64歳以下の人が発症する認知症を「若年性認知症」と呼ぶ。
厚生労働省が2009年に公表した「若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究」調査結果によると、国内の若年性認知症患者は4万人弱(表)。女性より男性の割合が高く、発症の平均年齢は51歳。基礎疾患としては脳血管性認知症、アルツハイマー病が高い割合を占めるが、このほかに頭部外傷後遺症、前頭側頭葉変性症、アルコール性認知症やレビー小体型認知症なども見られた。
若年性認知症患者は働き盛り世代。認知症を発症すると仕事に支障をきたし、職を失うこともある。
調査結果によると若年性認知症発症後、7割の人が「収入が減った」と答えている。
若年性認知症の人の場合、40歳以上であれば介護保険で認知症専門のデイサービスやグループホームなどを利用できるが、40歳未満の人は介護保険の適用対象外。医療保険を使って各病院が実施しているサービスを受けるしかない。
若年者は高齢者に比べて体力があって徘徊(はいかい)距離が長いことや、体重が重いことなどから介護の負担も重く、同調査でも家族介護者の約6割が抑うつ状態と診断されているという結果が出ている。
政府は若年性認知症対策として国庫補助事業を開始し、介護報酬を加算。若年性認知症の相談や関係者の連携体制を強化して、介護保険施設などの若年性認知症者の受け入れを促している。