医療法人社団和風会 橋本 康子 理事長

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「在宅入院」を充実させたい

【はしもと・やすこ】 1981 名古屋保健衛生大学(現:藤田保健衛生大学)医学部卒業 香川医科大学(現:香川大学医学部)第1内科教室 1985 米国インディアナ大学腫瘍学研究所 1988 医療法人社団和風会橋本病院 2000 医療法人社団和風会理事長 2007 医療法人社団和風会千里リハビリテーション病院開設

 医療法人社団和風会は、香川県三豊市に橋本病院、大阪府箕面市に千里リハビリテーション病院を有し、橋本病院には、通所リハビリやデイサービスなどの施設を備えている。

 それぞれの地域のリハビリテーション医療を担う同法人の橋本康子理事長に今後の取り組みなどを聞いた。

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◎法人内で人材交流

 これまでは、距離的な問題もあり、橋本病院と千里リハビリテーション病院との交流は年1回の合同研究大会の時などに限られていました。

 今年度からは、橋本病院と千里リハビリテーション病院の間で、より密な人材交流をしていくつもりです。希望者は、互いの病院に転勤して勤務できるようにもしています。

 今年度は橋本病院に10人、千里リハビリテーション病院に35人のリハビリテーションスタッフが入りました。その職員たちを対象にした研修会を4月26日〜28日の3日間、兵庫県にある淡路島で開催しました。

 橋本病院と千里リハビリテーション病院とでは患者さんの年齢層が異なります。橋本病院の患者さんは多くが高齢者。千里リハビリテーション病院は、交通事故や脳梗塞のリハビリをする若い人も多くいます。

 若い人は復学、復職のためのリハビリをします。機能維持を目指す高齢者のリハビリとは性格が異なるのです。相互交流をすることで「スタッフに幅広いリハビリテーションを学んでほしい」というのが私の願いですね。

◎病院よりも自宅でリハビリ

 2015年6月、橋本病院に「訪問リハビリテーションセンターはしもと」を設置しました。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフが患者さんの自宅に行き、自立した日常生活を営めるようリハビリを提供しています。

 訪問リハビリでは患者さんに日常生活動作の練習や運動機能向上のためのトレーニングを実施。ご家族には介護方法や環境整備などについての助言をしています。

 病院でのリハビリよりも、自宅でのリハビリの方が、回復が早いことが分かっています。

 それは自宅での移動、入浴、トイレなど、実際の生活場所でリハビリすることで、自分には何が足りないか、何をするべきかが具体的に分かるからです。またリハビリスタッフも、患者さんの生活ぶりを把握することができます。

 患者さんの居場所が自宅であるか病院であるかの違いだけで、リハビリの頻度や濃度は同じになるように心がけています。私はこれを「在宅入院」と呼んでいます。

 今後は、この在宅入院をもっと増やしていきたいと思っています。

 高齢者は特にそうですが、入院していると自分が何をしたいのかが分からないものです。でも自宅にいると「天気が良い日は畑に行って、野菜の生育を確かめたい」「孫の面倒をみたい」など、日々の生活の中で、自分のやりたいことをイメージできるようになります。

 もちろん、それらが必ずできるかどうかは別の話です。しかし「あれをしたい」「これをしたい」という欲求があれば、リハビリのモチベーションは上がるものです。

◎病院機能評価を毎回受審

 橋本病院は病院機能評価を毎回、受審し、認定されています。機能評価の取得のために準備をすることで、病院内のシステムが確立されていきます。

 日々の業務の中で、どうしてもおろそかになってしまう項目が出てくるものです。更新のタイミングのたびに評価項目を再チェックすることで、患者さん中心の良質な医療を提供し続けることができると考えています。

◎新棟を建築中

 千里リハビリテーション病院は現在、新棟を建築中で、今年度中に工事が完了する予定です。新棟が完成すると病床数が現在の115床から172床へと増加します。

 新棟は木造建築。ヨーロッパで開発されたCLT工法を採用しています。CLT工法は高い断熱性と耐震性を有しているのが特長です。デザインはコテージ風の温かい雰囲気になる予定です。

 新棟とともに音楽室、美術室と園芸棟も建設中です。千里リハビリテーション病院の患者さんは、みなさん実に多彩な趣味を持たれています。ギターやオペラ、革細工、陶芸など人によってさまざまです。音楽室では音楽演奏、美術室では絵画、園芸棟では陶芸や野菜作りができるようにしています。

 美術室、音楽室は大学の美術クラブや軽音楽部の部室のような感じで、気軽に立ち寄れるようにしたいと思っています。

 患者さんが得意なことや好きなことをスタッフに教えるくらいの感じがいいのかなと思いますね。好きなことをして、それがリハビリに生かせるのなら、すごくいいことだと思っています。

◎抑制廃止のために

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 私は認知症などの高齢者に対する身体拘束の廃止を目指す「全国抑制廃止研究会」の理事で、香川県抑制廃止研究会の会長です。

 介護施設での身体拘束などの抑制は、法律で虐待に当たるとされているので、該当事案は減ってきました。しかし病院では、まだまだ認識が薄いのが現状です。

 橋本病院では新人研修で「抑制体験」をしてもらっています。新人職員を午前中いっぱいベッドに縛り付けているのです。しばらくすると本気で怒って「外して」と言う人がたくさんいます。このように、抑制はかなりのストレスを感じるのです。

 一般の人で縛られたり、閉じ込められたりした経験を持つ人は少ないでしょう。認知症であろうがなかろうが、自分が縛られていると分かるとショックだと思います。そして、その次に来る感情は恐怖、怒りでしょう。

 医療界はいまだに非人道的な行為をしているわけです。しかし残念なことに世間では、それほど話題になっていません。

 よく言われていることですが、患者さんが自分の親だったら、はたしてそんなことをするのかどうかを考えなければなりません。

医療法人社団和風会 橋本病院
香川県三豊市山本町財田西902-1
TEL:0875-63-3311
http://www.wafukai-hashimoto.jp/


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