レーザー治療で幸せのお手伝い
レーザーによる小児のあざ治療に取り組む西堀形成外科が11月25日、規模を拡大して移転する。西堀公治院長は「あざで悩んでいる人の人生をより豊かにしたい」と話す。
◎移転で広さ2倍に
現在の病院がある名古屋市名東区からほど近い長久手市に移転します。敷地面積は2倍。院内は、小児を中心にした形成外科と美容の部門を分けて配置しました。入口は同じですが、待合室も診療、カウンセリングのスペースも別です。
小児、乳児のあざ治療を専門に扱っているので、患者さんの6割が3歳以下、75%が6歳以下です。診療時は必ず保護者が付き添います。最近は、両親そろって来られることも多く、そうなると患者数の3倍の人数が来院することになります。
今は待合室が狭く、特に土曜日は混み合って不便をかけているので、広い場所を確保しました。さらに、子どもたちが遊べるキッズスペースも三つ設けました。
待ち時間の負担軽減のため、診察室およびカウンセリングルームで先にカウンセリングを受けてもらい、医師が回っていく形に変えます。ナース・カウンセラーがまず話を聞いて、その後、医師が治療方針をまとめ、治療する、という分業です。
◎高まるニーズ
レーザー機器は、私が医師になってからの24年でずいぶん安全性が高まりました。昔は職人技のように繊細な技術が必要でした。今は、経験が浅くても取り扱いが可能になってきました。
設定もメンテナンスも簡単になり、固定式だったのが移動できるほどに軽量化。使える医師が増えたことで実施医療機関数も増え、研究が進んで治療結果が良好となり、結果的に治療希望者が増えるという循環があります。当院では、あざの色によって3波長を使い分けています。
スマートフォンの普及で、インターネットを見てこの病院を見つけたという人が増えました。遠くは石垣島や函館から来られる人もいます。だいたい5、6回通ってもらうことになるので、負担は大きいと思います。でも、レーザーを専門的にやっている医療機関は全国でも少ないのです。今後は遠隔診療を導入する予定です。
◎オフ会で交流
ネット上には、あざのある子の親らがつながるコミュニティーができています。悩みを打ち明けられる先が広がったのはいいことだと思います。ただ、実際に会って話をしないと、本当の心の交流はできないのではないかと思います。
待合室で「いつも見る人だな、声を掛けたいな」と思っても、なかなかできないと思います。そこで、患者さん同士で交流できる「オフ会」を昨年からスタッフが中心となって企画しています。
「あざがあってもにこにこカフェ」と銘打って、3〜4カ月に一度、開催。これは、新病院でも継続します。お茶を飲みながら情報交換したり、クリスマスの時期には私がサンタに扮(ふん)して登場したり。スタッフだけでなく、関連業者の方たちにも参加してもらっています。
医師やスタッフと患者さんも、普段の診療だけでは話せないこともあります。ここが良い関係づくりの場になっていると思います。
あざは、完全に消せる例は意外と少ない。医療者としては、薄くすることが目標です。あざがあっても、それを受け入れて幸せに生きていってもらいたい。カフェに参加してもらうことで、治療にも前向きになれると思います。
あざの中には、合併症の危険があるものも一部存在しますが、多くの場合、そのままにしていても問題ない。でも、子どもにあざがある場合、「あざによって子どもがいじめにあったら」と、親は悩みます。本人がハンディキャップに感じることもあると思います。
あざを一刻も早くなくしたいという気持ちは理解できます。こちらからは、「気になるのであれば早めに治療しましょう」と話すようにしています。
◎「美容」も要望増加
あざ治療だけでなく、美容レーザーも今、必要とされています。治療価格が下がってきたこともあり、利用する人は増えています。こちらは、女性の患者さんが多いので、形成外科医師である妻が主に担当しています。
もともと、子どものあざ治療で来院されたお母さんを対象にしたいと考えていました。子育てで自分のことを後回しにしがちな女性をきれいにしたい、と。子どもを連れて来院された場合は、院内託児を利用してもらっています。
「なりたい自分になる」という点で、あざ治療も美容も通じるところはあります。レーザーの技術によって、悩めるより多くの人に幸福になってもらいたいと考えています。
◎技術を広めたい
私は日本形成外科学会専門医で、日本レーザー医学会専門医・指導医でもあります。形成外科の中でも、レーザーを専門に扱う医師は少ない。やはり、手術をする分野に目が向きがちです。それでも、私はライフワークとして、レーザー治療にとてもやりがいを感じています。
「自分がやりたいこと」「他人から望まれること」「他人の嫌がること」すべてをするというのが信条でした。さらに、性格上「きれいにすること」が好き。レーザー治療は、そのすべてに合致していました。
医大時代なども含めると、これまでレーザーと手術で4万件超を経験。先輩から学んだ技術と培ってきた経験を後進に伝えたいと思います。ここでは、専門医取得の研修も受けてもらえます。今後、プログラムも充実させていきたい。レーザーを扱える人を増やしたいので、経験のない人にも参加してもらえる勉強会も開いていきたいと考えています。
◎託児完備で人材確保
現在、常勤医師は院長のみ。あとは非常勤のママドクターを中心に外来診療をしています。子育て中の女性スタッフが働きやすいよう、院内に託児所を整備。わが家も、毎朝2歳の子どもを院内託児に預けてから出勤しています。
この地域は、名古屋市中心部のベッドタウンで、若い核家族が多い。女性の働きやすさを追求すると、託児所は必須です。病院の規模拡大で、今後、必要な人材も増えます。新病院では、託児所の面積をさらに広げています。
ここでは大学病院のような研究はできません。でも、臨床では業界を引っ張っていく存在になりたい。より良い治療を目指し、患者さんの幸せな人生をサポートしていきたいと考えています。
医療法人クリアジオーネ・エステティカ 西堀形成外科
名古屋市名東区藤が丘141(移転前)
TEL:052-769-4800(移転前)
http://nishihori-k.com/