医療法人 和陽会 まび記念病院 村上 和春 理事長

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面で支える医療で町おこし

京都府立福知山高校卒業 1977 岡山大学医学部卒業、同第三内科入局 1984 カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学 2008むらかみ&とくながクリニック院長 2009 医療法人 和陽会理事長2010 医療法人 和陽会 まび記念病院 むらかみクリニック理事長■日本内科学会認定医 日本糖尿病学会専門医

 2008年、13人のメンバーで「むらかみクリニック」を開設。2010年、新たに開院した「まび記念病院」では、220人の職員と共に地域医療に取り組む医療法人和陽会・村上和春理事長に話を聞いた。

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3~4階の回廊式病棟にある中庭

ー真備地区で唯一の一般病院ですね。

 真備町に一般病院は当院しかありませんので、地域の中核病院としての役割を果たさなければいけません。子どもから高齢者まで幅広い層に、満遍なく医療を提供することを心掛けてきました。ロゴマークの「&(あんど)」には、「つながり・融合・安堵(あんど)」という意味があります。地域の皆さんに信頼される病院として、何かあった時、ここにくれば外来でも、入院でも、在宅でも、施設でも、すべてが当法人で受け入れられるような体制を整えていきたいですね。

 2015年11月、真備町内に開設したサービス付き高齢者向け住宅「あんど箭田(やた)」では、24時間365日職員が常駐し自宅に近い環境で見守り(安否確認)や生活相談などのサービスを提供しています。内科クリニックも併設していますので緊急時の対応も万全です。デイサービスもやっています。

 医療サービスをさらに充実させるために、今年9月に当院の敷地内にサ高住「あんど川辺」を新築し、その2階には「ショートステイあんど」、1階には「通所リハビリテーションあんど」、「訪問看護ステーションあんど」を開設しました。これらの施設間のつながりを生かして、面で支える地域医療の形をつくりたいと考えています。

ー「メディカルフィットネスあんど」もオープンしました。

 医療にはフィジカル(肉体的)なトレーニングも必要です。今年9月にオープンした、メディカルフィットネスあんどでは、認知症予防のための「頭のトレーニング」もできるようになっていて、誰でも1日500円で利用可能です。一人ひとりに合ったトレーニングメニューをつくり、プロが指導しています。

 私は糖尿病の専門医でもありますので、生活習慣病予防には特に力を入れています。それに付随して、例えば合併症が出た時でも対応できるように、透析の施設も造りました。造った当初、患者さんは3人だったのですが、現在は100人に増えました。

 また、「ワンコイン(500円)ドック」もやっています。岡山県では初めての試みです。これまで、8回実施しましたが、毎回60~70人の方が来られます。健診の結果は郵送するだけでは十分ではありません。医師が責任を持って説明しないといけない。ですから、肝機能、腎機能、コレステロール、血糖値などを調べた後は、私がすべて患者さんに説明し、栄養士が指導をしています。

ー「医師を志したきっかけは。

 小学4 年生のころ、祖母が旅行中に急に熱を出しました。一度病院に連れていったのですが、家に戻ったときには何も食べられないような状態でした。最寄りの国立病院に入院したのですが、もう手がつけられないような状態で、1週間後に亡くなったのです。顆粒球細胞減少症という、白血球が少なくなってしまう病気でした。おばあちゃんっ子だった私の心の中に、「医療は何もしてくれなかった」という思いがあふれ、担当医にくってかかったりもしました。当時の医療では手の施しようがなかったのでしょうが医療が進歩した今なら救うことができた。このことがきっかけで、「人を救うことができる医者になりたい」と思うようになりました。

 医師になってからの転機は2度。一つ目は3年間のアメリカ留学です。「生理学展望」という医学生向けの教科書の著者であるウィリアム・F・ギャノング医師が当時のボスでした。現在の「全人的医療」という考えに通じるもので、「人間を総合的に診る」ことを教えてもらいました。

 また、彼の中には哲学があり、その哲学という幹にたくさんの枝葉をつけるのが研究員の役割でした。そうして最終的に彼の目指す学問の流れの一端を担う。このスタイルにも大きく影響を受けたため、当院でもそれを実践していこうと思います。全職員が私の医療に対する考え方(病院理念)にのっとって枝葉をつけていき、最終的に「理事長が考える医療はこういうものだったんだなぁ」と理解してくれればうれしいですね。

 職員たちにいつも言っているのは、「院内に留まらず、おのおのが地域包括システムの中の一員にならなければならない」ということ。自分の仕事がこの地域にとってどういう位置づけのものなのか、周囲にどう働きかければいいのかを考えてほしいと思います。

 二つ目の転機は、41歳で狭心症を起こしたこと。冠動脈のバイパス手術を受け、無事に成功しました。

 医者としての自分はもう終わった、復帰はできないと思っていたので、退院してまた戻ってこられたという喜びから、岡山駅のホームに降り立った瞬間、涙が出ました。それ以来、「自分と同じような人をつくってはいけない」という思いから、生活習慣病予防に力を入れるようになりました。

ーこの地域が抱える課題と今後の目標は。

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 今月( 10月)から、総社市の医療法人弘友会の理事長を兼務することになりました。老健施設、有料老人ホーム、グループホーム、有床診療所などを有する法人です。この地域には一人暮らしや、経済的な事情などで医療も介護も十分に受けられない高齢者がたくさんいらっしゃいます。そうした方たちのために、在宅医療で何らかの手助けができないかと思っています。

 試みとして始めたのは、「安心ネット」。介護施設やサ高住の入所者の血圧、脈拍、体温、酸素飽和度などの数値をモニター上で確認できたり、数値に異常があった場合にはアラームで知らせたりできるシステムです。このシステムがあれば、すぐに各施設と連絡を取ることができ、処置することができます。そうした遠隔治療を各施設に配備したいですね。

 今まで、介護の面では不十分なところもありましたが、弘友会との連携によって、今後はさらに総合的な地域医療を目指していきたいと思います。

医療法人 和陽会 まび記念病院
岡山県倉敷市真備町川辺2000番地1
TEL:086-698-2248(代表)
http://mkh.or.jp/


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