第一東和会病院 藤村 昌樹 院長・内視鏡外科センター長

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全国に誇れる強みを追い求めてきた

【ふじむら・まさき】 1970 京都大学医学部卒業 1974 同第二外科入局 1978 滋賀医科大学第二外科助手 1983 テキサス大学外科講師 1985 滋賀医科大学第二外科講師 1988 京都大学第一外科講師併任 1994 文部省在外研究員(イギリス、ドイツ) 1997 滋賀医科大学第二外科助教授 2002 草津総合病院院長 2003 第一東和会病院院長 内視鏡外科センター長

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―内視鏡外科センターを中心とした病院づくりを進められてきました。

 とにかく、何か一つ、日本一だと胸を張れる強みを確立しよう。2003年、私が内視鏡外科センター設立チームの一員として第一東和会病院にやってきたときは、このような心境でした。

 その当時、第一東和会病院の評価は、決して芳しいものではありませんでした。理事長から誘いを受けた私が高槻市の医療状況を調べてみたところ、200床を超える病院が六つあり、うち2院は1000床以上。激しい競争の中、特徴のないこの病院がどうすれば対抗していけるのか。評価が低いのなら、むしろそこにやりがいがあるのではないか。チャレンジしたいという思いが勝り、決断したわけです。

 結果、内視鏡外科センターは、当院の牽引力となりました。開設初年度の内視鏡外科手術は112例、翌年は250例、2005年には293例と年々増え続け、2010年以降は700例以上を維持しています。

 このセンターの特徴の一つが、救急症例への対応です。24時間、365日体制で緊急手術を行ってきました。その数は、これまで2040例で、センター全体の25.5%を占めています。

 今年の2月14日には、センターの手術数が累計8000例に達しました。私たちが全国的な評価を得るとすれば、この内視鏡外科手術の実績でしょう。一つの区切りとして、1万例の達成を目指しています。

 さらに、内視鏡外科手術が伸びていくにつれて、しだいに脳神経外科や整形外科といった科も刺激を受け、実績を伸ばしていきました。

 昨年の全手術件数は5437例。当院の規模が243床であることを踏まえると、驚くべき数字です。手術を任せていただけることは患者さんの信頼の証しであり、外科医にとって最高の栄誉であると感じています。

―近年、技術認定の取得が難しくなっているそうですね。

 内視鏡手術が日本に導入されたのは1990年。当初は医療事故などのトラブルが相次いだことから、日本内視鏡外科学会は2005年に、日本で初めてとなる技術認定医制度を設けました。

 内視鏡外科手術の技術を修得するには、数を重ねることが重要です。体に開けた小さな穴から特殊な器具を入れ、モニターを見ながら手術するわけですから、従来の開腹手術などとはまったく異なるテクニックが求められます。

 認定のための審査では、手術の様子をすべて映像で記録し、編集などを加えずに提出することが義務付けられています。 しかし、技術を学びたいと思っていても、設備が整っていて、しっかりと指導できる医師がそろっている環境はあまり多くないというのが現状です。

 その点、当院は早くから内視鏡外科手術に取り組んできたこともあって、在籍している内視鏡外科センターの11人のメンバーのうち、8人は技術認定医の資格を有しています。

 しかも、センターの開設から現在まで、手術のミスはゼロに近いと言えます。これは、誰が術者になってもレベルが変わらないということを示しています。

 西日本の全域から、当院での修練を希望する外科医が後を絶ちません。このような状況に変わってきたのですから、うれしいことです。

―今後はどのような点に注力していきますか。

 2015年に開設したウロギネコロジーセンター長の竹山政美先生も、当院が内視鏡外科手術に力を入れていることでご縁がつながった一人です。

 ウロギネコロジーは骨盤臓器脱や尿失禁、頻尿などの疾患に対応する、いわば泌尿器科と産婦人科の間にある領域を専門とする分野です。竹山先生はその第一人者として、国内でも最多の手術経験を持っています。今後の手術方法に新たな発展をもたらしたいと、当院の内視鏡外科手術の技術に可能性を感じてくれたというわけです。

 昨年、ウロギネコロジーセンターでは600例の手術をしていますし、骨盤底リハビリテーションも稼働するなど、順調に機能しています。

 内視鏡外科センターと、ウロギネコロジー。この2本柱に加えて、これからは内科と外科のコラボレーションも成長していくと感じています。

 副院長で消化器内科部長の時岡聡先生が中心となって、腹腔鏡・内視鏡合同手術(LCES)を積極的に導入しています。まだ日本ではあまり普及していない先進的な手術ですから、この分野の知見も蓄積し、医療レベルをさらに高めていきたいと考えています。

―地域医療へのアプローチは。

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 今年度中には地域医療支援病院の承認を得るべく、準備を進めています。私たちが何よりも優先しているのは、地域医療への貢献に他なりません。

 地域連携室を軸にして、さまざまな医療機関との関係性が深まっています。診察してほしい患者さんがいるとの依頼があれば、迎えにいくこともありますし、CTやMRIの結果などもその日のうちに共有しています。

 毎月、開業医の方々に向けた勉強会を開いているほか、毎年6月には、連携する医療機関のみなさんが250人ほど集まる「連携の会」も開催しています。

 新たに参加される先生がいれば紹介し、どのような分野が得意かなども伝えています。意見を交換する時間もありますし、関心が高い症例を発表して共に勉強する場でもあります。

 大事なのは、顔を見たら誰だかすぐにわかることです。どんな方か、どのような患者さんを紹介してもらって、結果がどうだったか。電話だけのやり取りといった形式的なものではなく、血の通った真の連携を目指しています。だからこそ切磋琢磨(せっさたくま)しながら、もっと認められる存在として地域医療をバックアップしていきたいと考えています。

 高槻市は、大阪府でも住みやすい街として知られています。その未来を考えたとき、国が推進する在宅医療へのシフトという流れの中で、当院が果たせる役割は大きいのではないかと思っています。

 東和会グループには、高齢者施設、訪問看護・介護ステーション、保育園など、30以上もの関連施設があります。病院を中心とした体制から、まさに今、グループ全体として福祉を提供していくフェーズに入ったのです。

 関連施設を増やしてきたのも、いずれこのような時代が到来すると予見してのことです。人生のすべてのステージを受け止めることができるよう、私たちが学ぶべきことは尽きません。


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