福岡県看護協会「看護の日のつどい」で
介護と障害福祉サービスを一体的に提供する「共生型サービスを全国に先駆けて始めたNPO法人「このゆびとーまれ」の理事長、惣万佳代子氏が5月13日、福岡県看護協会の「看護の日のつどい―看護と健康FESTA―」(会場:ナースプラザ福岡・JR博多シティ賑わい交流空間)に招かれ、講演した。
赤ちゃんからお年寄りまで、障害の有無にかかわらず受け入れる同法人のデイサービスについて経緯や取り組みを紹介。約500人の聴衆に「日本はもともと"共生型"で社会が成り立ってきた。この方法が本来のあるべき姿ではないか」と訴えた。
「誰もが地域でともに暮らすために〜富山型デイサービスの23年」と題して講演した惣万氏。看護師として富山赤十字病院に勤務していた時、高齢の入院患者の「畳の上で死にたい。家に帰りたい」という言葉を聞いたのをきっかけに、デイサービス開始を決めたという。
1993年に退職し、仲間3人と「このゆびとーまれ」を開所。「当初、利用者は高齢者を想定していたが、予想に反して利用者第1号は、3歳の障害児の母親だった」と振り返り、「『3年ぶりに美容室に行きたい』と話す母親の姿に、地域にはさまざまな介護・福祉のニーズがあることに、改めて気が付いた」と、共生型サービス開始に至った経緯を語った。
デイサービスは、職員30人、有償ボランティア6人、無償ボランティア40人で運営。年中無休で、午前7時半〜午後6時まで、1日平均40人を受け入れる。
「大家族のような雰囲気の中、過ごすことで、認知症の人が泣いている子どもをあやしたり、子どもが認知症の人の食事の世話をしたりする姿が見られる」と共生型のメリットを語った惣万氏。
「在宅移行が進む中で、患者が在宅を望む場合、近隣住民にサポートをしてもらうことが必要。誰もが地域の中で幸せに暮らすためには、地域の中で支えていくことの大切さを考えることも重要だ」と話した。
惣万氏は、2015年、赤十字国際委員会(ICRC)の第45回フローレンス・ナイチンゲール記章を授与された。
福岡県看護協会の「看護の日のつどい」では、このほか、看護職員知事表彰の表彰式、現役の看護師による「ふれあい看護体験発表」などを実施。
JR博多シティ賑わい交流空間には、相談コーナーや骨密度測定などができる「まちの保健室」が設けられ、親子連れなどでにぎわった。
共生型サービスとは
介護保険サービスの指定を受けている事業所であれば、自治体独自の判断で、障害福祉サービスを提供できるというもの。現状は、その逆は認めれられていないが、厚生労働省は介護サービスと障害福祉サービスを相互乗り入れさせる方針を固め、2018年度、新しい共生型サービスを創設する。
看護と健康FESTA
JR博多シティ賑わい交流空間にて
妊婦体験コーナー |
AED実演 |
キッズの白衣体験 |