選ばれる病院であり続けたい
高槻市・茨木市・摂津市・島本町からなる三島医療圏域の急性期医療を担う社会医療法人祐生会・みどりケ丘病院。院内に回復期リハビリテーション病棟も有している。
法人内の介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホームで在宅にも対応。
同法人の甲斐史敏理事長にみどりケ丘病院について聞いた。
◎50周年に向けて
救急車の年間受け入れ台数は約3800台。高度急性期病院からの患者さんを受け入れて、回復期病棟で治療し、在宅へとつなげていく役割を担っています。
当院は1971(昭和46)年開設。今年で開設46年です。50周年に向けて地域の人にとって魅力がある「選ばれる病院」であり続けるために病院の増改築を予定しています。
ハード面の強化だけでなく、職員教育を通じてソフト面も向上させていくつもりです。
職員の教育に院外研修やセミナーだけでは、十分ではありません。今後はオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)の重要性を感じています。
OJTでは先輩職員が新人の職員に付き添い、業務指導をし、業務に慣れてもらいます。
日々の忙しい業務をこなしながら、しっかりとした教育をするのは、時間的余裕、人的余裕が十分でないため困難を伴うミッションです。
しかし、忙しいからと言って教育することをあきらめてしまえば進歩はありません。何事も続けることが重要です。あえて期限を設けるようなことはせず、充実したOJTの実施を目指します。
継続していくうちに、当院に合った独自の教育方法が構築できるようになることを期待しています。
◎救急体制のさらなる強化を
現在、救急の認定看護師が1人。今年秋には2人になる予定です。
当院は、精神科、周産期医療を除き、幅広い診療科に対応していますが24時間、365日対応しているわけではありません。もう少し救急体制を強化する必要があると感じますね。
運ばれた医療機関によって治療成績が変わるというのは、患者さんにとって望まれることではありません。患者さんに不利益を被らせることがないように、医師の確保などをしてさらなる体制強化を図り、患者さんにご迷惑をおかけすることがないようにしていかなければなりません。
◎院内旅行でチームワーク強化
これからは多職種連携のチーム医療が必須です。交流を深めるため毎年、国内での1泊2日の院内旅行をしています。毎月の旅行積立金に病院が上乗せをして補助しています。
旅行先で仲良くなって、病棟のチームワークが良くなった例もたくさんあります。今後もこうした福利厚生を通じてチームワークの醸成を図っていきたいと考えています。
◎職員満足度向上に寄与
4月1日、病院から数10mの場所にある職員向けの「みどりわかば保育園」をリニューアルオープンしました。
保育料は原則無料。夜間や日曜預かりもしています。英語教育も取り入れています。
給食メニューは当院の調理場で作っています。そのため栄養のバランスがよく、子どもの好き嫌いが減り、食育に貢献しています。
また、ご家庭で参考にしてもらえるよう、その日のレシピを玄関に張り出しています。
院内保育園があることで、職員は安心して働くことができます。それが職員満足度の向上につながればと思います。
職員満足度が高ければ、ことさらマニュアル通りの接遇教育をせずとも自然と患者さんに対して優しく丁寧な対応ができるようになると思います。職員の心身が充実していれば、病院の雰囲気がおのずと明るくなるし、その雰囲気の良さが患者さんにも伝わると思います。
◎情報発信を活発化し、より「選ばれる病院」に
広報部では、8月からウェブサイト作成のプロフェッショナルを採用。ホームページの刷新にとりかかりました。
病院の情報を収集しようと思う人は、まずその病院のホームページを検索するでしょう。そこでホームページがなかったり、長いこと更新されずに情報が古かったりすると、それだけで選んでもらえないということにもつながりかねません。
医療の世界は日進月歩。治療方法も医療機器も次々と新しいものへと変化していきます。病院の診療情報などをリアルタイムに患者さんや地域の開業医の先生方に発信するために今後は、もっとウェブサイトを有効活用していくつもりです。
乳腺外科や消化器内科には女性医師が在籍しています。女性の患者さんは安心感があるでしょう。現在、病棟の壁面に「女性医師による大腸内視鏡検査・乳腺外科」と書いた屋外シートを張り出しています。ただ、今の時代、それだけでは情報発信の手段としては、弱いと言わざるを得ません。
毎月1回、地域住民を対象にした各種健康教室を開催しています。当院の医師が講師となり、高脂血症や糖尿病、骨粗しょう症などをテーマに病気のことや、予防法、薬などのレクチャーをします。
今は病院の会議室などで30人くらいの定員で開催していますが、広報を積極的にして将来的にはホールなどを借り、もっと大規模なものにしたいとの思いがありますね。
◎激動の時代に
医療界にとって、今はまさに激動の時代だと言えます。人口動態も変わり、人口減の社会が到来します。医療政策も刻々と変化する。その変化についていけない病院は、いずれ患者さんに選ばれなくなり淘汰(とうた)されてしまうでしょう。
大げさに聞こえるかもしれませんが、現在は医療界の幕末期だと思うのです。明治維新では時流に乗った藩が明治維新を起こしました。それと同じことが医療界で起ころうとしているのです。
私たちも医療の質を保ち続け、柔軟で変化に対応できるような運営をして、この激動の時代を生き抜かなければならないと感じています。
社会医療法人 祐生会
大阪府高槻市真上町3-13-1
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