掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 宮地 正彦 企業長・院長

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4月に就任 若手医師を育成し、活気ある病院に

【みやち・まさひこ】 岐阜県立岐阜高校卒業 1980 名古屋大学医学部卒業 大垣市民病院臨床研修医(外科)医師免許取得 1981 大垣市民病院医員(外科) 1985 岡崎国立研究機構生理学研究所特別協力研究員 1987 名古屋逓信病院医員(外科) 1988 名古屋大学医学部医員(外科学第一講座) 1989 米国Johns Hopkins大学Research Fellow 1991 国家公務員等共済組合会東海病院医員(外科) 1992 名古屋大学医学部助手(外科学第一講座) 1997 同講師愛知医科大学医学部講師(外科学第二講座) 2001 同講師(外科学講座) 消化器外科副部長 同助教授 2009 同特任教授 2017 中東遠総合医療センター企業長・院長

 中東遠総合医療センター(500床)は2013年5月、掛川市立総合病院(450床)と袋井市立袋井市民病院(400床)が統合して開院した。

 本年、4月に就任した宮地正彦企業長・院長に今後の展望を聞いた。

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◎"自前"で育てる教育体制を強化

 当院の医師は多くが大学医局からの派遣です。また比較的年配の方が多く、近い将来、統合前のように再度、医師数の減少という事態に陥ることが危惧されます。

 今後も大学医局の協力が不可欠だとは思いますが、大学医局も医局員を地方病院に過不足なく送る人的余裕はありません。

 医師が減少し続ければ医療の縮小を考えざるを得ず、そうならないようにするためには若い医師の確保が必須だと言えます。

 大学からの医師派遣が難しいのであれば、病院内で医師を育てれば良く、そうすれば医師減少に歯止めがかけられます。同時に大学との人事交流を通じた協力関係もますます強化されるでしょう。

 幸いなことに当院には近年、多くの研修医が入ってきてくれています。病院の総力を挙げて、研修医全員を初期研修から後期研修まで脱落させることなく、しっかり教育し、一人前の医師として育て上げること。それが病院の命運を握っていると言えます。

 さらに5年間の研修で付加価値をつけることも重要だと考えています。

 当院は救命救急センターを有していて、一次から三次まで年間約2万1780人の救急患者を受け入れています。そのうち救急車搬送件数は5929件です。

 救急医療の研修に相応しい環境を当院は有しています。そこで後期研修で密度濃く専門性を学びながら、救急業務も経験してもらうことで、救急専門医取得が可能にもなるようにしたいと考えています。

 付加価値をもった医師を大学に入局させれば、大学医局は「中東遠総合医療センターは優秀な医師を育ててくれる。もう1人医師を追加で派遣しよう」ということになるかもしれません。

 若い医師が増え、病院に活力が生まれることを期待しています。

◎少ない医師で数多くの領域を

 地方の病院では、複数のスペシャリティーを持つ医師が求められます。

 たとえば糖尿病専門医がいて、糖尿病外来を開設していたとします。ある日、その医師が退職したとして、すぐに大学から医師を派遣してもらえるという保証はありません。最悪の場合、糖尿病外来は閉鎖を余儀なくされてしまうのです。

 しかし、メインは循環器で、サブスペシャリティーとして糖尿病・内分泌を持つ医師がいれば、そんな事態には陥りません。

 各医師が複数のスペシャリティーを持っていれば、たとえ少ない医師数でも数多くの領域をカバーできるのです

 メインのスペシャリティー領域では高度な専門的な知識、経験を身に着けてもらいます。それとともに、サブのスペシャリティー領域では地域のニーズに応えられるレベル以上の能力を有することができるよう生涯学び続けていただきたいですね。

◎地域の医療レベル底上げのために

 院長に就任して、医師会に顔を出すようになりました。すると実に多くのクリニックが後継者不足に悩んでいることに気付かされました。

 10年後には、今開業しているクリニックの約20%は後継者不在になります。閉院せざるを得ないクリニックも出てくるでしょう。

 地域のクリニックが減ると、当院に軽症患者がたくさん来ることが予想され、私たちが本来提供すべき医療ができなくなるかもしれません。それは、この地域にとって望ましいことではないと考えています。

 当院で修練した複数の専門性を持つ、優秀な医師が、当院近隣で開業すれば、地域の医療レベルが底上げされます。それにより、われわれは、より高度な医療に専念できるようになるのです。

◎医療者の心身のケア

 昨今は外科医が不足しています。体を痛めたり、病気になったりすれば、外科医が生涯に働く期間が短くなってしまい、外科医不足に拍車がかかります。また私は外科医に限らず、すべての医療者に長く働いてほしいと願っています。そこで外科系医師には手術前後にストレッチ運動をすることを勧めています。医療者が身体的にも精神的にもいい状態でないと、患者さんに良い医療は提供できないと思っています。

 そのためには身体的、精神的ケアが必須です。今後は病棟看護師にも業務前後にストレッチ運動をしてもらうようにします。

 業務の軽減も身体的、精神的ケアのためには必要です。たとえば多くの会議に参加すると、職員の時間、体力、気力が奪われてしまいます。だから可能な限り会議を減らし、職員の負担を減らすなどの工夫が必要です。

 まずは会議の統合をし、以前は通達に終始していた会議から、関連部署の参加のもとで討議、決定するスタイルへと変更しました。その結果、会議の参加者が増え、参加者の多くが発言するようになり、討議が活発になりました。

 多くの職員が会議に参加するようになったことで、決定内容が現場の意見を反映するようにもなりましたし、決定事項の周知徹底化が進み、問題点が迅速、スムーズに解消されるようになりました。

◎発想の転換を

 医療者は科学者です。科学的な目で問題点を見つめなければなりません。原因を探り、対策を考える。問題の多くは自分で対策を考えることで解決に導くことができるのです。

 手術後に合併症が起きたとします。医療者は「高齢の患者だから」などと外に原因を求めがちです。しかし、自分たちに原因がなかったか、もう一度考えなければなりません。

 「もう少し慎重な術後管理をすればよかった」「手術時にこういうことに気を付ければよかった」と省みることで、次回の合併症のリスクを減らせるでしょう。

 医療に限った話ではないかもしれませんが、原因を外に向けていては、決して前進できないのです。

 そのためには問題が「なぜ起こったか」を究明する必要があります。原因は一つだけとは限りません。でも、複数の原因であっても一つずつ改善していけば、良い方向に向かっていくはずです。常にステップアップを目指すことが大事だと考えます。

◎前向きに努力を怠らず

 一線の外科医の時に感じていたストレスは、「手術を成功させなければ」というものでした。院長になってからは「経営が悪化したら職員を失業させてしまう」に変わりました。

 医療の場合は、どんなに頑張っても助けられない場合があります。しかし、病院経営は自分が頑張りさえすれば、良い方向に導くことが可能だと思っています。

 努力を怠らなければ前に進むことができます。着任から3カ月あまり。今は「やってやるぞ」という気持ちが強いですね。

掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター
静岡県掛川市菖蒲ケ池1-1
TEL:0537-21-5555(代表)
http://chutoen-hp.shizuoka.jp/


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