福岡県医師会と第一交通産業が「医師の緊急輸送」で提携
12月12日、福岡県医師会(松田峻一良会長)と北九州市に本社を置く第一交通産業(田中亮一郎社長)が「災害時におけるタクシー車両による緊急輸送協力」に関する協定を締結した。
大規模災害発生時に懸念される課題の一つは「被災地への医師の移動手段の確保」。避難する人や車であふれかえり、倒壊した建物が道路を寸断するなど被災地は混乱をきわめる。
JMAT(日本医師会災害医療チーム)がなかなか被災地にたどり着けず、救援活動が遅々として進まない―。そのようなケースが相次いでいた。
今回の締結は、県医師会の医師が医療行為のために被災地へ向かう際、第一交通産業のタクシーが緊急輸送業務を請け負うもの。県医師会の要請を受け同社が車両や人員の確保、現地の情報収集などに当たる。
同社グループは北海道から沖縄まで34都道府県に拠点を展開し、約8500台のタクシーを所有。365日24時間、輸送業務に応じることのできる体制を整えている。
拠点がない県については各地のタクシー会社およそ350社と業務提携。47都道府県をカバーし、有事の際に輸送業務が可能なタクシーは計4万5000台にのぼる。
県医師会の松田会長は「このような取り組みが各地に広がり、さらに相互に連携する動きにつながれば」と期待を寄せる。
第一交通産業の田中社長は「これまでの経験から、主要な営業所には自家発電機を設置して停電時にも無線が途切れないようにするなど対策を講じている。現地のプロのドライバーのノウハウを生かして、今後より良い仕組みにしていきたい」と語った。