卒後教育センター開設 充実した研修プログラムを提供
高いレベルの医療を提供
ー内科学第二講座の特徴を教えてください
私たち内科学第二講座は呼吸器内科、内分泌代謝内科、肝臓内科という三つのグループで構成されています。
呼吸器内科が対象とする疾患は肺線維症、間質性肺炎、肺がん、感染症、COPD、ぜんそくなど多岐に渡り、これが呼吸器内科学の奥深さでもあります。それぞれの、サブスペシャリティーを大切にしつつも呼吸器内科全般の診療に精通した臨床能力に秀でた医師の育成を目指しています。
内分泌代謝内科では甲状腺・副腎をはじめとする内分泌疾患、糖尿病・代謝疾患を対象にしています。
近年、高血圧の原因として原発性アルドステロン症が大きく関わっていることが分かってきました。これは副腎の腫瘍からアルドステロンというホルモンが大量に出てしまう病気です。内分泌代謝内科では原発性アルドステロンと診断された患者さんに対して、副腎静脈サンプリング検査をします。そのあとに手術や薬物療法をしています。
肝臓内科では、インターフェロンを使用しないウイルス性肝炎治療に力を入れています。また原発性胆汁性肝硬変など特殊な疾患の治療においても高いレベルの医療を提供しています。
大学が果たすべき使命として臨床、研究、教育を三本の柱として活動しています。その中でも、私たちが、特に力を入れているのが臨床です。これは開設当初からのモットーであり、患者さん本位の診療を常に心がけています。
研究に関して臨床から、出てきた疑問を検証し、最終的にはそれを臨床にフィードバックしていくことが理想であり目標ですね。
ー講座として今後、力を入れていくことは
静岡県の東部地区は医師が不足しており、関連病院からの医師派遣の要請に十分に応えられていません。
教室員を増やして、静岡県の医療にもっと貢献できるようにしなければなりません。
診療に関してはそれぞれ三つのグループの特色を生かしながら、診療レベルをこれまで以上に上げていきたいですね。
臨床の視点を大事にして、肺線維症の治療法の開発や樹状細胞の研究をやっています。
樹状細胞は、抗原提示細胞として機能する免疫細胞です。その細胞を使い、例えば難治性の感染症である結核や、がんワクチンの開発研究をしています。
また間質性肺炎の治療にも力を入れています。膠原(こうげん)病の患者さんは間質性肺炎を合併することが多く、亡くなられる原因にもなっています。膠原病に合併した間質性肺炎については国内でも、かなりの症例数をこなし、一定の研究成果を挙げていると思っています。
特発性肺線維症は間質性肺炎の一つで、5年生存率は50〜60%、がんに匹敵するくらい予後が悪い病気です。この病気には、これまで有効性を示すエビデンスのある薬が存在しませんでした。しかし昨年、特発性肺線維症に効果がある分子標的薬が登場しました。この薬の数少ないデメリットは副作用と薬価の高さです。しかし、それを補って余りあるほどの効果が期待できます。
幸い副作用に関してはマネジメントできる範囲です。薬価は高いですが、特発性肺線維症は難病指定になっています。公費申請をすれば、費用をカバーすることも可能です。
ー教室員に望むことは
若い先生方は、みなさんとても勉強をしています。しかし、実際に担当する患者さんは教科書通りに対応できないケースがほとんどです。そういう時に自分の頭で、しっかりと診断、治療を選択できるような医師になってほしいですね。
私自身、研修医時代に指導していただいた先生方から、とても多くのことを学ばせてもらいました。
最近、患者さんの顔を見ず、コンピューターのモニターのみを見て診察する医師が少なからずいるそうです。私はそんな医師にはなってほしくありません。
あくまでも患者さんの立場での医療を、心がけてほしいですね。
充実の指導体制
ー卒後教育センター長を務めていますね
はい。今年7月に開設し、センター長を務めています。
初期研修、専門医研修を境目なくサポートできる体制が整いました。これで2018年度をめどにスタートする新専門医制度への対応にも万全です。
当院の研修プログラムの特徴は「たすきがけで幅広い研修ができる」ことです。大学病院と市中の臨床研修病院で、それぞれ1年間ずつ研修することが可能です。
医師になったばかりの最初の2年間は、とても大切な時期です。さまざまな指導医のもとで、異なった環境で研修を受けることは、とても有意義な経験になるのではないでしょうか。
「自由度が高い、自分に合ったプログラムを作成できる」ことも特徴です。たすきがけする臨床研修病院にも多くの選択肢があるし、大学病院と市中の臨床研修病院で研修する時期もさまざまな組み合わせが可能です。また自由選択の期間には希望する診療科を重点的に研修することもできます。研修期間途中でも変更可能で、研修をしてみて興味がある診療科があれば、そこから選択もできます。
当院には、各領域の専門医・指導医の資格を持った医師が多数在籍しています。卒後教育センターと各科の指導医が協力しあって、きめ細かなサポートをします。また、それぞれの臨床研修病院にも経験豊富な指導医が在籍していて充実した指導体制が整っています。
初期研修の問い合わせ
【初期研修支援係】
syoki@hama-med.ac.jp
TEL:053-435-2865/FAX:053-435-2866
専門研修の問い合わせ
【専門研修支援係】
senmon@hama-med.ac.jp
TEL:053-435-2490/FAX:053-435-2866
浜松医科大学医学部附属病院
静岡県浜松市東区半田山1丁目20番1号
TEL:053-435-2111(代表)
http://www.hama-med.ac.jp