談できるのか」といった不安や疑問を抱えておられます。どのような医療、福祉サービスを利用できるのか、どうやって申請したらいいのかなど、あまり知られていないのが現状です。

 がん患者さんやそのご家族が集い、情報を交換する場として、定期的にがんサロンを開催しています。みなさんが自由な雰囲気で過ごせるよう、私たちは極力立ち入らないよう心がけています。

 検診の受診率がなかなか伸び悩んでいることから、院外に向けた啓発活動もより積極的に取り組んでいく必要があるでしょう。呼びかけるのは、例えば病気を経験した方など、医師や看護師に限らなくてもいいかもしれませんね。こうした情報発信や教育も、地域がん診療連携拠点病院である私たちの大事な役割であると認識しています。

―今後のイメージは。

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統括診療部長 やはり、患者さんが求めているのは「総合力のあるがん医療」だと思います。高齢化が進むほどがん患者さんは増える。限りあるマンパワーの中で、チーム医療の徹底や業務効率化などを探っていきたいと思います。

院長 引き続き地域の方々の期待に応えることを第一に考えていきます。今後の主な取り組みとしては、まず次の時代を担う人材の育成。それと治療と仕事の両立を目指す患者さんのバックアップです。ソーシャルワーカーや社労士、ハローワーク、産業医との連携を密にして地域で支援できる仕組みを作りたいですね。

独立行政法人国立病院機構長崎医療センター
長崎県大村市久原2-1001-1
TEL:0957-52-3121(代表)
http://www.nagasaki-mc.jp/


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