三菱重工業株式会社 三菱神戸病院 佐々木 順子 病院長

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医業を通じた社会貢献を

【ささき・じゅんこ】 兵庫県立神戸高校卒業 1976 神戸大学医学部卒業 同附属病院内科研修医 三菱神戸病院内科研修医 1979 神戸大学医学部附属病院第一内科医員、助手 1984 三菱神戸病院内科 1998 同副院長 2008 同病院長

 三菱神戸病院は1907(明治40)年、三菱重工 神戸造船所の前身である神戸三菱造船所の企業立病院として開設された。終戦後の1945(昭和20)年からは三菱関係者に限定していた診療を一般市民にも開放するようになった。

 三菱重工では社是において社業を通じての社会貢献を謳(うた)っており、三菱神戸病院も医業を通じた社会貢献を実践している。 佐々木順子病院長が語る病院の未来とは。

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◎患者さんに優しい病院

 当院は188床の急性期病院で、輪番で地域の2次救急を担っています。診療科は18と、病院の規模のわりには多くの診療科があるので、各科の連携により、効率の良い診療が受けられます。これは入院患者さん、高齢の外来患者さん、三菱重工の社員をはじめとした地域で働く人たちにも、優しい病院だといえるのではないかでしょうか。

 また、地下鉄和田岬駅から徒歩3分ほど、JR神戸駅や兵庫駅から車で約10分とアクセスも良く、建物も比較的コンパクトですので、院内での移動距離も短くて済み、患者さんも何かと便利だと思いますよ。

◎連携について

 急性期病院として地域の救急医療を担う一方で、紹介状がなくても気軽に受診できる「かかりつけ医」の機能も有しています。

 近隣のクリニックとの連携ができているので、紹介も多いのですが、会社の前の診療所的な役割も担っており、風邪などの飛び込みの患者さんも多く来られますので、紹介率は決して高い方ではありません。

 周囲には神戸大学医学部附属病院や神戸市立医療センター中央市民病院、神戸赤十字病院など、高度機能を有する大規模病院がたくさんあります。

 そうした病院との病病連携もスムーズです。高度医療が必要な時には診療を依頼し、一定の治療が終了したら、可能な限り早期に引き受ける関係が構築されています。

◎経営基盤の安定のために

 今後の重要な課題に挙げられるのが、経営基盤の安定です。そのためには社会に求められる医療を提供していかなければなりません。

 社会の変化に応じて立案される医療政策に対応しつつ、患者さんのニーズを読み解いていく必要があります。

 早め早めの対応ができるように情報収集を怠らず、ニーズに対応する能力を培い、病院として健全な形で生き残っていかなければならないと考えています。

◎プレーイングマネジャーを実践

 週2回の内科と週1回の心療内科の外来をし、必要があれば入院患者も担当しています。

 私のモットーは、可能な限り現場に出て働くことです。現場に出ることで医療従事者としての能力を維持することができますし、現場の状況を把握することができるのです。

◎女性医師が働きやすい環境

 私が大学に入学した当時は、医学部の女子学生はまだまだ少なく、ほとんどの大学で1割未満でした。しかし、近年は全国平均で3割強、大学によっては半数を占めるところもあるようです。

 女性医師の中には、どうしても結婚、出産、育児などで、フル稼働できない時期が出てくる人がいます。私は、そんな時期には仕事の内容や収入面で欲張らず、とにかく仕事を続けるようアドバイスをしています。

 当院で働く女性医師はありがたいことに、能力が高い人が多いですね。昼間だけの勤務の人でも、その間は、一生懸命仕事をされるので、他の医師は随分助けられています。

 せっかくこれまで積み重ねてきたキャリアを中断してしまうのはもったいないと思います。当院ではフル稼働できない期間でも専門医資格などが取得できるように、部署や仕事内容について配慮するようにしています。

 今後も男性、女性を問わず、できるだけキャリアを続けられるように病院としてバックアップしていくつもりです。

◎リーダーシップが取れる人材の育成

 組織の円滑な運営のためには、リーダーシップが取れる人材が必要不可欠です。

 医療従事者の中でも、とりわけ医師は、適性の有無にかかわらずリーダーの役割を担わなければなりません。しかし、医学部ではリーダーシップについての教育が十分になされているとは言えません。

 当院では委員会の運営を依頼したり、リーダーシップについての書物を紹介したり、対面で話をしたりして現場でリーダーシップについての教育をするように心がけています。

◎全人的な医療を

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 医療は患者さんの疾患だけでなく、あらゆる側面を考慮してなされるべきだと思います。最近になって全人的医療が広く推奨されるようになったのは歓迎すべきことですね。

 私は1976(昭和51)年に神戸大学医学部を卒業しました。その後、内科診療に従事していたのですが、心身医学的アプローチの必要性を強く感じるようになりました。そこで1985(昭和60)年に東京大学医学部附属病院分院心療内科に国内留学し勉強させてもらいました。

 その結果、日本でも比較的早く心療内科を開始することができました。また職場のメンタルヘルスケアについても、関与していくようになりました。

 当時は、今ほどメンタルヘルスの重要性が理解されていませんでした。うつやパニック障害などの疾患は医療従事者であっても十分に認知していたとは言い難い状況でした。

 いろいろな病院を受診しても診断がつかず、当院に来て初めて診断がついた人も数多くおられました。

◎病院全体で人材を育てる

 新臨床研修制度が導入されてから、研修医の中で、大病院、有名病院志向が強まったように感じます。

 でも、若い医師の教育に必要なものは、必ずしも病院の規模の大きさや医療機器の充実度ではないと思うのです。一人ひとりを大切に病院全体で人材を育んでいく姿勢を持つことこそが何よりも重要なのではないでしょうか。

 新制度導入前に当院に来てくれた研修医には、マンツーマンに近い形で、しっかりと教育していました。その時、当院で学んでくれた人たちが、専門分野でリーダー的存在として全国で活躍してくれているんですよ。

三菱重工業株式会社 三菱神戸病院
神戸市兵庫区和田宮通6-1-34
TEL:078-671-7705(代表)
https://www.mhi.co.jp/kobe/hospital/index.html


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