医療法人慈誠会 山根病院 山根 雄幸 副院長

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島根の糖尿病医療の発展を目指して

島根県立浜田高校卒業 1994 久留米大学医学部卒業 島根医科大学医学部附属病院 医員 1995 公立邑智病院内科 1999 島根医科大学医学部附属病院 医員2001 同助手 2007 医療法人慈誠会理事、山根病院副院長

 1978(昭和53)年の開院から約40年となる山根病院 。この10年、中国地方で数少ない糖尿病指導医の山根雄幸副院長が、浜田市の糖尿病治療をけん引してきた。その取り組みについて話を聞いた。

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◎開院、そして法人化へ

 京都府立大学第一外科に入局し、国立病院で外科医長として働いていた父の毅(現理事長)が、浜田市に戻り外科手術に取り組みたいという希望を持って開業したのが当院の始まりです。

 今も、臨床医として働く父は、消化器外科医として多くの手術に取り組みました。また、外科といっても、その当時の開業医は内科も診るような状態が当たり前でしたので、病院には多くの患者さんが訪れ、私の記憶のなかでは、とにかく忙しそうにしている父しか思い浮かびません。自宅で休んでいても、夜中に何回も病院に呼び戻されていました。日曜日に家族でどこかに遊びに行くというようなことはほとんどありませんでした。父の背中を見て、当時は、医師にだけはなりたくないと思っていましたが、結局医師となり、私も忙しい毎日を送っています(笑)。

◎浜田地域での糖尿病の特徴

 私は、久留米大学医学部を卒業後は、島根医科大学医学部附属病院(現島根大学医学部)の第一内科などで臨床や研究にあたりました。

 それと同時に、1997年からは、私が週1回当院で糖尿病外来も始めました。その後、糖尿病の治療にもっと本格的に取り組みたいという思いが強くなり、2005年1月、法人化をきっかけに、当院に戻りました。

 もともと浜田市周辺は、他地域と比較して、糖尿病の患者さんや糖尿病予備軍が多い地域です。にも関わらず、島根県全体でも日本糖尿病学会専門医は30人足らず、浜田市では私も含めて、二人だけしかいないのが実情です。このため、治療も予防活動も十分にできているとは言えません。

 また、浜田市は、高齢化率も高く、2005年には28.5%に到達していました。翌年、国内の高齢化率は20.3%でしたので、約15年先の日本を先取りしていたわけです。ちょうど、2000年代後半ごろから、糖尿病患者は認知症になりやすいというデータも現れましたが、実際浜田地域の認知症者の数は多く、早期に認知症患者をみつけることも重要な課題でした。

 ただ、島根県の特徴として糖尿病の専門医は少ないのですが、糖尿病療養指導士が多数います。島根県では、1997年から「島根県糖尿病療養指導士」の制度が、島根県医師会長を委員長として県医師会、県薬剤師会、県栄養士会、県検査技師会などの後援を受けて設立されました。これは、国内の各地域の糖尿病療養指導士の中では、福岡県筑後地区に次いで二番目に古い歴史を持ちます。

 また、研修なども度々あり資格取得までに二年間はかかります。おそらく難易度もかなり高いと思われます。

◎当院の糖尿病への取り組み

 当院では、教育入院に力を入れています。現在、大学病院などでの教育入院は、2、3日で終了するものが主流ですが、実は、入院日数を短縮することにより、退院後も外来での検査もあり、どうしても断片的な検査や治療になりやすいです。

 最近は教育入院を実施する施設は減少しています。医療制度改革にともないコスト面で合わなくなり、急性期病院では教育入院ができなくなっているようです。

 当院の場合は入院期間が2週間と長めですが、退院後も効果的な治療が継続してできるというメリットがあります。

 また、糖尿病の患者さんは、認知症になりやすいのですが、例えばアルツハイマー型認知症の場合、健康な人の2倍から3倍という数値もあります。

 これを受けて、当院では、糖尿病の教育入院で来院された患者さんに「長谷川式」というテストを実践しています。長谷川式では、まず、認知能力の低下を判断。その結果を受けて、МRI(磁気共鳴画像)を撮影し、認知症かあるいは脳血管性の疾患なのかを判断します。

 脳血管性の病気と判断した場合は、浜田医療センター(浜田市)と連携していますので、そちらでより詳しい検査をしてもらうことになります。

 また、例えばアルツハイマー型認知症の場合は、当院で投薬治療を、行いますが、その際アルツハイマー型は特に家族との連携が重要です。

 アルツハイマー型でない認知症の場合は、記憶が完全にゼロになるのではなく、まだらではありますが、断片的にでも残ります。しかし、アルツハイマー型の場合は、完全に記憶が抜け落ちています。本人だけに伝えていると薬の飲み忘れなどもありますので、必ず家族にも関わってもらいます。

 家族だけでなく、スタッフの教育にも力を入れています。島根県糖尿病療養指導士の資格取得を奨励し、入職3年目から4年目の看護師などには必ず取得させます。

 現在、当院と分院では、糖尿病看護認定看護師が1人いるほか、病棟、外来の看護師が8人、管理栄養士が2人、薬剤師、理学療法士もそれぞれ1人ずつ、合計12人が糖尿病療養指導士の資格を取得し、糖尿病チームとして患者さんをサポートしています。

◎糖尿病教育認定施設として。今後の展望

 現在、当院では他地域からの来院も増えるなど、糖尿病患者さんが増加し、唯一の専門医である私も多忙です。行政の仕事など対外的な活動も増えています。

 当院は、日本糖尿病学会認定教育施設でもあります。今後は、糖尿病専門医を取得したいと希望する人に来てもらうなどの対策を考え、専門医の人員を増やしたいと考えております。その上で、糖尿病に関する研究や論文発表を国内外でしていきたいですね。

 また、運動療法と糖尿病の関わりについての研究にも力を入れていきたいと考えております。糖尿病治療においては、食事療法も重要ですので、糖尿病食のおかずを調理して、宅配できないかという夢も持っています。

 医師の力だけでは限界がありますので、メディカルスタッフの育成をし、彼らの力を借りながら、より島根県の充実した糖尿病治療チームを作り上げたいですね。

医療法人慈誠会 山根病院
島根県浜田市熱田町1517番地1号
TEL:0855-26-0688(代表)
http://www.yamane-hp.jp


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