高知大学医学部 放射線医学講座 山上 卓士 教授

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4月にIVRセンター開設より低侵襲な治療を

東大寺学園高校卒業 1991 京都府立医科大学卒業 同研修医 1993 朝日大学歯学部附属村上記念病院1995 愛知県がんセンター放射線診断部 1998 京都府立医科大学放射線医学講座大学院入学 2001 医学博士取得 京都府立医科大学放射線医学講座助手 2003 同大学院医学研究科放射線診断治療学講座講師 2005オレゴンヘルスサイエンス大学略学 2013 広島大学大学院医歯薬保健学研究院放射線診断学講座准教授 2014 高知大学医学部放射線医学講座教授 2016 同附属病院画像下治療(IVR)センター センター長兼任

 高知大学医学部放射線医学講座は1980(昭和55)年に開講。教室員2人からスタートし、現在50人以上が在籍している。

 4代目教授の山上卓士教授に教室の特徴や4月1日に開設したIVRセンターについて聞いた。

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学生時代はヨット部に所属していた山上教授。長らくやっていなかったが、せっかく大きな太平洋に面した高知に来たので再開したいと考えているそうだ

三つの分野をバランスよく

 放射線科には画像診断、IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)、放射線治療の三つの分野があります。それぞれの分野にディビジョン・チーフがいて分野間で密な交流をしつつ、バランスの取れた診療をしています。

 当院のPETセンターではサイクロトロンシステムを導入。最先端の画像診断を提供し、高知県のPET診断を先導している状況です。

 また放射線治療では新しい放射線増感剤を用いたKORTUCという治療で国内外から注目を浴びています。

IVRセンター開設

 4月1日にIVRセンターを開設しました。IVRとは、血管造影・CT・超音波などの画像誘導下に経皮的にカテーテルを挿入したり、病変まで針を刺したりして治療する低侵襲な医療です。

 ここでは、小児から高齢者まで、頭部、心臓以外のすべての臓器を診ます。対象となる疾患は、がん、脈管疾患、炎症性疾患、、血管腫・血管奇形、救急など多岐に渡ります。

 高知県は全国的にみても高齢化が進んでいる県です。高齢者に負担が少ないIVR治療のニーズは今後もますます高まると考えています。

画像ガイド下凍結療法

 IVRセンターでは2011年に保険適用された腎腫瘍に対する画像ガイド下凍結療法に力を入れています。

 この治療法は、まず患者さんの体表に2~3mmの小さな針穴を開けます。そこからCT画像などを見ながら、腫瘍に凍結療法用の針を刺し、腫瘍を冷凍・凝固させた後、壊死させます。

 治療後の再発は、ほとんど見られず、仮に再発したとしても、多くの場合、再治療をすることで根治します。また正常な腎臓は温存されるので、腎機能への影響が少なく、腎機能が衰えている方も治療可能です。

 この治療法ができる施設は全国でも少なく、四国では、当センターのみです。

段階を踏んだ成長が可能

 放射線治療専門医、放射線診断専門医になるには、2段階のステップを、踏む必要があります。

 まず放射線科専門医を取得。その後、学会認定研修施設での専門研修を受け、放射線治療専門医、放射線診断専門医いずれかを取得するシステムです。

 段階を踏んでステップアップしていくので、自分に適した進路を選択することが可能ではないでしょうか。

ICTを駆使

 高知県は放射線医師が不足しています。放射線科医がまったくいない地域もあります。

 放射線診断は、ICT(情報通信技術)を利用しやすい分野です。ICTを駆使し放射線診断医がいない病院とネットワークをつなぐ取り組みを計画中です。

 現在、教室員全員にiPadを支給しています。救急時には、病院内で撮影された画像を見て家や外出先でも迅速に診断。それを救急医にフィードバックできるシステムを導入しています。

留学の重要性

 私は、これまで京都府立医科大学、、愛知県がんセンター、広島大学などで経験を積んできました。それぞれの施設のいいところを吸収し、自らの糧にしてきたと思っています。人脈もできましたたので教室員の希望があれば積極的に国内、海外問わず、留学に送り出したいと思っています。

 私は、2005年にIVR治療のメッカと呼ばれるオレゴンヘルスサイエンス大学に留学しました。とても刺激になりましたし著名な先生方とも交流することができました。若い先生にもそういった機会を与えたいですね。

人こそが財産

 教室運営におけるモットーは「人は城、人は石垣」です。人こそが財産だと思っています。教室員が働きやすい環境を提供し、その人が持つ能力を最大限に発揮してもらうことに力を注いでいます。トップダウンではなく、ボトムアップ。教室員が、意見を言いやすい風通しの良い環境づくりを心がけています。

女性医師が働きやすい環境

 放射線科は女性医師が多い診療科で、私たちの教室も半分以上が女性です。子育てをしながら働けるようにフレックスタイム制を導入するなど、育児をしながらでも無理なく働ける環境を整備しています。女性医師の登用に真っ先に取り組んでいる診療科の一つだと思いますし、私たちも力を入れて環境整備をしています。また、育児休業中でも、基本的な知識が習得できるような研修システムも用意しています。

世界トップを目指してほしい

 若い医師にとって、短期的な目標はもちろん大事だと思います。しかし、それだけではなく漠然とでもいいので長期的な大きな目標を持ってもらいたいですね。

 放射線科は、他の科に比べると比較的歴史の浅い科です。頑張り次第で、世界トップクラスになれる可能性が高い科とも言えます。一度、自分がこの道に進もうと決めたのならば世界トップを目指してもらいたいですね。

高知大学医学部附属病院
高知県南国市岡豊町小蓮185番地1
TEL:088-866-5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp


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