地方独立行政法人 加古川市民病院機構 加古川中央市民病院 大西 祥男 理事長・院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

7月1日、新病院開院高度医療を実践し、「学べる病院」を目指して

【おおにし・よしお】 1983 神戸大学医学部卒業 神戸大学医学部附属病院(研修医)勤務 1984 三菱神戸病院(内科)勤務 1986 同大学院医学研究科(第1内科)入学 1990 同卒業 神戸大学医学部附属病院(第1内科医員)勤務 1991 神鋼病院循環器内科医長 1993 米国Washington大学(St.Louis)にResearch Fellowとして留学(Dr.BE Sobel,Dr PB Corrに師事) 1995 神戸大学医学部附属病院第1内科助手 2000 同講師 2001神鋼加古川病院内科・循環器科部長 2008 同副院長 2009 県立柏原病院院長 兼 同看護専門学校長 2011 地方独立行政法人加古川市民病院機構加古川東市民病院院長 2013 同機構加古川西市民病院・東市民病院統括院長 2016 同機構理事長 兼 加古川中央市民病院院長

c16-1-1.jpg

―7月1日に新病院が開院しました。開院までの経緯を教えてください。

 当院の開院までには二つの段階を経ました。

 第一段階は、2011年4月にあった、市立の加古川市民病院(405床)と民間の神鋼加古川病院(198床)の組織統合と、それに伴う加古川市民病院機構の設置です。これにより、加古川市民病院は加古川西市民病院に、神鋼加古川病院は加古川東市民病院に、名称が変わりました。

 その後、新機構では、5年をかけて2病院を統合した新病院の開院計画を進めてきました。そして、第二段階として、加古川西市民病院と加古川東市民病院を統合して完成したのが、ここ加古川中央市民病院なのです。

 背景には、旧加古川市民病院の内科医不足がありました。2005年には14人いた常勤内科医が、2009年7月には1人にまで減少。内科の外来診療や入院が制限され、総合病院としての機能が維持できなくなっていました。

 神戸大学に医師の派遣を依頼したものの、すぐに状況を好転させることはできませんでした。国が公立病院改革ガイドラインを推進していた時期と重なったこと、405床の病院と198床の病院がそれぞれ存在するよりも、統合して600床の病院となるほうが医師も採用しやすいという判断から、合併話が持ち上がったわけです。

―新病院の特徴はなんでしょう。

c16-1-2.jpg

マグネティックナビゲーションシステム(Niobe ES)

 当院は、急性期、高度急性期を担う30診療科、600床の病院です。

 「消化器センター」「心臓血管センター」「こどもセンター」「周産母子センター」「がん集学的治療センター」の5大センターについて体制の強化充実を図りました。

 この5大センターを軸として、30診療科が連携し、救急医療に対応しています。これまで2病院で年間約6000台の救急車を受け入れていました。新病院ではこのままのペースで進むと約7000台となることが予想されます。

 医療機器類は限られた予算の中でメリハリをつけて選択しました。従来から使用していたCTやMRIは移設し、これまでなかった最新鋭の機器は新たに購入しました。

 ハイブリッド手術室やリニアック、そして日本では2台目となる不整脈のアブレーション治療をするマグネティックナビゲーションシステムを導入しました。この機械の導入で患者さんの安全性と放射線被爆量の大幅な軽減が可能となりました。また手術支援ロボット「ダビンチXi」も導入しています。

 建物は免震構造で動線を工夫、職員が動きやすいようにダブル十字構造を採用し、療養環境と看護機能を両立させています。屋上には、リハビリにも使える屋上庭園と、ヘリポートを設置しています。

 周産母子センター内にはホスピタルアートに取り組む世界的な銅版画家・山本容子さんの作品2点を展示。妊婦さんや、そのご家族の不安はもちろん、緊張の連続を強いられる職員の気持ちも和らげば、と期待しています。

―二つの病院が合併。ご苦労もあったのでは。

c16-1-3.jpg

■ 統合・再編スキーム

 大きな病院になると小回りが利かなくなるのではないかとの懸念がありました。しかし両病院共にチーム医療の素地が根付いていましたので、取り越し苦労でしたね。

 当初は地元の病院がなくなるということで多少の反対もあったようです。しかし中規模の病院が二つあるよりも機能の充実した大規模病院がひとつある方が、医師確保に有利で病院は安定的継続的なものとなり住民にとっても安心が得られます。また、複合的に疾患を抱えている患者さんの処置が一カ所で完結できるという利点があります。そういうメリットが分かっていただけたようですね。

 2011年に加古川市民病院機構を設立したときに両病院は離れているけれども機能的には一つの病院であることを目指しました。

 まず同一電子カルテの導入。職員報酬、待遇、人事交流、組織の統一、100人規模の人事異動、統括責任者配置などを行いました。細部にわたってマニュアルを作成し、職員の融和と連携を強化しました。

 幸いなことに統合するまで5年の月日がありましたので、比較的スムーズに事が運んだと思っています。

 ハード面では働きやすい環境を作るために設計の早い段階から現場の職員の意見を取り入れました。

 たとえば新病院の検査室の設計は両病院の検査技師が集まり、細かい打ち合わせをして決定していきました。最初は意見がぶつかるのですが、会議を重ねていくうちに意見がまとまる。そうこうしているうちにお互いの融和が生まれ、新病院になったときには比較的スムーズな運営ができるようになってきたと思います。

―力を入れている取り組みは。

c16-1-4.jpg

 当院は神戸以西で最大規模の病院です。神戸大学にとって重要な関連病院ですから、たくさんの優秀な指導医を派遣いただいています。

 実習生や研修医の教育に力を入れていて年間約60人を受け入れています。学生にとって、勉強がしやすい環境なのではないでしょうか。おかげさまで来年は研修医11人枠の受け入れがフルマッチです。

 丹波市にある県立柏原病院は、かつて小児科医がゼロになるという事態に陥りました。小児科存続の危機だったわけですが、そこで地域のお母さんたちが、「柏原病院の小児科を守る会」を結成。小児科を存続させるべく住民運動を繰り広げました。

 2009年4月、病院の再建を託された私は柏原病院の院長に就任しました。その時に医師確保の難しさを痛感しましたね。病院経営や医療の質などと言う前に医師がいないと何もできないのです。その経験から病院全体で医療従事者を育てることのできる「学べる病院」を目指しています。

 若い医師を集めるには、なによりも教育が重要です。勉強ができる、研修ができる、環境がそこになければ、優秀な若い人は振り向いてくれません。だからこそ当院では研修教育に力を入れているのです。

地方独立行政法人 加古川市民病院機構 加古川中央市民病院
兵庫県加古川市加古川町本町439
TEL:079-451-5500(代表)
http://www.kakohp.jp


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る