一宮市立市民病院 松浦 昭雄 院長

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2018年、新病棟増築
がん診療拠点病院として機能充実を図る

【まつうら・あきお】 愛知県立明和高校卒業 1980 名古屋大学医学部卒業  社会福祉法人三井記念病院外科レジデント・心臓外科チーフレジデント 1986 名古屋大学大学院胸部外科(現:心臓外科) 1990 名古屋大学医学部附属病院胸部外科(現:心臓外科) 1996 愛知県立尾張病院医長 1999 同部長 2003 同副院長 2005 愛知県立循環器呼吸器病センター副院長 2010一宮市立市民病院副院長・循環器センター長 2015 同院長

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◎病院の歩み

 当院は、国民皆保険制度がなかった1936(昭和11)年、篤志家の関喜兵衛氏からの寄付によって開設したのが始まりです。現在の場所に移転し、35床の病院となった後も、増床を繰り返しながら、地域の拠点病院としての役割を果たしてきました。

 現在は、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター、救命救急センター、地域中核災害拠点病院などの指定を受けています。

 2010年、愛知県立循環器呼吸器病センターと統合。循環器内科、心臓外科、血管外科が加わり、結核病棟も移設されて、尾張西部医療圏の中核病院としての機能が整いました。

 病床数は、一般560床(ICU8 床、救急外来専用ICU6床、HCU16床、NICU9 床、GCU16床、重症者収容病室34床を含む)。結核病床18床、感染症6床を合わせると584床になります。29診療科を標榜(ひょうぼう)し、常勤医約160人、看護職(助産師、准看護師含む)約690人、メディカルスタッフ、事務などを含めると、約1200人の大所帯になりました。

 診療圏は、一宮市と稲沢市の全域。約50万人の方が当院の主な診療対象です。

 昨年度の外来患者数は1日平均1453人。入院患者数は493人で、平均在院日数は11.4日です。年間約6000台の救急搬送があり、約2万8000人の救急患者を受け入れています。これは、尾張西部医療圏の全救急搬送数の約40%にあたります。

◎新病棟の概要

 2004年と2009年に建て直しをした直後に愛知県立循環器呼吸器病センターと統合したため、統合後、病棟の機能的な問題が残りました。

 病院の運営・管理をする部署が集まった管理棟の上に結核病棟を造らざるを得なかったため、感染を防ぐための動線が隔離されていないこと、ICU(集中治療室)のスペースが狭いことなど、解決すべき問題が多く、新病棟の建設が急がれました。

 しかし、新しく病棟を建てるスペースはありません。そこで、一宮市から、病院横にある九品地公園の駐車場約3500㎡を譲り受け、ようやく新棟を建設することになったのです。

 2018年10月に竣工(しゅんこう)し、同年末までには稼働予定。新棟には、結核病棟、ICUを移設し、外来化学療法を中心としたフロアと、緩和ケア病棟を造ります。

 手術室と心臓カテーテル検査室はそれぞれ2室ずつ増設して12室と4室に。カテーテル治療が増えてきたこともあり、手術室のうち一つは、この医療圏では初の、ハイブリッド手術室にします。

 地域がん診療連携拠点病院として必須となる緩和ケア病棟を造ることで、ハード面、ソフト面ともに充実させ、より専門的なケアを受けていただける体制を整えるつもりです。

 これまで各診療科がそれぞれ個別に治療をしてきた外来化学療法も、新センターでは、センター長を中心に病院内のすべてのがん症例を把握し、最新の治療が統一的に提供できる仕組みに変えていきます。

 感染症病棟は、空気感染の恐れがある患者さんが入院する可能性もあるため、他の患者さんと接触しないような動線が必要です。新病棟では、感染症の患者さん専用のエレベーターを設けるなど、徹底して感染を防ぐ工夫を施します。

◎地域連携

 地域医療構想により、急性期、回復期、慢性期と、病院ごとに医療機能の分担が明確になっていきます。その中で、当院は地域の核となる急性期病院としての役割を果たしていかなければなりません。

 患者さんの受け入れ、退院をスムーズにするため、永田二郎副院長・地域医療連携室室長を中心に病病連携、病診連携を強化しています。

 その結果、昨年度の紹介率は約67.8%に、逆紹介率は約96.6%になりました。

 患者さんに安心して入院していただくために、患者サポートセンターを設け、専任の職員が情報を一元管理。多職種のスタッフが患者さんをサポートするシステムをつくり、その充実を図ります。

◎心臓外科医を選んだ理由

 私が医師を志したことに特別な理由はありません。理系の勉強が好きで生物学に興味があったので、何となく医学部に進んだというのが本当のところです。

 外科研修医として4年間勤務し、消化器外科医になろうと思っていたあるとき、「このまま進んでいいのだろうか」と疑問を持ちました。

 当時の消化器がん手術は、再発を防ぐ目的での拡大郭清の考え方が主流でした。今だったら取らなくて済む組織やリンパ節まで広範囲に切除していたため、入院前より衰弱し、極端な言い方をすれば、「廃人」のようになって退院される患者さんも多かったのです。

 また、「告知」の問題もありました。当時は、本人に、がんであることを伝えないことが多く、そのことをずっと心苦しく感じていたのです。

 そんな中、半年間ほど心臓外科に出向することになりました。今から35年前ですから、心臓外科も大変な時代でした。心臓の手術は、手術時間が10数時間に及ぶこともあり、手術によって亡くなられる方も少なくありませんでした。

 一部の患者さんは遺書を書いて手術に臨む。そんな時代でした。しかし、手術に危険が伴う分、インフォームドコンセントも徹底しており、患者さんにうそをつく必要はありませんでした。そして手術がうまくいけば、死線をさまよっていた患者さんが見違えるように元気になる。私が目指す医療はこれだと思ったのです。

 2 年間、心臓外科のチーフレジデントとして経験を積み、名古屋大学に戻ってからは、心臓外科と呼吸器外科の両方を扱う胸部外科に入局。臨床・研究の日々を過ごしました。

◎目指すべき病院の姿

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 私は、"いい病院"を目指したいと思っています。いい病院の指標は、職員が自分の家族や知人が病気になったときに、迷うことなくうちの病院を薦めることができるか、ということにしています。

 自分たちが迷うことなく選べる病院になるには、医療の質とサービスを向上させることが求められます。すべての職員が高いプロ意識と誇りを持って、協力的に働いていること。患者さんがいい医療を受けて、大事にされていること。これらがそろった病院を目指して頑張っていこうと、職員たちにいつも話をしています。

一宮市立市民病院
愛知県一宮市文京2-2-22
TEL:0586-71-1911(代表)
https://www.municipal-hospital.ichinomiya.aichi.jp/


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