医療法人 英仁会 大阪ブレストクリニック 芝 英一 理事長

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9月5日に新築移転乳がん専門の「クリニック」だからこそできること

【しば・えいいち】 1977 大阪大学医学部卒業同附属病院 1979 西宮市立中央病院外科 1982 大阪大学医学部第二外科 1984 大阪府立成人病センター第3外科(乳腺・内分泌外科) 1986 米国ハーバード大学 ベスイスラエル病院外科 1996 大阪大学医学部附属病院バイオメディカル研究センター腫瘍外科助教授 1999 大阪大学大学院医学系研究科腫瘍外科助教授 2000 大阪厚生年金病院乳腺内分泌外科 2004 同大臨床教授 2005 大阪ブレストクリニック院長 2008 医療法人英仁会理事長

 病床数11床のクリニックでありながら、近畿地区では最多の乳がん手術実績を誇る乳がん専門診療所「大阪ブレストクリニック」。これまで別々の場所にあった外来センター、治療センター、レディースドックを統合し、大阪市福島区大開に新築移転した。

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―大阪ブレストクリニックの特徴を教えてください。

 「大きな病院ではできない細やかな治療を提供したい」との思いから、2005年9月に開院しました。

 現在、看護師や薬剤師、細胞検査士、理学療法士など多職種のスタッフが約100人在籍。一つの外来ブースに2人以上の看護師とクラークが常駐し、細胞検査で結果が悪かった場合などには、ショックを受けた患者に寄り添い、フォローできる体制を取っています。

 基本的にどの職種のスタッフも対等な立場で、治療方針に関して誰のどんな意見もしっかり取り入れるようにしています。患者の情報は電子カルテですべてのスタッフが把握。病状だけでなく、その背景も含めて情報共有を徹底し、患者さんやその家族を支える。そのためにはこういったチーム医療の実践が欠かせません。

―乳がん手術件数は近畿地区で1位の実績を誇ります。

 医師は常勤で10人、そのうち麻酔科専門医が1人、6人は乳腺専門医と、大学病院レベルの数の乳腺専門医が在籍しています。当初は3人の医師で年間200例ほどを実施するつもりでしたが、患者数は予想をはるかに上回る伸びを見せています。開院して半年で1人、さらに1人と医師を追加し、昨年は454例の手術実績を残すことができました。

 乳がんの手術件数としては近畿地区で1位。今年は500例を超えそうです。これも職員が頑張ってくれたおかげだと思います。

―これほど患者に支持される理由は。

 手術件数が多いと患者さんも安心します。手術による入院期間は全摘で最長7日、リンパ節を取ったりすると10日ぐらい。ほとんどの方が4〜5日で退院しますので、入院期間の短さも評価されているのだと思います。口コミで来てくださる患者さんが多いですね。

 新築移転を機に19床に増床したかったのですが行政の許可が下りず、11床のまま。今後も行政の方には増床をお願いしていくつもりです。

―早期の「非侵潤性乳管がん(DCIS)」の患者が全体の約25%を占めていますね。

 乳管の内側だけに異常細胞が認められる0期の乳がん「非侵潤性乳管がん」の手術件数が、全体の約25%を占めています。診断が難しいとされているDCISの割合として、他の医療機関と比較しても、高い方だと思います。

 当院の臨床検査技師は超音波検査の経験者であっても、3カ月〜半年のトレーニングを経て、やっと診断を任されるようになります。検査の精度がとても高いことが影響しているのでしょう。

―新クリニックの特徴を教えてください。

 大阪市営地下鉄「野田阪神」駅、JR「海老江」駅、阪神電鉄「野田」駅と三つの駅が近く、遠くから来る患者さんが多い当院にとって、好立地に移転することができました。

 外来診察の場となる「外来センター」、手術や外来化学療法、入院をする「治療センター」、検診の「レディースドック」がこれまで別々の場所にあり、検査内容によっては各施設を行き来しなければならない不便さがありましたが、一つの建物に統合したことで解消できました。

 さらに、婦人科と病理の医師も加わったことで、乳がんと婦人科、双方の検診を当院でできるようになった点も、患者さんに喜ばれています。

 乳がん治療の際に使用することのある抗ホルモン剤「タモキシフェン」の副作用の一つに子宮内膜肥厚があります。さらに女性に多い骨粗しょう症、更年期障害といった幅広い婦人科疾患も含めて、当院でフォローできる体制が整いました。

 機器の面で言うと、乳腺クリニックでは全国で初めて、放射線治療機器を導入したことも特徴です。

 乳房温存手術をされる方は、当院の手術症例全体の約7割、年間300人余り。そのほとんどが手術の後に放射線治療を受けます。これまでは、当院で乳房温存手術を受けた方には、放射線治療ができる他の病院を紹介していましたが、今後は当院で引き続き治療できます。患者さんも安心されるでしょう。

―遺伝外来について教えてください。

 5年ほど前、遺伝カウンセラーによる遺伝外来を設けました。家族歴がある乳がん患者、がんになっていないものの家族歴がある方を対象に、「BRCA1/2遺伝子」の検査を実施。BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に、乳がんや卵巣がんの発症と関連のある病的変異があるかを確認します。

 卵巣がんは乳がんと違って進行が早く、早期に発見することが難しいのです。検査の結果、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の異常が見つかった場合には、大阪大学医学部附属病院や北野病院、兵庫医科大学など高度先進医療を実施している医療機関で、リスク低減手術としての卵管卵巣摘除術(RRSO)を受けていただきます。卵管と卵巣を切除することで妊娠が不可能になりますが、HBOCによる死亡リスクを減らすために検討すべき方法です。

 乳がんについては当院で年に一度の検診によるフォローアップをしていきます。

―10月は乳がん月間。検診の内容と独自の取り組みを教えてください。

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 近年の研究で、40代の女性でマンモグラフィーと超音波検査の両方をする群と、マンモグラフィーのみの群に分けて検査結果を比較したところ、超音波検査とマンモグラフィーの両方をした方が、がんの発見率が2倍ほど高くなるというデータが出ました。

 当院の検診では、40代以上の女性や、乳房の濃度が高く白く映ってしまう高濃度乳房の方にはマンモグラフィーと合わせて超音波検査も推奨しています。30代以下の女性は、家族に乳がん患者がいるなどの家族歴がない限り、年に1度の超音波検査のみで問題ないと思います。

 2010年、奈良県では初めてとなる乳腺専門の無床診療所「大阪ブレストクリニック学園前」を開院し、私を含め当院の医師が交代で診療を担当しています。

 5年ほど前からはNPO法人J・POSHが主催するJ・M・S(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)に協賛。毎年10月の第3日曜日に乳がん検診を実施しています。

 今年は10月15日(日)に大阪ブレストクリニック学園前で実施する予定です。平日はなかなか乳がん検診にいけないという方に、ぜひ受診していただきたいですね。

―病院の今後の展開を教えてください。

 「乳がんの治療といえば大阪ブレストクリニック」と一番に挙げてもらえるような存在になるために、近隣の病院との連携を強化し、患者さんのニーズに応え、最新の乳がん診断と治療を実践し、より小回りの利く診療を提供していきます。

 乳がんは治癒しやすい疾患です。検診を受けることで早期発見が可能となるので、女性の方は年に1度、少なくとも2年に1度は乳がん検診を受けてほしいと思います。

 医療機関での検診だけでなく、月に1度は自己検診をしてほしい。少しでも異常を感じたら、遠慮せずに乳腺外科を受診していただきたいと願っています。

医療法人 英仁会 大阪ブレストクリニック
大阪市福島区大開1-13-8
TEL:06-6465-4108
http://www.osaka-breast-clinic.com/


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