2月1日に病院が新築移転より充実したリハビリの提供を
コープリハビリテーション病院は2月1日に新築移転する。
鍛本真一郎院長に新病院について話を聞いた。
◎光と風の通り道を確保
現在の建物は、1985(昭和60)年に移転した水島協同病院(倉敷市)が使っていた病棟です。建物は老朽化しているし、個室もない、病室にテレビもない状態ですが、患者さんやご家族からは「生活感があって落ち着く」と好意的な意見をいただいてきました。新病院では、いかにこの「生活感」を失わないようにするかが課題です。
新病院は7階建てです。1階は外来フロア、2階はリハビリテーションフロア、3階は回復期リハビリテーション病棟、4、5階が療養病棟、6、7階が老健あかねです。
設計の段階から職員が関わり、さまざまなアイデアを出してくれました。建物の完成はもちろん、うれしいのですが、それよりも職員みんなで築き上げた建物だということに満足感があります。
病棟はフロアごとにコンセプトカラーを定めています。3階の回復期リハビリテーション病棟は「だいだい色」。倉敷市の鳥「カワセミ」をイメージしています。療養病棟は、4階が水島の「緩衝緑地帯」をイメージした「深緑色」5階が貿易港「水島港」をイメージした「深青色」。6、7階の老健あかねは6階が連島・浦田の「みかん山」をイメージした「黄色」、7階がさくらまつりでにぎわう「箆取(へらとり)神社」をイメージした「桜色」です。
動線を短くして光と風の通り道を確保することに気を配りました。また病棟の角にはグラスエリアの展望スペースを設けました。日当たりが良く景色のいい場所で患者さんと、そのご家族に歓談してもらえるスペースになるのではと思っています。病棟のデイルームは南北それぞれに配置し、開放型のナースステーションから両方を見渡せるような工夫をしています。
新病院に隣接した倉敷市環境交流スクエアの敷地内にビオトープの森があります。今回、その森を造った造園業者に依頼し、デイケアの中庭に同様の森を造りました。近辺には倉敷市の芝生広場もあります。森や芝生のなかでのリハビリが可能なので、「森を感じるリハビリ」をキャッチフレーズにしようかとも考えています。
◎歯科を新設
トイレや浴室は患者さんの自立度に応じた設備にし、介助がしやすいように工夫をしました。
3階の回復期リハビリテーション病棟と6、7階の老健フロアには自宅の予行演習ができるお風呂、トイレを設置。お風呂には可動式の手すりを設置しています。お風呂から上がるときは普段壁側に収納している手すりを出して、それにつかまって立ち上がることができます。
また脱衣所の手すりは車いすから自力で立ち上がりやすくし、前方からの介助がしやすくなるように設置しました。
新病院では新たに歯科を設けました。倉敷医療生協内の水島歯科診療所から歯科医2人を派遣してもらい、定期的な口腔ケアを実施します。
◎精度の高いリハビリを提供
急性期後のリハビリによる在宅復帰支援は回復期リハビリテーション病棟での専門的リハビリと老健での短期集中リハビリです。当院はこの二つを備えていますので、急性期からのリハビリ要求への円滑な対応が可能です。
リハビリは単位数で成果を上げる時代ではなくなりました。いかに多職種連携をマネジメントし、介入内容を充実させるかで差が出るのです。
当院では比較的ADL(日常生活動作)が低い患者さんを数多く受け入れています。そのADLを在宅復帰可能なレベルにまで向上させる方法が自宅リハビリです。自宅でリハビリをすることで、実際に在宅に復帰した場合にできることとできないことの把握ができるというメリットがあります。また自宅リハビリは認知症を合併した症例でも有効なことが分かりました。
当院の回復期リハビリテーション病棟患者1人あたりの1日平均リハ単位数は3.14です。全国平均は8.71なので、いかに少ないかがわかるでしょう。これほど少ない単位数で成果が上がっているのは精度の高いリハビリを提供しているからです。家で暮らすための実践的なリハビリを集中的にした結果だと考えています。
◎リハビリテーション医の役割
当院では主治医と病棟師長、担当医療ソーシャルワーカーをコアスタッフと呼んでいます。この3者はそれぞれの立場から対等に意見を言い合います。それぞれ専門が違うので、上下関係はありません。医療は医師、健康管理は師長、暮らし向き情報は医療ソーシャルワーカーが責任を持つシステムです。
また、リハビリテーション医には看護師とセラピスト(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)のかけ橋 という役目もあります。リハビリテーション医が、それぞれの職種の仲介役となることで円滑なチーム医療が成り立つと思っています。