医療法人 仁徳会 周南病院 大庭 幸生 院長

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学びたいことが山のようにあるのです

【おおば・ゆきお】 1990 山口大学医学部卒業 1991 医療法人社団成蹊会岡田病院 1996 山口大学大学院医学研究科博士課程修了1997 山口大学医学部附属病院神経内科助手 宇部興産中央病院1998 医療法人和同会山口リハビリテーション病院副院長 2013 医療法人社団生和会周南リハビリテーション病院院長 2014 医療法人仁徳会周南病院 2015 同院長

 JR徳山駅のほど近く、「平和通(HAPPY)」と「御幸通(PEACE)」を結ぶ通称「PH通り」。美しく整備された道沿いに、溶け込むように建つのが周南病院だ。

 1967年開設。「誰でも気軽に行ける病院」として地域に親しまれ、幅広い診療活動に取り組んでいる。

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◎柔軟に診療する「何でも屋」です

 オフィス街で徳山駅から徒歩3、4分という立地から、新患は働き盛りのビジネスマンが中心です。留学生をはじめ、外国人の患者さんも目立ちます。

 かかりつけ医の役割としては、ほとんどが「いつもの薬」を処方してもらうために訪れる高齢者の方々の診療です。

 疾患の種類も実にさまざまです。高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病。心筋梗塞、狭心症、不整脈などの循環器疾患。ぜんそく、肺炎といった呼吸疾患や、血液疾患│。

 冬になれば、待合室はインフルエンザやノロウイルスの患者さんであふれます。

 昨年は「せきが止まらない」と訴える患者さんのうち、「百日ぜき」が30人ほど。マイコプラズマ肺炎の患者さんが数人いました。

 私が日本認知症学会専門医であることから、予約制の認知症外来も開設しています。

 軽度認知障害(MCI)から、重度の認知症、若年性認知症まで、あらゆる進行度の方がいらっしゃいます。

 認知症の治療と就労を両立するには、職場の協力を得ることが欠かせません。ときには患者さんのお勤め先の方と話し合いの場を設けて、現状と先々のことを説明。いまだ誤解が多い認知症への理解を深めてもらうよう努めています。

 予防医療の観点では健康診断に力を入れているほか、周南病院グループの海風診療所(周南市)とともに、産業医活動にも取り組んでいます。

 また、グループ内の「訪問診療部」として当院と海風診療所が受け持つ在宅患者さんが約160人。病状が悪化した方がいれば、当院に入院する体制を整えています。

 地域のクリニックでは治療が難しいが、大きな病院での高度な医療が必要なほどではない。そんな患者さんを当院で受け入れるケースもありますし、療養病棟での看取りもします。

 56床のこぢんまりとした病院ですから、あらゆる患者さんの窓口となり、柔軟な対応を心がけています。現在、常勤医は私1人。いわば「何でも屋」として、フル回転で日々の診療に当たっています。

◎周南エリアのリハビリの底上げを

 もともと私の専門は神経内科です。

 1990年に山口大学医学部を卒業後、1991年4月から1年間、研修医として長門市にある岡田病院(医療法人社団成蹊会)に勤務。

 同病院は診療科や専門性にとらわれることのない、多様な役割を求められる病院でした。

 私は脳卒中や神経変性疾患などの診療のかたわら、内科医でありながら1000人余りの外傷を処置しました。

 山口大学大学院で筋肉の研究に取り組み、1996年に学位を取得。

 宇部興産中央病院(宇部市)に勤めたのち、1998年、山口市の山口リハビリテーション病院(医療法人和同会)の副院長に就任しました。

 リハビリはPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)、看護師、医師が一丸となって、患者さんのADL(日常生活動作)の向上を目指します。

 患者さんが利用できる社会制度や施設などの調査、退院後のリハビリのスケジュール作成、必要な医療器具や介護用品のセットアップ。

 医師は、患者さんが退院した後の生活でも困らないように、幅広い知識を持っていなければなりません。また、内科全般を診療できるスキル、多様な診療科との連携も必要です。

 ここで過ごしたおよそ15年間で、リハビリテーションには「訓練をして自宅に戻す」だけではない、非常に高度な役割が求められることを実感しました。

 2013年1月、周南リハビリテーション病院(医療法人社団生和会)の副院長に就任。4月に院長となりました。

 周南市に来たのは、地域のリハビリテーションが手薄だと感じたためです。底上げに貢献できればと考えました。

 仁徳会の沼田光生理事長とは山口大学医学部の同窓生です。

 「手伝ってほしい」と声をかけられたことをきっかけに、2014年12月、周南病院での勤務を開始。2015年4月、院長に就任しました。

◎イメージする病院に少しずつ近づいている

 今年1月、周南病院は地域包括ケア病棟20床を開設しました。

 院長に就任した当時、私の経験を生かしてリハビリテーション病棟、認知症治療病棟、緩和ケア病棟の三つを柱にした病院にしていけたらとイメージしていました。

 今回、地域包括ケア病棟を設けたことで、少しずつ目指す形に近づいている感触を持っています。

 ただ、地域のみなさんの期待に応えていくために、当院にはまだまだ必要なものがあります。MRIをはじめとする検査機器の充実や、医師、薬剤師、リハビリのスタッフの増員などです。

 当院には言語聴覚士がいません。私は嚥下(えんげ)内視鏡検査の研修を受けていますが、マンパワー不足などを要因に、なかなか「食べられない人を食べられるようにする」という領域までカバーしきれていないのが現状です。

 当院の環境整備とともに、私自身の力もさらに高めていきたいと思っています。

 専門性に縛られずに幅広く診療し、外国人の患者さんとコミュニケーションできるよう、語学力もアップしたい。

 学会などに参加する機会も増やしたい。やりたいことが山のようにあるのです。

 今はお休みしていますが、ボトックスリハビリテーション外来も再開にこぎつけたいと思っています。

 救急車で当院に搬送された患者さんが、後日、わざわざお礼を言いにお越しになることも少なくありません。

 そんなとき、「医師をやっていて良かった」と感じますし、アットホームな病院として認識されているのだと、うれしくなります。

 医師は病気や臓器ではなく人を診る。医学生時代から、一貫してその考えを持ち続けてきました。

 ポリクリ(病院実習)でも、最も気になっていたのは、患者さんの名前や家族構成、出身地、年齢のこと。

 入院している患者さんのご家族は、今、どんな気持ちで過ごしているのだろう。そんな想像をしながら、一人一人と向き合っていこうと決め、実践してきたつもりです。

 これから先も、心の通いあう医療機関でありたいと思っています。

医療法人 仁徳会 周南病院
山口県周南市御幸通2-8
TEL:0834-21-0357
http://syunan-hp.jp/


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