大阪国際がんセンター放射線腫瘍科 主任部長 大阪大学名誉教授 大会長 手島 昭樹

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日本放射線腫瘍学会・第30回学術大会
放射線腫瘍学の役割拡大:ビッグデータ時代における挑戦

【てしま・てるき】 広島県立皆実高校卒業 1980 広島大学医学部卒業 同附属病院研修医 同医学部助手 1982 大阪大学医学部附属病院研修医・医員1990 同助手 1994 米国Fox Chase Cancer Center客員研究員 1995 大阪大学医学部助教授 米国Fox Chase Cancer Center客員教授 2003 大阪大学医学部教授 2012 大阪府立成人病センター(現:大阪国際がんセンター)主任部長 大阪大学名誉教授

 日本放射線腫瘍学会・第30回学術大会が、11月17日(金)〜19日(日)、大阪市内で開かれる。

 メインテーマは「放射線腫瘍学の役割拡大・ビッグデータ時代における挑戦」。手島昭樹大会長(大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長/大阪大学名誉教授)に狙いや見どころを聞いた。

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―日本放射線腫瘍学会について概要を。

 放射線医学には「放射線診断」「核医学」「放射線治療」という三つの分野があります。日本放射線腫瘍学会は「放射線治療」を主に扱う学会。もともとは日本医学放射線学会の一部でした。

 1988年、日本の放射線腫瘍学を欧米のように発展させようと医学放射線学会から独立。今年で30年を迎えました。

 放射線腫瘍学会では、設立当初から、放射線治療の新規患者数を調査してきました。この30年の数値を見ると、患者数が大きく伸びてきたことがわかります。

 しかし、放射線治療を受けた患者の割合は25%ほどで、30年前からほとんど変化なし。欧米の場合は、50〜60%もの人が放射線治療を受けています。

 放射線治療で治療をすべき患者さんを、われわれ医療者がきちんと拾い上げていないのではないか。放射線治療を適応したほうが良い患者さんはもっとたくさんいるのではないか。今回の学術大会で、参加者のみなさんと一緒に考えたいと思っています。

―学術集会のポイントは。

 国内で放射線治療が比較的多く実施されているのは前立腺がん。一方、胃がんや大腸がんといった患者数が多いがんでは、治療の中心は外科手術で進められており、放射線治療があまりされてきませんでした。

 近年、胃がんや大腸がんに対して、化学療法と抗がん剤治療を並行実施する医療機関も出てきていますが、まだ一部に留まります。

 一方、欧米ではすべてのがんで放射線治療が多く使われています。胃がんや大腸がんも例外ではありません。

 そこで今回、胃がんと大腸がんの放射線治療について、それぞれの臓器のスペシャリストとともに考える特別企画「適応拡大フォーラム」を用意しました。

 両フォーラムとも、消化器系がんや化学療法、放射線治療の日米のエキスパートを招待。日米の状況や違いを踏まえた上で、わが国では今後、大腸・胃がんの放射線治療をどのようにして拡大していくべきなのかを考えます。

 これらの企画のポイントは、放射線科だけでなく、外科、内科の医師が一緒に論議することです。大腸がんや胃がんの治療に放射線がどう関わることができるのか。そのヒントが得られると期待しています。

 さらには座長や演者の方を通じて、外科や内科といったそれぞれの所属学会にも放射線治療の情報が広がり、議論につながればうれしく思います。患者さんの立場に立ち、外科、内科、放射線科が総力戦で立ち向かうことが、がんの撲滅にもつながるはずです。

 日米のがんのデータ活用についての特別企画も用意しています。

―新しい取り組みなど。

 今回、参加者には、学術大会の感想や質問、意見を「ツイッター」を使ってリアルタイムに書き込んでもらおうと考えています。

 学会の場合、ともすれば偉い先生の話を聞いて満足して帰る。というパターンになってしまいます。今回は、ツイッターを使い、会場の参加者の意見や質問を聞き、その場でツイッターの書き込みに対して講演者が答えるようなやり方も取り入れる計画です。特に、若手の意見を聞きたいと思います。

―大阪重粒子センターが間もなく完成ですね。

 現在、大阪国際がんセンターに隣接して、大阪重粒子センターが建設中です。2018年秋には、治療が開始される予定ですので、それに向けた準備を当院でも進めているところです。

 大阪府のがん拠点病院には、放射線治療部会がありますが、10月にはここで重粒子センターの溝江純悦センター長に講演をしてもらい、同センターの治療方針などについて話を伺います。

 また、府内の各大学医学部や、その関連病院も参加する予定ですので、重粒子線治療に対する医療機関の連携を図りたいと思っています。

 大阪府の都心部というアクセス抜群な場所に誕生します。全国各地、あるいは海外からの患者さんも受け入れる体制を作るため、大阪国際がんセンターも協力していきたいと考えています。

日本放射線腫瘍学会・第30回学術大会

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【適応拡大1 大腸癌フォーラム】

New Indications for Radiation Oncology : Colorectal Cancer(同時通訳あり)
座長:Bruce D. Minsky(University of Texas MD Anderson Cancer Center)小口正彦(がん研有明病院)

【基調講演】

杉原 健一(光仁会 第一病院)
演者:室 圭(愛知県がんセンター中央病院)
伊藤 芳紀(国立がん研究センター中央病院)

【適応拡大2 胃癌フォーラム】

New Indications for Radiation Oncology : Gastric Cancer(同時通訳あり)
座長:Bruce D. Minsky(University of Texas MD Anderson Cancer Center)
西村 恭昌(近畿大学)

【基調講演】

佐野 武(がん研有明病院)
朴 成和(国立がん研究センター中央病院)
演者:今野 元博(近畿大学)、横川 正樹(大和高田市立病院)

会期:11月17日(金)~11月19日(日)
会場:グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター他
大会事務局: 大阪国際がんセンター
学会HP:http://www.congre.co.jp/jastro2017/


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