コミュニケーションを深め、良質なリハビリを提供
1974(昭和49)年。下関リハビリテーション病院の前身であるカマチ医院が開設。2001年に名称を下関リハビリテーション病院と改め、現在に至っている。
4月に就任した林研二院長に今後の展望を聞いた。
◎リハビリテーション病院の使命
医療技術が上がり、昔なら助けられなかったような重症患者さんを救える時代になりました。病気やけがが治った次の段階で必要になるのはリハビリテーションです。
在宅復帰の際には、その人に合った生活を送れるよう、なるべく早く、効果的なリハビリを提供し、速やかに在宅復帰へとつなげる。これが当院のようなリハビリテーション病院が果たすべき使命なのです。
◎人材育成
病院機能を維持し続けるために、院内の各職種で次世代を担う人材を教育する必要があります。
私たちカマチグループは九州・山口、関東地方に関連病院が22あり、盛んに相互の人事交流をしています。
本人の希望があれば、当院から2年間、関連病院に異動。リハビリの技術・知識を学んで戻ります。学んだことを当院に還元してくれるし、人間的にも一回り成長して帰ってきてくれます。
◎良質なリハビリを提供
当院ではパーキンソン病、多発性硬化症などの神経難病、心筋梗塞・狭心症、心臓・大血管の手術後などの心大血管疾患、脊椎損傷などのリハビリを提供しています。これらのリハビリを提供する回復期リハビリテーション病院は県内では当院のみです。当院で働けば、きっと貴重な経験が積めるでしょう。
心症、心臓・大血管の手術後などの心大血管疾患、脊椎損傷などのリハビリを提供しています。これらのリハビリを提供する回復期リハビリテーション病院は県内では当院のみです。当院で働けば、きっと貴重な経験が積めるでしょう。
脳神経外科専門医が4人在籍していますので、脳血管疾患も最先端医療の提供が可能です。
◎笑顔とあいさつ
良質なリハビリを患者さんに提供するうえで必要なのは、職種間のチームワークの良さです。
チームワークを高めるために何よりも大事なのはコミュニケーションを密にすることです。
組織が大きくなればなるほど、組織間のコミュニケーションが取りにくくなります。そうすると各個人・各組織がいかに優秀であっても、その組織は停滞してしまうでしょう。
チームワーク向上のために定期的に多職種参加のカンファレンスを開いています。ほかにも院内のレクリエーション、勉強会などの機会を通じて、各職員、各セクションの垣根をなくすことに努めています。職員同士が遠慮なく意見を交わしあえる環境こそが大事なのです。
当院のモットーは「笑顔」「あいさつ」です。ささいなことかもしれませんが、こうした基本的なことをおろそかにしてしまうとチームワークの向上は望めないでしょう。
急性期病院と比べて一人ひとりの患者さんと接する時間も長いので、患者さんとのコミュニケーションは職員間以上に大事にしなければなりません。
患者さんがリハビリを終えた後、在宅復帰するか施設に入るかは人それぞれです。日ごろからコミュニケーションをとって患者さんの生活背景、社会背景も考慮したリハビリをしなければなりません。
患者さんや、そのご家族の希望に合った暮らしを選択してもらうためにもコミュニケーションは必須なのです。
◎地域連携の重要性
今の時代、地域連携を無視した病院運営の存続は不可能です。特に下関市は高齢者が多い地域です。地域連携なく、円滑な地域包括ケアの遂行は難しいでしょう。
そのために地域の病院や施設とのコミュニケーションを日ごろからとって顔の見える連携を構築する必要があるのです。
当院には医療ソーシャルワーカーが7人在籍しています。165床というこの規模で7人もいる病院は珍しいと思います。
通常は1病棟1人体制ですが、当院は1病棟2人体制です。だから早目に退院先を決めることができるのです。
◎働きやすい環境
当院に来た人は口をそろえて「明るい病院ですね」と言ってくれます。私も雰囲気が明るく、各職種が協力し合っている病院だと思っています。
職員の離職率の低さも自慢です。男性の育児休暇の実績は、これまで3〜4件。労働者の当然の権利ですので申請があれば、快く許可しています。もちろん結婚、出産しても働き続ける女性職員も多くいます。職員にとって、とても働きやすい環境なのではないでしょうか。
少子高齢化で高齢者は増える一方です。今後は若い職員の確保が困難になると予想されます。
しかし当院は今のところ、離職率が低いので人材難の心配はないですね。
当院には、ほとんど残業がありません。午後5時になったら帰宅しています。少し前までは、役職者が院内をまわって残業をしている人がいたら帰宅するように促していました。今ではそんなことをしなくても、職員は定時に帰ります。もちろん、早く出勤するのも禁じています。職員の満足度も向上しています。
◎地域に密着した病院に
患者さんのうちの約3割がリピーターです。これも当院の特徴だと思います。
高齢になると、右側の大腿骨頚部骨折で入院し、リハビリをして治って歩きだすと今度は左側を骨折する、ということもたびたび起こります。
今後も「リハビリだったら下関リハビリテーション病院」と言っていただけるように、地域に密着した病院でありたいとの思いが強いですね。
地域住民への啓発として、市の介護予防事業に積極的に参加しています。隣接する下関看護リハビリテーション学校で、毎週月曜日に地域住民を対象とした介護予防教室を無料で開いています。
◎学会参加
職員には学会への積極的な参加を促しています。きめ細かな指導体制が構築できているからこそ可能なことだと思います。
学会は若い人のモチベーションを高めるきっかけになります。自分たちの発表が終わったらすぐに帰らせる病院もあるようですが、当院では他の演題もすべて聴講してから帰るように言っています。
それはなぜかというと人の演題を聞くことで幅広い知識を得られる効果があるからです。
◎ノルディック・ウォークの効用
私は日本ノルディック・ウォーク学会の理事を務めていて、当院の歩行訓練にもノルディック・ウォークを採用しています。
ノルディック・ウォークは、上半身と下半身を連動させて歩くのが特徴で、通常のウォーキングよりエネルギー消費量が多いし、姿勢も良くなる。メリットばかりなんですよ。
一般社団法人 巨樹の会 下関リハビリテーション病院
山口県下関市今浦町9-6
TEL:083-232-5811
https://www.shimoreha.jp/