医療法人 薫風会 佐野病院 佐野 寧 理事長・病院長

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低侵襲治療を追究

【さの・やすし】 1991 関西医科大学卒業 1994 秋田赤十字病院胃腸センター1995 神戸大学第二病理 1999 国立がんセンター東病院 2000 神戸大学大学院医学系研究科修了 2006 佐野病院消化器センター長就任 2007 同理事長・病院長

 佐野病院では患者の体に負担が少ない低侵襲治療を提供。地域の消化器がん専門病院として地域医療に貢献している。

 佐野寧理事長・病院長に話を聞いた。

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◎転機

 2006年6月、前任地である国立がんセンター東病院から父が院長を務めるこの病院に戻ってきました。

 当時、39歳。大腸内視鏡検査の大腸がん抑制効果などを調査する厚生労働科学研究班の班長を任されていた時期です。

 父の体調がすぐれず「佐野病院に帰ってきてくれ」と言われたときは、正直なところ、気が進みませんでした。

 しかし、佐野病院に帰ってからも、国立がんセンター東病院でやっていた研究を続けられる環境が整ったこともあり、帰ることを決意したのです。

◎がんセンターと同等のがん医療を

 国立がんセンター東病院には、日本全国はもちろん、海外からも多くの患者さんが来ています。当然、この病院がある神戸からも多くの患者さんが来ていました。

 「わざわざ東京まで来なくても、兵庫県で治療を受けられますよ」とお伝えするのですが、それでも患者さんの多くは、がんセンターでの最先端治療を希望されます。

 そんな経験があったこともあり「佐野病院に戻ったら国立がんセンターと同等のがん医療を提供しよう。そうすれば神戸の患者さんにご不便をかけることはなくなる」と考えました。

◎郷里へ、消化器センター設立

 当院は1888(明治21)年開院。来年で開院130周年を迎える市内最古の病院です。

 初代院長で私の曾祖父に当たる佐野誉(ほまれ)は、孫文や勝海舟の主治医経験があり、東京大学では森鴎外と同級生でした。

 私がこちらに戻ったころは、今のように消化器がんが得意な病院というわけではなく、地域の総合病院的な役割を担っていました。

 佐野病院に戻って5カ月後の2006年11月、消化器センターを設立しました。しかし、この地域での人脈、実績が全くない状態からのスタートでしたので、設立当初はとても苦労しましたね。

 まだ、若かったので、同級生の多くは大学病院で研究に励んでいる。開業している者もいません。医師会でも最年少という状況でした。

 それでも地域の病院やクリニック一軒一軒にあいさつまわりをしました。その結果、徐々にですが、私がやろうとしていることが理解されるようになりました。

 国立がんセンター東病院から神戸のがん患者さんの紹介件数も増えました。設立当初の2006年の年間内視鏡検査件数が、1172例だったのが、昨年は7054例にまで増加しました。

◎後進に経験を伝えたい

 消化器がんセンター長の小髙雅人先生は、がんセンター時代の同僚で、腹腔鏡手術のスペシャリスト。大腸がんの肛門温存手術などに定評があります。

 また「切らない筋腫治療センター」のセンター長、井上滋夫先生は子宮筋腫内視鏡手術のスペシャリストです。

 2013年、患者さんの体に負担をかけない、より低侵襲な治療を目指し、低侵襲内視鏡診断治療研究所を院内に開設しました。

 がんの低侵襲内視鏡・腹腔鏡・子宮鏡診断治療のための技術開発と、その臨床応用、がんの早期発見を目的とした診断法と機器の研究などを通し、低侵襲治療を追究しています。

 個人病院で、このような取り組みをしているのは全国的にも珍しいのではないでしょうか。

 低侵襲内視鏡診断治療研究所では毎年、次世代の消化管内視鏡医の育成を目的として「神戸舞子内視鏡スキルアップアカデミー」を開催しています。

 アカデミーの対象は若手医師。1年かけて内視鏡の使い方、治療、診断の基本などを学びます。これまで45人が卒業し、日本全国や海外で活躍してくれています。

 同じく2013年、アジアの内視鏡治療の技術向上に寄与したいとの思いでNGO団体「ANBIG」(Asian Novel Bio-Imaging and InterventionGroup)を設立。これまで、アジアの医師2000人強を指導してきました。

 ANBIGで指導を受けた方々が、それぞれの国で内視鏡の指導的立場に成長し、内視鏡治療のレベルアップに貢献してくれることを期待しています。

 私は現在、51歳。内視鏡治療の最前線に立っていられるのもあと10年くらいでしょうか。これまでに得た知識や経験を後進に伝えていきたいですね。

◎最先端の内視鏡を開発

 国立がんセンター東病院在籍時、オリンパスと共同で、がん細胞を強調して表示できるNBI内視鏡を開発。2006年に世界リリースしました。

 テレビはブラウン管からハイビジョン、4Kへと進化。最近では8Kという言葉も耳にするようになりました。ありのままの姿を、より忠実に再現することがテレビの映像技術発展の歴史なのです。

 内視鏡も同様で、これまでは、より高解像度に患部を忠実に映し出すことで進化を遂げてきました。

 しかし、医療においては、あるがままを映し出すことよりも、目に見えない患部を映し出すことこそが重要ではないか。それが、この開発の原点です。

 この内視鏡の開発が評価され、6月30 日に一般財団法人日本医科器械資料保存協会医科器械史研究賞を受賞しました。また日本消化器内視鏡学会では、私の名前を冠した「佐野・田尻記念賞」という内視鏡の発展に寄与した人に贈られる賞が制定されることになりました。伝統ある日本消化器内視鏡学会の賞に自分の名前が入ることに名誉を感じていますね。

 共同開発者であるオリンパスの後野和弘氏は2011年に「内閣総理大臣発明賞」を受賞。今年の春には紫綬褒章も受賞しています。

医療法人 薫風会 佐野病院
神戸市垂水区清水が丘2-5-1
TEL:078-785-1000
http://www.sano-hospital.or.jp/


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