一般財団法人 積善会愛媛十全医療学院附属病院 光長 栄治 院長

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自分自身を正しく知る それも医師の大切な力

【みつなが・えいじ】 1979 自治医科大学医学部卒業 愛媛県立中央病院 1981 愛媛県北宇和郡松野町国民健康保険目黒診療所長1984 市立宇和島病院整形外科 1989 愛媛大学医学部附属病院 1993 愛媛十全医療学院附属病院副院長 2001 同院長

 愛媛十全医療学院の附属病院として開院。整形外科領域を軸に脊椎、関節疾患の手術症例は年々伸びている。実績を支える根本にあるのは、「患者の声を聞く」ことの徹底だ。

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◎高齢化進む愛媛で有数の手術件数

 当院は理学療法士と作業療法士を養成する愛媛十全医療学院の附属病院として、1981年に開院しました。整形外科による運動器疾患の治療と、切れ目のないリハビリテーションを提供。病床数は全97床で、一般病棟55床、回復期リハビリテーション病棟42床です。

 医療と介護の連携がスムーズなのも強みでしょう。通所リハビリテーション「じゅうぜん」と訪問看護ステーションも併設しており、一貫して患者さんに寄り添い、早期にご自宅へ戻っていただくための体制づくりに努めています。

 愛媛県の高齢化率は3割を超えており、全国的に見てもかなり高いのです。当院の患者さんの中心も70代後半から80代前半にかけて。加齢に伴って発症しやすくなる脊椎疾患、関節疾患、骨粗しょう症による転倒での脊椎圧迫骨折といった患者さんが、やはり増加傾向にあります。

 手術の中では特に、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、変形性関節症に対する人工関節置換術が多く、整形外科の2017年の手術症例数は468件。愛媛県でも上位の実績です。

 2016年に、脊椎、スポーツを専門とする医師に加えて、肩の関節を専門とするドクターが着任。関節鏡視下での肩腱板手術など、対応できる疾患の幅が広がったことで、手術件数は今後もさらに伸びていくのではないかと思います。

 ちなみに、患者さんが当院にお越しになった理由をお尋ねすると「口コミ」との回答が多いと感じています。実際に受診された患者さんの声を聞いてお越しくださっているわけですから、うれしいことですね。

 かなり高齢の方であっても、手術が適応可能なケースは少なくありません。しかし、術後の合併症や体力の低下といった可能性があるのも事実です。より的確な診断、低侵襲治療のニーズは、これからますます高まっていくでしょう。

 術中には、ほぼリアルタイムで3D画像を構築できる移動型X線透視装置などを活用。脊椎の手術で金属が正確に固定されているかどうかなどをチェックし、安全性の向上を目指しています。

 また、多職種のチームによる症例検討会や術前カンファレンスなども活発です。各スタッフが情報をしっかりと共有することで、「みんなで患者さんをケアする」意識を徹底。安全面と満足度、その両方の底上げを目指しています。

◎学生たちによる新鮮な「風」が吹く

 愛媛十全医療学院は実習機会を重視し、即戦力の輩出に力を入れています。学生たちは当院や法人の関連施設などで臨床実習に励んでいます。

 その一環として、当院のカンファレンスに学生も参加。多職種のチームの一員として不可欠なコミュニケーション力を磨いてもらうとともに、私たちにとっても非常に新鮮な意見を聞ける機会でもあります。互いにいい刺激を受けているのではないでしょうか。リハビリスタッフの確保の面でも、学院の附属病院であることは大きな強みであると思います。

 今後、肘関節疾患や手の外科など、新しい領域を担えるドクターにも来てもらいたいと思っています。それと、病院の活性化のためにも、若い医師の力は欠かせません。現状は苦戦しているのですが、新専門医制度もスタートしますので、プラスの効果がもたらされることを期待しています。

 当院はメジャーサージャリーと呼ばれる脊椎、関節領域の手術を得意とし、症例数も豊富。さまざまなトレーニングを積める場だと思います。ぜひ、専門性を身に付けたい医師に集まってもらえたらと思っています。

 私は自治医科大学を卒業後、愛媛県立中央病院をはじめ県内各地の医療機関での勤務を経験してきました。やはり中心部を除く地域の医師不足は深刻化しています。

 私たちも地域密着型の病院として、できる限りの医療を届けたいと思っていますし、これからも機能を維持することが責務だと考えています。内科では多様な疾患に対する総合的な診療や週2回の循環器診療に取り組み、慢性疾患の手術症例も一定数あります。また、急性期病院での治療を終えた患者さんも積極的に受け入れています。

 地域連携室が中心となって、院内の医師、看護師、相談員、医療ソーシャルワーカーの連携を促進。患者さんが不安なく入退院できるよう、地域の医療機関とのつながりも強化しています。

◎診断から回復まですべてを担当できる

 保存的治療か、外科的治療か。患者さんの状態に合わせて、どう治療方針を計画し、回復させるか―。自分が診断、治療し、患者さんが社会復帰できるようになるまで、基本的には一連の流れを担当できることが整形外科の魅力だと思います。

 また、高齢者が増加していく中、私たちが存在する意義はどんどん大きくなっているとも言えます。その分、やりがいも大きいのではないかと思います。

 その役割を果たすためには、患者さんが何に困っているのか、どんな生活を望んでいるのかなどを、しっかりと察知することが必要です。ただ現実的には、「100%間違いない治療」は存在しないのです。

 手術によって、若いころの体を取り戻せるわけではありません。どの治療法でアプローチするのがいいのか選択することも難しいですし、手術をしたことで、異なる問題が生じる可能性もゼロではありません。併存疾患が多い高齢の患者さんの場合は特に、丁寧なコミュニケーションが必要だと感じています。

 整形外科医としてキャリアを積み重ねてきましたが、いつも「この患者さんにとって何がベストなのだろうか?」と考え続けています。逆に言えば、これからも医師として成長できる余地があるということでしょう。もしかしたら、これも整形外科の魅力の一つなのかもしれませんね。

◎患者さんの思いをどうやって見極めるか

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 職員には、できるだけ学会へ参加するよう勧めています。今、医療界で何が問題とされ、どんな取り組みが進められているのかをつかむ。新しい知識は常に取り入れておくべきだと思います。

 もう一つ、私自身の考えとして、医師は人格者でなければならないと考えています。

 患者さんの思いを受け止め、自分の最大限の能力で期待に応える。もし「ここから先の領域は他の医療機関に任せた方がいい」と判断したら、しかるべきドクターがいる病院に速やかに紹介する。自分自身の力を正しく見極めることも、医師にとって大切な能力の一つだと思います。

 この「見極める」という力をどうやって磨いていくか。単なる知識や経験の量だけに左右されるのではなく、やはりその人がもっている人格的な部分がベースになると思うのです。いくら高い技術を有する医師だとしても、人間的に信用してもらえなければ、その腕を使う機会すら得られないかもしれません。

 医療機器の性能は、高まっていく一方です。私たちはちゃんとそれを使いこなしながら、患者さんの声に耳を傾けることを忘れてはいけない。私たちが向き合わなければならないのは、機器が撮影した画像ではなく、患者さんなのですから。

一般財団法人 積善会 愛媛十全医療学院附属病院
愛媛県東温市南方561
TEL:089-966-5011
http://www.ehime-juzen.jp/


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