低分子化フコイダン LMF研究会

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VOL2.抗がん剤との相乗効果 編

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LMF研究会代表世話人 川口光彦
川口メディカルクリニック院長

 九州大学名誉教授(元九州大学大学院教授)白畑實隆先生は2002年にLMFの基礎研究を開始され、その後、臨床例を集めるためにNPO法人統合医療と健康を考える会を創り、医師たちとの連携をすすめて来られました。この症例収集で連携を深めた医師たちが、臨床による研究をさらに進める必要性を感じ2011年に設立した研究会が、LMF研究会です。

 LMF研究会では多施設共同研究を実施しており、その成果は、国内・海外での学会・論文誌に発表してまいりました。(別表)

■私がLMFの臨床研究を始めた経緯

 「先生、朝、普通に目覚めて、朝食もおいしく食べられました。ありがとうござます」

 これは、抗がん剤の副作用で倦怠感が強く、起き上がることもできず、食事も満足に取れない状況で相談に来られた患者さんで、私が初めてLMFを勧めた方から、診察の翌日にかかってきた電話です。

 私は肝臓の専門医として勉強を重ねました、しかし患者さんの約1割、年間30〜40人の方が肝炎、肝硬変から肝がんへと進行し、完治に持ち込める確率は極めて低いのが現実でした。医者としての無力感と現代医学の限界を感じるようになっていました。

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九州大学白畑實隆名誉教授

 それでも、患者さんは次から次に私を頼って来られます。「なんとかしなければ」との思いから標準治療の枠にとらわれず東洋医学や伝統医学などにも目を向けたのです。

 ただ、当時の私は、特定成分を「過剰摂取」することで肝臓に負担をかける可能性を考え、「サプリメント」には反対の立場でした。

 そんな時、統合医療について調べていると、尊敬する私の師匠であり、肝臓治療の世界的なエキスパートの真島康雄先生(真島消化器クリニック院長)が、がん治療の一環でLMFを積極的に活用されていることを知ったのです。

 すぐさま先生の元へ駆けつけ、第42回日本肝癌研究会で真島先生が発表された、腫瘍が消失した症例やその他の患者さんの症例、白畑先生の基礎研究での取り組みなどのお話も伺い、導入を決意したのが始まりです。

■基礎研究

 2002年からの15年に及ぶ基礎研究で①アポトーシス誘導作用 ②血管新生抑制作用 ③腫瘍に対する免疫活性化 ④がん細胞の転移・浸潤を抑制 ⑤抗がん剤との相乗作用という効果があることがわかってきました。こうした研究成果は日本癌学会学術総会をはじめPLos One、サイトテクノロジーなどに発表されています。

2015年10月 第74回日本癌学会学術総会
演題:An exploratory investigation for anti-inflammatoryeffect of low molecular fucoidan (LMF) on advancedcancer patients.
2015年10月 第53回日本癌治療学会学術集会
演題:進行癌患者に対する、LMFによる抗炎症作用とQOLに関する探索的検討
2015年11月 アメリカ合衆国 ボストン第12回国際SIO会議(国際統合腫瘍学会)
演題:Exploratory study on Anti-inflammatory effect and QOLby low molecular fucoidan(LMF)for advanced cancerpatients in Japan.
2017年2月 Integrative Cancer Therapies
論文タイトル:An Exploratory Study on the Anti-inflammatoryEffects of Fucoidan in Relation to Quality ofLife in Advanced Cancer Patients

抗がん剤との相乗効果についての基礎研究と症例

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九州大学大学院
照屋輝一郎助教

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(図1)がん細胞(HT1080)に及ぼすLMFの抗がん剤による細胞死誘導増強効果

■抗がん剤の効果を増強

 抗がん剤とLMFの併用により、なぜ抗がん効果が増強するのか。科学的な裏付けを求め、私たちはトリパンブルーによる死細胞染色法、細胞周期解析法(サブG1解析)という二つの方法で併用試験を行いました。

 使用した抗がん剤はシスプラチンです。シスプラチンは数多くのがんに有効性が認められている白金製剤で、現在の抗がん剤治療の中心的な役割を果たしています。しかし、激しい副作用があり、深刻な場合は腎臓機能に障害をもたらします。

 まず、ヒトがん細胞(HT1080)に濃度を変えたシスプラチンとLMFを加え、がん細胞がア ポトーシスを起こす割合を調べてみました。すると、LMFを加えていない場合に比べ、2倍強のアポトーシス誘導作用があることがわかりました。(図1)

■正常細胞へのダメージは抑制

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(図2)正常細胞(TIG―1)に及ぼすLMFの抗がん剤による細胞死抑制効果

 一方、ヒト正常細胞(TIG―1)のアポトーシス誘導は抑制しています。(図2)

■抗がん剤の効果を促進し、副作用を緩和

 つまり、LMFは抗がん剤シスプラチンによるがん細胞のアポトーシスを促進し、正常細胞へのダメージを抑制する作用があるということが見えてきました。

■正常細胞とがん細胞を識別するLMF

 LMFに多量に含まれるフコースは表面糖鎖の働きを正常に保つうえでも、がん細胞を特異的に殺す腫瘍免疫でも、大変重要な働きをしていることが知られています。正常細胞ではもともとGnT―VおよびEts―1の遺伝子発現は低く抑えられており、LMFを作用させても大きな変化は認められませんでした。

 がん細胞と正常細胞の違いを見わけるのは科学的には非常に難しいことですが、LMFは細胞を識別し、選択性を発揮して変異した細胞だけをアポトーシスに導いていきます。

■症例報告( 70代 男性)

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喜多村クリニック
喜多村邦弘院長

 2009年、右肺に6cmの腫瘍が見つかり、肺がんと診断を受けました。7月に入って抗がん剤のタキソテールによる治療をはじめましたが、「腫瘍が大きいので、効果が出ない可能性があります。高齢なので体への負担がない程度に治療しましょう」と主治医に告げられました。

 7月に来院され、7月10日からLMFを飲みはじめ(300㏄/日)、2週間後に腫瘍マーカー(CEA・シフラ)の検査を受けたところ、正常値に下がっていました。わずか1カ月後には、CT画像から腫瘍がほとんど消えていました。

 9月に入ってもLMFを飲み続けたところ、だるさも減って、天気がいい日は外を散歩できるまでになり、気持ちも落ち着きました。

 タキソテールとLMFの併用ですが、短期間でここまで腫瘍が小さくなる症例は非常に珍しいといえます。患者さんのご家族も私も主治医の先生も、みんな信じられないという感想でした。

 最近の白畑先生の研究ではタキソテールとLMFを併用すると相乗的に作用して抗腫瘍効果が増強することがわかっており、まさにその効果が明らかになった例だと思います。

 また、患者さん自身が脂肪の多い肉類を控えて野菜中心の食事にするなど、食生活やライフスタイルを見直されたのもよかったと思います。

診断 右肺がん 6㎝

7月10日からLMFを1日300㎖飲用開始、現在も継続中

大学病院での検査データ

化学療法

① 7月 3日 タキソテール60mg/㎡(90mg/body)
② 7月24日 タキソテール60mg/㎡(90mg/body)
③ 8月18日 タキソテール60mg/㎡(90mg/body)
④ 9月 8日 タキソテール60mg/㎡(90mg/body)

CT検査

① 7月 1日 右肺に背部胸壁に接した充実性腫瘍がみられる
② 8月 4日 腫瘍は縮小し辺縁を残すのみで、中心部には腫瘍はみられない

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第11回LMF研究会のご案内

■研究会

日時:2017年9月3日(日)10:00
会場:アクロス福岡
〒810-0001 福岡市中央区天神1-1-1
http://www.acros.or.jp/

● 福岡空港から天神まで地下鉄空港線で約11分
● JR博多駅から天神まで地下鉄空港線で約5分
● 地下鉄空港線天神駅から徒歩5分(16番出口)
※地下鉄空港線天神駅16番出口から、アクロス福岡地下2階へ直接入館できます。

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■参加申込先

URL:http://lmf-assoc.jp/schedule/

LMF研究会世話人のご紹介

【特別顧問】

白畑 實隆 九州大学名誉教授堂福 隆一 元財団法人癌研究会癌研究所/医学博士

【顧問】

照屋輝一郎 九州大学大学院助教
河村 宗典 特定医療法人誠仁会協和病院名誉院長

【代表世話人】

川口 光彦 医療法人川口内科川口メディカルクリニック院長

【世話人】

喜多村邦弘 医療法人喜和会 喜多村クリニック院長
天願 勇 統合医療センタークリニックぎのわん院長
真島 康雄 真島消化器クリニック院長
花牟禮康生 医療法人康陽会花牟禮病院院長
西本 真司 西本クリニック院長
高橋 秀徳 琉球大学医学部附属病院地域医療部
螺良 修一 螺良歯科医院副院長


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