医療法人 昌和会 見立病院 林田 憲昌 理事長・院長

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福岡県認知症医療センターとしての責任を担う

【はやしだ・のりまさ】 福岡県立田川高校卒業 1984 久留米大学医学部卒業 2002医療法人昌和会見立病院理事長・院長
精神保健指定医、精神科専門医、認知症サポート医、日本精神科医学会 認知症臨床専門医、福岡県精神科病院協会理事、福岡県地域精神保健協議会常任理事、田川市自立支援認定審査会委員

 福岡県の中央部に位置する田川市。産炭地として栄えたが、産業構造の転換とともに、人口は減少、高齢化も進む。1961(昭和36)年に同市に開設された見立病院は、地域の精神科医療に力を注ぐ。林田憲昌理事長・院長に話を聞いた。

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-歴史など概要を。

 精神科の医師だった父が開設。私は2002年に院長に就任しました。

 田川市は、旧産炭地ということもあり、県内でも高齢化が進行した地域です。一般病床の療養型病床が少なく、精神科病院が老人の慢性期疾患の医療を担ってきました。

 しかし、精神科医療も、国の方針で変革を求められており、地域移行の推進や病棟機能分化、病床数の削減などの課題もあります。

 当院も、2002年に現法人を立ち上げた頃の410床から病床削減を進め、現在は6病棟体制、373床です。2015年には、精神科急性期治療病棟、2016年には地域移行機能強化病棟をつくりました。地域移行機能強化病床を運用して毎年12床ずつ削減していく計画です。

 今後も、地域医療を担う病院として具体的な策を考え実施していきたいと考えています。

-認知症についての取り組みは。

 田川市の高齢化にともない、当院では1989年に、老人性痴呆疾患治療病棟60床を開設するなど、早くから認知症医療に力を入れてきました。

 2011年には福岡県内に県認知症医療センターが5カ所設置され、その一つに指定されています。

 センターの役割は、認知症の鑑別診断や、他の医療機関との連携などいくつかあり、中でも情報の発信は重要です。

 地域の方に認知症についての情報を伝え、正しく理解してもらうことができれば、早期の来院につながります。早い段階の介入、予防も期待できます。

 これまで、公民館や集会所での講演を地道に続けてきました。疾患の説明は認知症の専門医や神経内科医、認知症専門看護師が担当。予防につながる食事などについては管理栄養士、薬については薬剤師が話したこともあります。

 作業療法士が指導する予防体操や、アロマセラピーというテーマもありました。講演会終了後に「心配になったので」、と参加者が受診してくれたこともありますし、講演を聞いた人が家族に勧めて、受診につながったこともありました。

 2015年からは、田川市の委託を受け、院内に「認知症初期集中支援チーム」を結成し、ご自宅への訪問などの活動をしています。

 認知症の患者さんや家族に対して心がけていることは、患者さんのこれまでの人生を尊重して接することです。職員にも日頃から、その大切さを伝えています。

-職員の育成や研修は。

 専門看護師や認定看護師など、看護師の専門性が高まっています。しかし、当市のように県の中心部から離れた地域の医療機関に、そのような資格を持った看護師が就職してくれることはほとんどありません。

 そこで、当院では看護師が資格取得のために大学院に進学する場合、授業料を奨学金として援助するようにしました。精神科専門看護師のみならず専門分野の認定看護師の資格を取得した看護師も出始めています。

 当院を会場に、医療従事者と介護関係者の勉強会「ケア・キュアカンファレンス」を実施しています。きっかけは2000年の介護保険法施行。現在は認知症関連のテーマを年2回、精神疾患関連を年2回程度扱っていて、毎回80人から100人が参加しています。

 ケアマネジャーの方からは、「医師と直接話せる良い機会です」という感想を聞きます。認知症の新しい薬が出た際には薬の相談に応じたり、介護関係者の「行動・心理症状が出ているがどうしたらいいか」、「医療機関への受診をどう勧めたらいいか」といった声を聞いたりして、お互いが悩んでいることを共有できればと思っています。

-今後の課題は。

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 診療報酬の改定は、今後、一層厳しくなることが予想されます。経営破たんする病院も出るのではと危惧しています。

 当院では、2015年から事業本部制を敷いて、組織の強化を進めています。縦割り組織から、横のつながりを大事にした組織への転換を推し進めています。

 このために大事なのが人材の育成です。医師やメディカルスタッフの研修には、今まで以上に力を入れます。

 当法人は介護や福祉のさまざまなサービスを提供できることも強みのひとつです。病院のほかに、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問看護ステーションなどを有し、2016年12月は相談支援事業所を開始。2017年中には、就労支援施設の開設も計画しています。

 これからも、地域の精神科医療、高齢者医療、そして福祉、介護を柱に、病院から地域へと移行する国の施策に柔軟に対応していけるような体制を目指します。

-精神科医になった理由は。

 同じ精神科の父親の影響が大きく、高校生のころにはいずれは医師になりたいと思っていました。幼いころから病院の側で生活しており、患者さんとの距離が近く、患者さんと一緒に成長してきたような気がします。

 患者さんに望むのは、患者さん自身の力で幸せを感じてもらうこと。そのためにも医師は忍耐強く、寛容さを持って、患者さんに関わっていかなければいけません。

医療法人 昌和会 見立病院
福岡県田川市弓削田3237
TEL:0947-44-0924
http://www.shouwakai.or.jp/


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