医療法人社団 尾﨑病院 尾﨑 舞 理事長

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人の心を支える親切でやさしい病院に

1999 鳥取大学医学部卒業 同附属病院第一外科 2001 益田赤十字病院 2002 鳥取大医学部附属病院第一外科 2004 尾﨑病院 2010 同院理事長

 「人生後半のトータルサポート」を理念に掲げ、鳥取東部の高齢者医療に尽力している尾﨑病院。「為せば成る」の精神でチャレンジを続ける尾﨑舞理事長に話を聞いた。

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―病院の特徴について教えてください。

 当院の患者さんのほとんどは、70~90代の高齢者です。病気だけでなく、体力面の衰えもあり、自立した生活を送ることが難しい状況です。自宅に帰るにしても、施設に入所するにしても、安心して生活するためには、医師、看護師、介護士、リハビリスタッフ、栄養士など、さまざまな職種のサポートが必要になります。

 また、ソーシャルワーカーの役割も重要です。生活の負担を軽くするにはどんなサービスを使えばいいか、一般の方にはわかりにくいところをアドバイスしたり、サポートしたりする役目が求められます。

 当院が理念の中に掲げている「人生後半のトータルサポート」というのは、その方の生活全般を支えていくことですので、患者さんがより良い状態で、より良い場所で生活していただけるようなきめ細やかなサポートを心がけています。

―「腎臓リハビリ」を山陰地方で初めて導入されたと聞いています。

 腎臓リハビリは、九州地区では10年くらい前から始まっていると聞いたので、医療法人 才全会賀茂クリニック(福岡市)へ行っていろいろ学んで来ました。透析開始から約一時間後、循環動態(前身の血液循環の状態)が落ち着いた時間帯に、5〜15分程度のストレッチ、筋力トレーニング、有酸素運動などをくり返す方法で、2014年から当院でも始めました。

 透析患者さんは高齢の方が多いため、いったん足が弱ってしまうと、週3回の通院は困難です。病院への送迎などで家族の負担が大きくなると、「施設に入るか入院するか」という話になってしまいます。それを何とか食い止めたい、できるだけ自宅から通院してもらいたいと思って腎臓リハビリを始めました。

 現在、14人の患者さんが腎臓リハビリをしていますが、とてもいい成果が出ていて、皆さんとても活動的になられました。

 高齢者医療の課題は、足腰の健康維持と認知症予防ですので、新たな取り組みとして「二重課題トレーニング」も始めました。これは、体と頭(脳)のトレーニングを同時にするもので、認知症にも効果的だといわれています。今後は、運動しながらアミノ酸を摂取して運動機能を上げる方法なども取り入れながら、リハビリの次の段階を模索していきたいですね。

―糖尿病についてはいかがですか。

 最近では、糖尿病性腎症の予防策としても運動療法が注目されるようになりました。透析になる手前のCKD(慢性腎臓病)の患者さんに運動療法をすることで、病気の進行を抑えられます。当院には糖尿病専門の医師がいますので、リハビリのスタッフと一緒に運動療法を始めました。洗濯物を干しながらつま先立ちをするなど、誰もが無理なくできて、続けられるものを提供しています。

 また、今年度から、鳥取県でも糖尿病療養指導士の資格が取れるようになりました。当院でも、リハビリスタッフ、看護師、検査技師の3人が取得に向けて取り組んでくれています。これからは、医療面だけでなく、リハビリ面でも治療の質がさらに向上することを期待しています。

―院内には職員から提案を募る「提案制度」があるそうですね。

 一つの案件につき、提案したら500円、採用されたら1000円支給するというもので、2014年、「女子力提言制度」という名称で始めました。目的は、女性ならではの視点で気づくこと、困っていることの改善です。例えば、「マタニティーの制服をパンツスタイルにしてほしい」「壁に飾る写真や絵は定期的に替えた方がいい」など、いろいろな意見が出ました。いざ始めてみると男性からも要望が出はじめたので、現在は「提案制度」という名称で継続しています。

 コスト面を考えると、実現に時間がかかるものもあり、以前であれば、棚上げにしてきたような案件もあります。でも、提案という形で出されると逃げられません(笑)。今では、すべての提案にきちんと回答し、できないものについては理由を説明して納得してもらっています。

―二人の子の母で理事長。仕事と家庭の両立は大変なのでは。

 物心ついた時から医師になりたいと思っていました。高校のころは成績が悪くて、模試ではどこの医学部もE〜F判定だった時期もありますが、医師になる夢をあきらめたことは一度もありません。消化器外科医として35歳で開業した父の影響も少しあるかもしれませんね。

 現在は、医師と理事長の仕事に大きなやりがいを感じています。一方で、11歳と8歳、二人の子を持つ母としては、夜遅い帰宅や当直、休日に一緒にいてやれないことも多く、寂しい思い、いやな思いをさせているのではないかと、申し訳なく思うこともあります。そんな中、小学5年生を対象に小学校で開かれた「ハーフ成人式」で、「将来は医者になりたい」と言う娘の言葉を聞いたときは、本当にうれしく、報われた気がしました。

―今後の課題・展望を聞かせてください。

 慢性期の救急を24時間受け入れられる体制を整えたいと考えています。自宅やケアハウスなどで高齢の患者さんの介護をしている人たちが、気軽に相談したり、患者さんを連れて受診したりできる医療機関になりたいのです。

 しかし、現在の常勤医師だけで当直や夜勤をやっていくのは負担が大きい。まずは医師をしっかり確保することから始めて、夜間でも土日でも、「あそこ(尾﨑病院)に行けば安心だ」と思ってもらえるような病院にしていきたいと思っています。

 真の「おもてなし」とは、自分の時間と労力を相手に提供することですが、スタッフたちは業務に追われて、心に余裕を持てず、患者さんやご家族と一対一でゆっくり話もできない状況にあります。いくら質の高い医療を提供することができても、人の心を支えてあげることができなければ、私たちが目指す、「親切でやさしい病院」にはなれません。

 ですから、勤務内容や体制などを見直し、患者さんが"うれしい"と思ったことを、こちらも"うれしい"と思えるような心のゆとりを持てるようにしたいと思っています。みんなが「医療者になりたい」と思ったときの気持ち、やりたかったことを実現できるような環境にしていきたいですね。

 そうすれば、患者さんが本当に求めていることは何なのかに気づき、応えることができます。それが本当の意味での「求められる医療」ではないでしょうか。

 助けを必要としている人に、いつでも優しくありたい。いつでも、どんな些細なことでも、聞けば答える、親身になれる存在になること。いつも変わらない笑顔とあいさつで患者さんを迎えられる病院であることを心がけながら、地域のみなさんが、病院だけでなく、在宅や施設でも快適に過ごせるように、努めていきたいと思います。

医療法人社団 尾﨑病院
鳥取市湖山町北2丁目555
TEL:0857-28-6616(代表)
http://www.ozakihp.or.jp/


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