急性期と在宅を結ぶ懸け橋に
◎リハビリに注力
当院は回復期リハビリテーション病棟と一般病棟、それぞれ2病棟の計4病棟で構成されています。
回復期リハビリテーション病棟では急性期病院からのリハビリ患者さんを受け入れ。一般病棟では地域の施設からの患者さんの受け入れや、外来診療などを担っています。
回復期リハビリテーション病棟だけでなく、一般病棟でもリハビリを実施しています。病院全体でリハビリに力を入れているというのが当院の特徴でしょうか。
近年、「リハビリテーション栄養」という、リハビリと栄養管理を並行する取り組みが盛んです。当院でも病院を挙げて取り組んでいます。
これは医師、メディカルスタッフが多職種でチームを組み、食事や排せつなどADL(日常生活動作)の向上を促し、早期の自宅療養へと導く取り組みです。
当院はNST(栄養サポートチーム)専門療法士認定教育施設で、沖縄県全体から毎月2人程度の研修生を受け入れています。おそらく県内では、最も多くの研修生を定期的に受け入れている施設ではないでしょうか。
◎地域の高齢者を支える
法人内に各種福祉施設を備えています。訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、在宅介護支援事業所、訪問リハビリ、地域包括支援センターなどがあります。
それらの施設を利用し、地域住民の方々のニーズに合わせた福祉医療の提供を心がけています。
地域包括支援センターは市町村から委託を受けた事業です。地域の高齢者のみなさんが住み慣れた場所で、安心して暮らせるように介護、福祉、健康、医療などを支えています。
◎褥瘡、転倒の予防を
地域の施設などで定期的に褥瘡(じょくそう)予防のための勉強会を実施しています。入院中に褥瘡ができる人もいますが、最近多いのは施設や自宅などでできる人です。
かなり悪化してから病院にお見えになる人も多いので、今後は予防をし、褥瘡ができたとしても、なるべく早く治療できるようなシステムの構築を急がなければなりません。
また在宅での転倒予防にも力を入れていきたいと考えています。もちろん骨折した患者さんに対しては早期にリハビリが介入し、ADLを保つ努力をしています。しかし、それよりも前段階である転ばないための予防策を講じることこそが重要なのです。
◎関連病院との連携
関連病院に沖縄市のちゅうざん病院、熊本市の西日本病院、聖ケ塔病院があります。事務長などは関連4病院それぞれで一定期間勤務しますし、私も以前は、ちゅうざん病院で勤務していました。
熊本地震のときには、西日本病院と聖ケ塔病院に、当院と、ちゅうざん病院から5人ずつが応援に行きました。どちらの病院も被災地から近い熊本市内の病院です。
停電や断水になりましたし、職員のなかには車内泊の人も少なからずいました。グループ内での助け合いの重要性を感じましたね。
◎メディカルソーシャルワーカーの重要性
当院の医療相談室には4人の社会福祉士がメディカルソーシャルワーカーとして勤務しています。メディカルソーシャルワーカーは受診や入院、医療費や退院後の生活のことなど、治療や医療に関する相談に応じる職種で、その役割は重要です。
また、患者さんや、そのご家族が安心して地域のなかで暮らし続けていけるように、近隣のクリニックをはじめとする地域の保健・医療・福祉機関との連携を図る地域連携の窓口の役割もしています。
急性期病院と当院、当院と地域の開業医の潤滑油的な役目を担っています。
以前は看護師が退院調整などをしていました。しかし看護師とのかけもちだと業務が煩雑になってしまいます。メディカルソーシャルワーカーが、その役割を担うことで情報を集約でき、業務の効率的につながっているのです。
◎在宅医療の強化が目標
今年の目標に在宅医療の強化を掲げました。
数年前までは在宅系の五つの事業所が2週に1度集まっての会議をしていました。しかし、現在はやっていません。また再開して、密な連携を心がけていかなければならないと感じています。
訪問診療などもやりたいと思っていますが、マンパワーの問題もあり、できていません。今後の課題ですね。
◎学会参加を推奨
理事長の方針で、職員を県内各所及び内地での学会、研究会などに快く送り出すようにしています。もちろん旅費は全額補助しますし、年に何回までと言ったしばりもありません。
またちゅうざん病院との共同研究会も積極的に実施しています。みんなで一緒に準備や作業をすることにより、勉強もできますし、チームワークの向上にもつながります。もちろん院内の勉強会の費用なども全額補助しています。
院長になってからは減りましたが、私も多い時は年に10回くらい学会に参加し、発表などをしていました。
院長になると学会に参加する時間的余裕がなくなるのも事実です。学会の直前や学会参加中に院内感染などのトラブルが発生することもあります。学会開催地で電話対応をしなければならないこともあり、行く前は、いつも不安ですね。
◎中学生のころの夢は「獣医」
中学生のころは獣医になりたいと思っていました。それを家族の前で話すと、父から「獣医ではなく、医師になってほしい」と言われました。
一族のなかで誰か医師になってほしいとの思いがあったみたいですね。
趣味は、読書です。出張の移動の時に読みますね。歴史も好きで、大河ドラマは毎回見ています。