保健医療系4学科を有する純真学園大学(福岡市)が2月5日、学術講演会「先端医療の研究開発と将来展望4」を同大学で開いた。学生や医療関係者など570人が参加。専門的で、最先端の話に耳を傾けた。
九州大学先端医療イノベーションセンターの大平猛特任教授は、帯電性ナノバブルを中心に、自身の手がける画期的な医療機器とその原理について語った。
患者にできるだけ痛みを感じさせないよう、体表から3mm、肛門から10mmの内視鏡を入れて胃を摘出する技術の開発に取り組む過程で見出した、内視鏡の殺菌のために使う「ナノバブル」が、医療分野のみではなく工業、農業、さらには宇宙開発などへも用いられることにも言及。ナノバブルを使った足の潰瘍患者向けのフットケア用品が実用段階にあり、「糖尿病に起因する足の潰瘍に、ナノバブルによるケアが適しており、国内はもちろん、国民の4人に1人が糖尿病患者であるサウジアラビアなどから期待を持って迎えられている」と話した。
さらに、同センターが低侵襲治療のために開発しているヒューマノイド(人型手術ロボット)などについて語った大平教授。「手術支援ロボット『ダビンチ』は、専用の手術室を造らなければならないが、ヒューマノイドは通常の手術室で利用ができる。人間と違い10時間、20時間ぶっ続けで、手術しても疲れないし、手技が正確だ」と語った。
また、純真学園大学保健医療学部医療工学科の伊藤英史准教授は「ECMO治療の現状と将来」をテーマに講演。日本におけるECMO治療の問題点や治療成績向上のために何をすべきかなどを述べた。
講演会参加者の声(一部抜粋)
腸内などの洗浄を従来の生理食塩水だけではなく、ナノバブルを用いることで瞬時に汚れを浮かし、洗浄できるのは非常に画期的だと思った。
医療が失敗や間違いを繰り返しながら、現在患者さんに適応できている点から、医療の進歩とはすごいなと思いました。とても勉強になりました。
日本の素晴らしい技術を目の当たりにし、感動しました。難しい内容も先生の語り口調で、おもしろく拝聴することができました。