香川県医師会 会長 久米川 啓

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 新年あけましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、穏やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。平素より医師会活動にご理解とご協力頂いておりますことに、厚く御礼を申し上げます。

 さて、今年3月に全国の地域医療構想の構想区域が出そろいますが、大半の都道府県において二次医療圏で決定されたようです。例外として香川県と神奈川県、愛知県が二次医療圏と異なる構想区域となるようですが、神奈川県は横浜市の、そして愛知県は名古屋市の医療圏を広げて周辺地区を含めた形の変更でした。

 従って今回、本格的に二次医療圏を組み替える形で医療構想区域を変更したのは当県だけでした。それにも関わらず大きな混乱もなくスムーズに変更できたのは、県や市町、各医療関係者のご理解によるものと思っています。恐らく今後数年間は、当県においては病床機能変換の論議はせずに国の出方を見守ることができそうです。

 病床関係で今、最も問題になっているのが療養病床です。国は療養病床を削減するとしており、介護施設等への転換を考えているようです。しかしながら、医療費と介護費をまとめて社会保障費の一部と考えれば、それは単に費用の付け替えでしかなく、変更に伴う費用の分だけ増加するように思います。現在ある療養病床に患者さんが入院しており、必要とされているのであれば存続させるべきです。無理に在宅や介護施設に移動させれば、結局、費用がかさみます。

 現在、国は「かかりつけ医」を中心とした地域包括ケアシステムの構築を急いでいますが、そのシステムの中核に療養病床を置いた方が、もっとスムーズで安価なシステムが構築できるのではないかと考えます。

 私は今年度、日本医師会「生命倫理懇談会」のメンバーに任命されました。恐らくこれから安楽死や尊厳死のような論議がなされるのではないかと思いますが、実際始めた治療を途中で中断するような論議をここで行っても決定できることではなく、それよりも高齢者の疾患に対して、本人が治療を希望しない場合、どのようにすれば患者の意志を貫けるかを考えるべきではないかと思っています。

 最近、厚生労働省や県による医療機関への指導が厳しくなったように思えます。地方社会保険事務局から厚生支局による直接の指導となり、それまでの地域の事情を踏まえた慣習やルールを無視して、全国一律のルールで行うようになり、各地で多くの不満が出ています。

 昨年、当県でも厚生支局との見解の違いで、県下の一次・二次救急の夜間診療一斉中止を考えましたが、厚生支局から書面にて謝罪を受けたため見送るという事案がありました。医療機関に対する指導は重箱の隅をつつくようなことをするのが目的でなく、熱心に医療に取り組んでいるかを見るべきです。

 もちろん、ルールを無視した医療や金儲けのための医療は決して許されるべきではありません。我々はそういった事例にはしかるべく指導をするよう申し入れています。

 「プロフェッショナルオートノミー」という言葉があります。我々医師会がプロの団体として自ら姿勢を正し、自ら律するという意味から、医師会自らが会員を指導・是正する事が望ましいと思います。しかしながら、利益団体としか見ていない国民の目と、指導権限を渡したくない国があり、一朝一夕には実現できそうにありません。

 今後、ますます医療を取り巻く環境は厳しくなっていきますが、今年も我々は頑張って参りますので、皆さま方の変わらぬご支援の程をお願い申し上げます。新年が皆さまにとりまして良い年でありますよう、祈念致しましてごあいさつとさせて頂きます。


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