ハッピーママくらぶ 代表 鳥村孝子 さん
「しつけがなっていない子」「困った子」などと誤解されやすい発達障害児への理解を広めるとともに、子育てで孤立しがちな母親たちを支援しようと奮闘する女性がいる。
「ハッピーママくらぶ」代表の鳥村孝子さん=福岡県久留米市。「発達障害を地域全体が正しく知らないと、発達障害の子の生きづらさはなくならない」と、交流会や講演会、フリーペーパーの発行を通して、地域に発達障害に関する情報と人の輪を広げている。
発達障害は、先天性の脳の中枢神経の異常で、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)など。2012年の文部科学省の調査では、通常学級に在籍する小中学生のうち、発達障害の可能性がある児童生徒が6.5%(約70万人)。年々増加しているとのデータもある。
見た目には分かりにくいため「誤解され、傷つき、分かってもらえないことによって、うつなどの二次障害に陥る人も多い」(鳥村さん)。周囲の理解で、特性を生かし、社会生活を送ることができる人がいる一方、生きにくさを抱え、引きこもりなどになるケースもあるという。
鳥村さんが、発達障害に関心を持つようになったのは2年ほど前。発達障害児の母親と知り合ったことがきっかけだった。2男の母で、かつて市内の支援施設に勤務していた経験もある鳥村さん。「相談する人がいない。場所がない」「周囲の人にわかってもらえない」という悩みを聞く中で、支援や交流の場の必要性を痛感。正確な情報を地域に伝える必要がある、とも考えた。
2015年6月、自身が代表となり、「ハッピーママくらぶ」を設立。自閉症スペクトラム支援士なども参加する母親向けの交流会「ママカフェ」を定期的に開くほか、大学教授らを招き自閉症やLDなどの講演会も開催してきた。
同時期に創刊した月刊のフリーペーパー「ハッピーママくらぶ通信(以降ハピマ通信)」には、自閉症スペクトラム支援士によるQ&Aコーナーなどのほか、食育や産前産後のケア、子どもを歯科医嫌いにさせないためのコツなど、その分野の専門家による子育て情報を掲載。久留米市内外の療育センターや子育て支援センター、カフェなどに置き、配布している。
発足から1年5カ月。交流会参加者も増加し、講演会の参加者は100人を超えることも。1,500部からスタートしたハピマ通信は、発達障害がない子の親にも読まれ、発行部数は13,000部に。賛同してくれる人や団体も増えた。今後、さらに活動の幅を広げていく予定だ。
「発達障害の子の二次障害を防ぎ、一人でも多くの子に幸せに生活していってほしい。それが、ママたちの幸せ、地域の幸せにつながると思うから」
ハッピーママくらぶでは、同くらぶの活動を支援する個人・団体や、フリーペーパー「ハッピーママくらぶ通信」を設置可能な施設などを募集中。
問い合わせは、ハッピーママくらぶ info.happymamaclub@gmail.com へ