どう守る?女性の一生~ニーズ高まる「女性ヘルスケア」~

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予防医学の観点から、女性の「一生」を守っていく─。「女性ヘルスケア」に基づく医療への取り組みが、少しずつ本格化してきた。
これまでのように独立した専門領域ごとの診療では対応できない課題も多い。女性医療は、まさにターニングポイントを迎えている。

女性のかかりつけ医に

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万代昌紀教授(左)と江川美保助教

 京都大学大学院婦人科学産科学は、日本女性医学学会が今年10月に発表した「女性ヘルスケア専門医」認定研修施設。教室が積極的に取り組むテーマの一つとして「女性の生涯をトータルで診る」を掲げる。

 2010年、産婦人科の専門外来として「女性ヘルスケア外来」を開設。江川美保助教が中心になって臨床、研究にあたってきた。月経前症候群(PMS)、更年期障害、心身症が主。江川助教は「病名に応じた標準治療のみでは問題が解決できない患者さんも多い」と言う。

 2015年からは同大学医学部附属病院「女性のこころとからだの相談室」で、自由診療によるカウンセリングも担当。悩みや心配を抱えながらも「どこに相談に行けばよいかわからない」という女性たちを受け止めている。

 従来、産婦人科医療は妊娠や分娩に関する「周産期医学」、不妊やホルモンに関する「生殖内分泌学」、婦人科腫瘍を扱う「婦人科腫瘍学」の三つの柱から成り立っていた。各領域の細分化が進む一方、「女性の一生を切れ目なく診る医療が必要」との声も高まってきた。第4のスペシャルティである「女性ヘルスケア」だ。

 女性ヘルスケアの必要性がさけばれている背景には、社会進出や晩産化が進むにつれて、女性の疾患も多様化、複雑化しているという事実がある。しかし「性差医療」の視点を取り入れた診療はいまだ根付いていないのが現状だ。例えば閉経後の疾患予防として用いられる「ホルモン補充療法(HRT)」は、諸外国と比較して日本は普及が遅れている。

 同教室の万代昌紀教授は「女性ヘルスケアの分野は、まだ黎明期にあるのではないでしょうか」と表現。「女性のヘルスケアという考え方を一つの学問領域として確立したい。質の高い女性ヘルスケア専門医を育成し、女性のかかりつけ医としての役割を担ってほしい」と思いを語る。

ハードルを下げる「内診パンツ」

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西岡智子・すこやか女性クリニック院長

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股の部分に円形の穴を空けた手作りの「内診パンツ」

 すこやか女性クリニック(佐賀市)の西岡智子院長は総合病院の産婦人科勤務医だった。不妊に悩む女性、女性特有のがんー。「もっと早く対応していれば健康を守れたのではないか」と考えるようになった。

 「1人の患者を長期間支えていきたい」。2013年、「女性の生涯に寄り添うかかりつけ婦人科クリニック」を目指して無床のクリニックを開院した。

 クリニックはスーパーや飲食店が入る商業施設の2階。女性でにぎわう立地で、気軽に通院できる場所を選んだ。内装にも工夫を凝らし、カフェ風の意匠を取り入れている。初診は予約制。看護スタッフはすべて助産師で、妊産婦にも対応できる。

 一般的に、産婦人科の内診は下着をすべて脱ぎ、内診台で両脚を広げなければならない。恥ずかしいと感じる女性は少なくなく、受診から足が遠のく要因の一つともなっている。

 そこで西岡院長が考案したのが「内診パンツ」だ。股に円形の穴を空けた、文字通り「手縫い」のパンツを活用している。「大腸検診には穴が空いたパンツがある。産婦人科にもあればと思い作った」と西岡院長。

 超高齢社会に入り健康寿命の延伸が注目されるなど、「長い人生をいかに過ごすか」という点が重視されるようになった。「女性らしさを失わずに、年を重ねても元気でいられる。そんな人生を支えるクリニックでありたい」と西岡院長は言う。


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