医療法人来光会 尾洲病院 脇田 久 理事長・病院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

地域で支える在宅医療

【わきた・ひさし】 滝高校卒業 1986 藤田保健衛生大学卒業 藤田保健衛生大学病院研修医1988 藤田保健衛生大学病院専修医 尾洲病院院長 1990 医療法人来光会理事長 1993 医療法人 来光会老人保健施設ピエタ施設長 2009 藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院非常勤准教授

c28-1-1.jpg

―患者さんやご家族と病院職員の距離が非常に近いという印象を受けました。

 なにげないあいさつの大切さや、「ありがとうございます」という言葉がもたらす効用については、日ごろから職員に伝えています。

 また、そういった「心がけ」の部分とは別に、私たち医療法人来光会は法人傘下のすべての事業所でISO9001(品質マネジメントシステム)を取得しています。

 病院の機能評価については日本医療機能評価機構による評価を受ける場合がほとんどだと思います。しかし、当法人は介護事業も手がけているため、法人全体の共通意識・共通目標として機能向上に取り組むために、世界共通の品質標準規格であるISO認証を目指したのです。結果的に、法人全体としてサービス向上を図ることができました。

 職員が率先して患者さんや利用者の方に声をかけることが習慣になっていると思います。ISO認証の過程で施設利用者への満足度調査を実施していますが、その結果を分析しても、誰に対しても気持ちの良いあいさつができるということは法人としての強みだといえると思います。

 病院建物が古いために暗い印象になりがちだったのですが、あいさつがあふれることで雰囲気が変わるまでになりました。

―その病院建物も、今年の秋をめどに建て替えられる予定ですね。

c28-1-2.jpg

「老人保健施設ピエタ」

 法人の運営方針として、医療だけではなく介護・福祉に軸足を移していくなかで、新しいビジョンを反映した建物が必要だと考えました。

 背景には各地で進む地域医療構想の策定があります。それぞれの医療圏で適正病床数を具体的に算出し、病院機能の分化を図るこの構想で、当院のある尾張西部地域は、療養型病床がある程度充足しているのに対して回復期リハビリ病床が足りないという結果が出ています。

 これを受けて当院は、これまですべて医療療養病床としていた131床のうち36 床を回復期リハビリ病床に転換しました。このままでは国が進めている構想のもとで生き残ることができないと思ったからです。

 このような新しい状況を乗り越えていこうという局面では、ハード面でも充実を図らなければなりません。現在の病院建物は建築から34年経過しており、アメニティー面での劣化が著しいこと、「病院建て替えのチャンス」という思いもあって新病院の建設を決めました。

 新病院は回復期リハビリ病床を現在の2倍の72床にします。医療療養病床として59床残りますが、そのなかから地域包括病床などに転換できるものがあれば利用する予定です。

 現在の年齢別人口構成を考えると、今後必要となるのは急性期よりも慢性期だと思います。在宅医療も手掛けていますので、法人機能全体を考えながら病床機能をうまく活用していきたいですね。

―一宮市医師会は在宅医療に力を入れています。

c28-1-3.jpg

新病院予想図と

 私は一宮市医師会の在宅療養部門の担当理事を務めています。

 2013年愛知県在宅医療連携拠点推進事業を始めたときには、市医師会としても取り組もうと提案しました。いわゆる「2025年問題」に向けてです。その後、2015年より、愛知県委託事業として愛知県医師会在宅サポートセンター事業、一宮市として国の在宅医療・介護推進連携事業を行うことになりました。一宮市医師会は市と協議して個々の事業として実施するのではなく、相互に連携して事業を進め、地域に合った医療・介護のシステム作りを行っています。

 たとえば、在宅医療の患者さんの症状が悪化して急性期病院に行く場合は在宅療養中の様子を詳細に記録した連絡シートがあったら役に立つでしょう。逆に急性期病院から在宅へ移行する場合には、主治医が決まっていない患者さんのために主治医を探すシステムが必要になります。多様な連携の形を模索しているところです。

 医師や訪問看護、ケアマネジャーとの相互の連携についても、ICT(情報通信)を利用することで、正確で簡便なものにできるかもしれません。医師が忙しいためになかなか連絡が取りづらいという問題も、メール機能を持つシステムを構築することで解決できるのではないでしょうか。

―在宅医療の患者さんの状態が悪化した場合、2次救急病院に搬送すべきなのか。救急医学会でもとりあげられている大きな問題ですね。

c28-1-4.jpg

 高齢者の医療について私たちの病院ではある程度「看取り」の機能も持っています。この機能を拡充させたうえで医師会と協力関係を結び、「ここまでがんばったのなら、もう休ませてあげよう」と判断して対応できる体制も必要になるでしょう。

 看取りのタイミングを迎えた患者さんの紹介がある場合は24時間365日受け入れる体制を、作りたいと思います。

 新病院は現在の病院機能をそのまま引き継ぐだけでなく、亜急性期から慢性期にかけての医療を提供したうえで、在宅医療に移行できない方については当法人の介護老人保健施設を使っていただくなど、より良いものに進化させたいと思います。

 地域医療のあるべき姿は、地域包括ケアを担当する在宅医とそれを取り巻く病院や施設が在宅機能を支える、というものです。われわれは関連の社会福祉法人を社会資源として使いながら、地域で高齢者を支えるしくみの構築に寄与していきたいと思います。

医療法人来光会 尾洲病院
愛知県一宮市浅井町小日比野新太37
TEL:0586-51-5522
http://raikoukai.or.jp/bisyu.html


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る