独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター 田中 康博 院長

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患者さんのための情報発信も重要

【たなか・やすひろ】 鹿児島県立鶴丸高校卒業1983 鹿児島大学医学部卒業 同附属病院第二内科入局 1991 米国ワシントン州立大学メディカルセンターresearch fellow  2007 独立行政法人国立病院機構指宿病院(現:指宿医療センター)診療部長 2009 同院長 2017 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター院長

 7月に独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センターの5代目院長に就任した田中康博氏。前任地の指宿医療センターでは、高齢化が急速に進む地域医療の課題解決に尽力した。鹿児島医療センターでも新たな挑戦が始まった。

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◎指宿での経験を強みにして

 私が指宿医療センターに着任したのは2007年。その直前の2005年には、指宿市は早くも高齢化率が30%となりました。1950(昭和25)年の約6万9000人をピークに、約4万1千人(2015年度)と人口減少が進んでいる地域です。人口10万人当たりの医師数は全国平均以下の医療過疎地域でもありました。

 一時は病院の存続も危ぶまれていましたが、救急の強化などによって黒字を達成。

 院長着任から9年目の今年6月には念願だった新病棟を開設することができました。地域医療の核となる環境は、整備できたと考えています。

 指宿ではわが国の今後の医療のあり方について考えさせられる機会が多くありました。特に、限られた医療資源の中で、医療をスムーズに進めるためには、地元医師会や開業医の先生との顔が見える関係を構築し大切にすることが大変重要だということを実感しました。この経験を当院の運営にも生かしたいと思っています。

 ここ鹿児島市の高齢化率は24.2%(2015年度)。人口10万人当たりの医師数も全国平均を上回っています。しかし、いずれは指宿のように高齢化も人口減少も進むでしょう。

 これからは、地域の高度医療を維持しながらも、機能分化を進めなければなりません。そのためには、病院単体の頑張りや、病院同士が切磋琢磨するという従来のやり方だけではうまく行きません。

 医師会、大学、医療行政に関わる人たちと一緒に、当院も「鹿児島県全体の医療をどういう形にするか」ということを考えていきたいと思っています。

◎地域で果たす役割

 当院の前身となる国立南九州中央病院は、循環器やがんの中核病院として、1981年に100床で開設し、2000年に国立療養所霧島病院と統合。2004年に独立行政法人となり、2006年には病院名を今の鹿児島医療センターに改めました。現在は、鹿児島県全体の急性期医療を担い、3次救急を担当しています。

 診療面では特に、循環器疾患、がん、脳卒中に対して力を入れています。

 2016年11月に、心臓病・脳卒中救急センターを開設。ハイブリッド手術室を設けるなど、施設面にも力を入れ、脳血管疾患と心臓病に関しては長年、鹿児島県をリードしていると思います。また、がんにおいては、血液のがんや皮膚腫瘍も患者数が多い分野です。

◎鹿児島逓信病院からの「診療医療機能移転」

 新たな取り組みとして、当センターは、鹿児島逓信病院と「診療医療機能移転」について合意に至りました。鹿児島県医療計画などに基づき、県内の医療機関との統合・再編を進め医療機能を強化する狙いがあります。

 2018年4月をめどに、鹿児島逓信病院の医師が当院に異動。同院の40床を当院に移し、全体で410床となります。

 診療面では、これまで当院にはいなかった肝臓の専門医が加わりますので、消化器内科の充実が期待されます。

 眼科医の異動に伴い眼科を新設する予定です。当院は、糖尿病の患者さんも多く、合併症による眼疾患にも対応できるようになります。

 鹿児島県内では、運営母体が異なる公的病院の再編はこれまでほとんどなかったので、新たな動きとして注目されています。二つの病院をスムーズに融合させることが、今後の私の大きなミッションです。

◎正しい情報を迅速に発信

 今の課題の一つが情報の発信。広報活動に力を入れたいと考えています。

 インターネット上には、さまざまな情報が掲載されていますが、そのすべてが正しいわけではありません。

 医療に関しても、根拠が明示されていないランキングなどを見ることもありますし、「怖い時代」だと感じることも多々あります。

 だからこそ、われわれがどのような医療を提供しているのかを、ホームページなどを使い、自分たち自身できちんと伝える必要があります。

 「良い仕事とは、良い医療を提供した上で、それを正しく情報発信する」ことだと思っています。そうすることによって初めて、その仕事が完結するのではないでしょうか。

 もちろん、「黙々と仕事をしていたら、皆さんがそれを見ていてくれるだろう」という考えもあります。しかし、現代は、まずインターネットで情報を得るという患者さんが多くなっています。病院選びにも、大きく影響します。

 そのためにも、患者さんや家族の方に正しい情報を伝えることが必要です。早急に院内ホームページ委員会をつくり、情報発信について積極的に検討したいと思っています。

◎鹿児島大学連携大学院として

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 当センターは、2009年に鹿児島大学と協定を結び、同大の連携大学院になっています。これは、臨床現場で働きながら大学院で学べるシステムで、当センターには、現在3人の大学院生がいます。このほど、当センター勤務の臨床検査技師の1人が審査に通り、今年度、連携大学院で学んだ医学博士「第一号」になります。

 医療専門職として自己研さんし続ける職員がいることを大変誇らしく思います。

独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター
鹿児島市城山町8-1
TEL:099-223-1151
http://kagomc.jp/


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