医療法人る・ぷてぃ・らぱん 柊みみはなのどクリニック 内藤 孝司 院長

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使命あってこその経営

【ないとう・こうじ】 1993 愛知医科大学卒業 西尾市民病院 1998 名古屋大学医学部耳鼻咽喉科 1999 東海市民病院柊みみはなのどクリニック開院

 柊みみはなのどクリニックは小児患者を中心とした医療を提供。ドラッカー理論に基づいた病院経営を実践している。

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◎ミッションに基づいた経営を

 当クリニックにはミッション(使命)とクレド(理念)があります。ミッションは「子供たちの未来のために世界で一番ハッピーなクリニックを創る!」。クレドは「患者さんにスタッフにやさしいクリニック」です。クレドが当クリニック独自の文化を表しています。ただ、クレドはあくまでもミッションを達成するための行動指針です。クレドを実現してこそミッションが達成できるのです。

 私たちは、ミッションに基づいた経営をしています。アメリカではミッションに基づいた経営をするのが当たり前です。

 使命がなければ経営は成り立ちません。そのことを私はドラッカーの「マネジメント」で読み、その後、ダイヤモンド社主催の「ドラッカー塾」に行ってミッションに基づく経営を学びました。

 私が初めてドラッカー塾に行ったとき「あなたの使命は何ですか」と問われました。私は当然のように「患者さんを治すことです」と答えました。すると返ってきたのは「それはあなた固有の使命ではありません。医師だったら当然のことです」と言われました。

 「患者さんを治すこと」というのはあまりにも抽象的で漠然とし過ぎています。それを指摘された私は「当クリニックならではの理念を考えなければならない」と考えたのです。

 私たちのメイン顧客(患者さん)は小児です。だから私は、「子どもたちに貢献したい、それをミッションにしよう」と決めました。

 ミッションを定めてからというものスタッフ募集をすると「使命に共感して応募しました」という人がたくさんきてくれるようになりました。またミッションがあれば職員間で価値観を共有できるようになります。

◎社会への貢献

 顧客である小児に喜んでもらうため、クリニック内はアンパンマンやキティちゃん、ドラえもんなどのキャラクターで飾り付け。クリニック内ではCSのアニメチャンネルを流し、クリニックのオリジナルキャラやホームページで動画アニメも制作しました。また小児がのびのびと遊具などで遊べる空間「キッズルーム」もあります。

 2009年から「柊キッズクラブ」を創設しました。クラブに加入していただいた小児に最低年に4回、イベントの招待状を出しています。

 3月にはひな祭りイベント、5月は子どもの日に合わせたイベント、7月は七夕イベント、10月はハロウィンイベント、12月にはクリスマスイベントを開催しています。

 イベントの開催はとても重要だと思います。繰り返すことで患者さんとスタッフの距離が縮まり、クリニックへの親しみが増すと考えています。これもミッションの達成のための行動の一例です。

 イベントを楽しんでもらって子どもに「病院は怖いところではない」と思ってもらい親近感を持ってもらう。将来「医療機関で働きたい」と言う子どももでてくるでしょう。それも社会貢献の一つだと思っています。

 「医療を提供することが社会貢献ではないのか」と言う人がいますが、それは間違っています。自動車会社が「わが社は車を売っているから社会に貢献している」と言うでしょうか。

 例えばアメリカのスターバックス社を例に挙げましょう。同社はフェアトレードに力を入れています。

 私たちは社会貢献の取り組みとして難民を支援している「UNHCR」へクリニックの利益の一部を寄付するようにしています。

 「ミッションとずれているのでは」と思われるかもしれません。しかし難民の中には子どももたくさんいます。子どもの未来のために寄付することはミッションに適っているのです。

◎離職が大幅減 

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 職員に「柊みみはなのどクリニックに就職して良かった。人間として成長できた」と思ってもらえるようにしたい。

 経営者である以上、ただ単に「患者さんを治す、健康を守る」ということだけではなく、組織で働く人々に幸せを与えて成長する機会を与えることが経営者の役割だと思うのです。

 いくら患者さんに貢献できたとしても、そこで働くスタッフが不幸であれば経営者としては失格だと思います。

 2011年から「バディ・システム」を導入しています。これは、同じ仕事をしている職員が2人1組になって頻繁にコミュニケーションを取ることでチームワークの向上を図り、離職を減らす仕組みのことです。

 当クリニックでは1組のバディに3カ月に一度3000円を支給。カフェなどでお互いの仕事上の悩み、プライベートの話をしてもらいます。「バディ・システム」を導入してからというもの職員の離職を大幅に減らすことに成功しました。

 患者さんと職員の投票によってMVP職員を決める「柊アンバサダー選挙」を2012年から実施しています。以前は職員のみの投票で、MVPを決めていましたが、それだと毎年決まった人が表彰される傾向がありました。

 投票者に患者さんを加えると意外な結果が出ました。おっちょこちょいでミスが多く、幹部からの評価は低いけど、接遇能力が高く、患者さんからの評価がとても高い職員がいたのです。

 こうした職員はドラッカーの言う「顧客の欲求を満たし、満足させている」人です。この結果をみて接遇能力が高い職員を評価することの大事さを痛感しました。

 現在、当法人の分院が三つありますので、残念ながらすべての職員の働きぶりを把握することは難しいと言わざるを得まえません。「柊アンバサダー選挙」で患者さんからの評価が高い人たちを、注意深く観察すると、みなさん接遇能力がとても高いのです。

 ここで言う「接遇」は、いわゆる高級ホテル、一流旅館のものとは多少、趣が異なります。私たちはスターバックスのような「接客・接遇」を理想としています。

 おいしいコーヒーを提供するだけでなく、フレンドリーな接客をする。豊富なコーヒーの知識を持ち、お客さんに正しい言葉づかいで対応。ある程度、自由ながらそれでいて整った服装、髪型。

 医療は人と人の関係性が基本だと思っていますので、患者さんが緊張しないような、リラックスできて、かつ丁寧で失礼がないような対応が求められます。当法人の職員は若い人が多いので、高級ホテルの接遇ではなくスターバックスの接遇の方が、無理なく自然にできると思うのです。

 高級ホテル、一流ホテルのような接遇は、できる人とできない人がいます。そのような接遇能力は「才能」です。顧客に「感動体験をさせなさい」と言っても、それができる人は、そう多くないでしょう。

 それを無理強いするとモチベーションが落ちる人もいると思うのです。だから、明るくはきはきとやってもらいたいと考えています。患者さんは子どもが多いので、同じ目線で接することが何よりも大事ではないかと考えています。

医療法人る・ぷてぃ・らぱん 柊みみはなのどクリニック
愛知県大府市柊山町3-315
TEL:0562-46-3341
http://hiiragi.org/


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