社会医療法人 愛仁会千船病院 本山 覚 院長

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町づくりを担う新病院が完成

【もとやま・さとる】 大阪教育大学附属高校卒業 1977 神戸大学医学部卒業 1982 豊岡病院組合立公立日高病院(現: 豊岡病院日高医療センター)産婦人科医長 1989 赤穂市民病院産婦人科部長 1995 神戸大学医学部附属病院産婦人科医長 1998 同助教授 2001 神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座女性医学分野助教授 2004千船病院副院長 2013 同院長

 60年近く、大阪市西淀川区佃で親しまれてきた千船病院が、7月、同区福町に新築移転。周産期を柱に、最新の手術支援ロボット「ダビンチXi」の導入、減量手術の推進など、ユニークな医療を展開している。

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◎周産期医療が強み

 神崎川と左門殿川の2本の川に囲まれた西淀川区佃に、1958年、千船診療所が発足しました。

 1966年に移転して94床の千船病院が開院。1982年に再び移転し、現在の292床の病院になりました。いずれも阪神電鉄千船駅を挟んで100mほどの距離の中での話です。

 診療所時代から周産期医療が中心で、現在でも当院の柱です。大阪府新生児診療相互援助システム(NMCS)協力病院、大阪府産婦人科診療相互援助システム(OGCS)準基幹病院でもあります。

 MFICU(母子集中治療室)を備えた地域周産期母子医療センターには年間1600件ほどの救急搬送があり、母子救急は大阪府のみならず、全国有数の実績です。

 当院に勤務する約100人のドクターのうち、産婦人科医と小児科医が各20人。計40人ほどが母子医療に関わっていることからも、当院の特徴が伝わるのではないでしょうか。

 院長を務める私も産婦人科ですし、よほど周産期医療のイメージが強いのでしょう。今では20の診療科を備えた総合病院であることに、驚かれることが多々あります(笑)。

 建物が老朽化したことなどから、60年近く過ごした佃を離れ、7月1日、西淀川区福町の新病院での診察をスタートしました。

 阪神なんば線福駅の目の前です。1万2000坪ほどの広大な工場の跡地に、当院とスーパーマーケットが建ちました。

 昔、この一帯は「福村」といって、少々寂しい雰囲気の地域でした。そのころからすると、今回の再開発でずいぶん様相が変わり、にぎやかになったと思います。

 高架化を予定している福駅の周辺はバリアフリーに配慮し、ベンチを置くなど、公園風に整備されています。

 大阪市は買い物から医療まで生活に必要なものが駅前にそろう、「高齢者の憩いの拠点」となることをイメージしています。

 当院も行政サイドと話し合いを重ね、町づくりの一端を担うことを意識して新病院を計画しました。

◎センター化を推進

 新病院は9階建てで、延べ床面積はおよそ3万2700㎡。病床数は変わらず292床です。旧病院の2.5倍の広さがあり、規模としては400床程度まで対応できる空間です。

 旧病院にはなかったコンビニエンスストアの設置をはじめ、患者さん用のラウンジや屋外庭園の整備など、アメニティーを充実させました。

 また、免震構造で十分な量の備蓄品を用意するなど、災害時の対応機能も高まりました。BCP(事業継続計画)もしっかりと策定していますので、万が一の際にもスピーディーに医療活動を再開できます。

 移転を機に、センター機能の強化を中心に、周産期医療はもとより、全科的にレベルの底上げを図っています。

 近年の当院は、先端医療を積極的に進めてきました。全体の手術数の6割程度を腹腔鏡下手術が占めています。

 今回、鏡視下手術センターに手術支援ロボット「ダビンチXi」と連動手術台「TruSystem7000dv」を導入しました。日本に初めて導入された数台のうちの1台です。

 手術台はテーブルモーションと呼ばれる機能を搭載。手術中の患者さんを最適な角度に傾けます。

 従来のダビンチは、この角度に合わせてロボットアームを抜き差しする必要がありました。連動手術台ならロボットアームが患者さんの体位に追従。取り外すことなく手術を継続できますので、より短い時間で終えることができます。

 当院での手術成績の向上はもちろん、ダビンチ手術台連動システムの研修施設としても広く活用してもらいたいと考えています。

 旧病院の減量・糖尿病外科を、新病院では肥満減量センターとして発展させています。センターでの治療の軸となるのが減量手術です。

 欧米での肥満治療は内科的アプローチだけでなく、手術も用いるのが一般的です。2004年の保険適用以降、日本でも少しずつ件数が増加しています。

 当院でも2年前に専門の部門を設置しました。アメリカで腹腔鏡下減量・糖尿病手術の経験を積んだ北浜誠一医師を中心に運営。腹腔鏡下胃バイパス術、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術などの実績を重ねています。

 センターでは糖尿病専門医や管理栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種が連携し、術後のフォローアップにも力を入れています。

 地域周産期母子医療センターには院内助産院があり、自然分娩(ぶんべん)を基本にして助産師が手厚く妊婦さんをサポートしています。疾患の発生などを除いて医師の関与は最小限。いわば昔ながらのお産のスタイルに近く、好評です。

 近隣のイタリアンレストランから毎週シェフを招いて食事を提供するなど、今どきの新しいアイデアも取り入れています。

 小児科は、NICU(新生児集中治療室)、GCU(継続保育治療室)での新生児医療が高度化しています。救命率は全国的にも高い水準を維持しています。

 小児医療をより充実させてほしいという地域の方々の声に応えて、新病院では小児病床を20床整備しました。

 そのほか、腎センターでは腎移植も実施しています。

◎海外からも研修希望者

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 基幹型臨床研修病院である当院には、毎年数十人の研修医がやってきます。産婦人科には他院から、さらにフィリピン、カンボジア、タイといった国々からの医師の研修も受け入れています。

 以前は、私も定期的に東南アジアの国々を訪れて講演活動などをしていました。日本の産婦人科医療の最前線を発信してきたことが縁となって「ぜひ千船病院で学びたい」という話につながっています。

 例えば現地に標本をつくる設備がなく、「切除したがんを持ってくるから、プレパラートにしてくれないか」といった要望などがある。日本との環境の違いにびっくりすると同時に、当院の強みを再認識する機会でもあるわけです。

 2004年に副院長として赴任して以降、私が講師となって婦人科病理診断のトレーニングを進めてきました。

 プレパラートをみんなで観察するにも、私が大学で使っていたような高度な装置を購入しました。職員から「いったい何を考えているのですか」とあきれられたものです(笑)。

 当院での婦人科の手術は年間1000例余り。いまや病理解剖の件数は大学病院にも劣りません。6月に開かれた「第46回日本婦人科病理学会学術集会」では、当院の病理診断科・名方保夫医師が学術集会長を務めました。

 「このような病院にしたい」というビジョンがあったわけではないのです。私がいいと思ったことを実行してきただけ。自分の中にあるものをすべて出そうと心がけてきたことが、たまたま良い結果につながっているのかなと思っています。

社会医療法人 愛仁会 千船病院
大阪市西淀川区福町3-2-39
TEL:06-6471-9541
http://www.chibune.aijinkai.or.jp


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