大阪府立成人病センター 左近 賢人 病院長

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国際医療貢献の推進とがん患者サービスの向上

大阪府立三国丘高校卒業 1976 大阪大学卒業 大阪大学医学部附属病院研修医 1981 Vanderbilt大学医学部研究員(research associate) 1983 Harvard大学New England Deaconess 病院 Cancer Research Institute研究員(research associate) 1999 大阪大学病態制御外科学助教授 2006 西宮市立中央病院病院長  2013 大阪府立成人病センター病院長

 1959(昭和34)年、国内初の成人病センターとして設立以来、がんと循環器疾患医療を中心に診療を続けてきた大阪府立成人病センター。2017年3月、「大阪国際がんセンター」として、新築移転を予定している。同センターの左近賢人病院長に、話を聞いた。

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ー開設から57年間、「がんと循環器疾患の制圧」を目標に取り組んでこられました。

 当センターでは、1977(昭和52)年に、国内初となる骨髄移植を、1981(同56)年にはPIC(経皮的冠動脈形成術)を実施しました。2006年、「特定機能病院」に認定され、翌年には、「都道府県がん診療連携拠点病院」の認定を受けました。現在は病院・研究所・がん予防情報センターの三つが一丸となり、先進的な診断・治療法を開発・提供するとともに、より安全な医療を心がけています。

 病院では、難治性がんを中心とする高度先進医療を推進。がん治療成績は国内トップレベルです。研究所では「がん細胞バンク」など先端技術を用いたがんの診断と治療法の開発に取り組んでいるところです。がん登録事業を実施しているがん予防情報センターでは登録データの分析とがん対策への活用、がん予防・検診推進に向けた取り組みを実施しています。

 がんによる年間入院患者数は西日本で1位となる7170人(2014年)。中でも食道がん・膵がん・頭頸部がん・骨軟部肉腫といった、難治がん・希少がんには特に注力しています。内視鏡治療の症例数は食道がん・胃がん・大腸がんにおいて全国2〜4位。こうした現状からも当センターは地域にとどまらず、全国、そして世界へ向けて発信する医療施設としての役割を担っていると思います。

 また4年前からHCU(高度治療室)を設置し、紹介された患者さんの「がん救急」を受け入れる体制を整え、「クイックイン外来」も実施するようになりました。他の医療機関からの紹介患者に対して、必要な検査を可能な限り初診日に行い、一刻も早く診断・治療方針を決定して入院治療につなげるものです。従来は入院予約までに何度も来院する必要がありましたが、このシステムを導入したことで、待ち日数が短縮でき、初診から約2週間で入院治療ができるようになりました。

ー2017年3月、大阪国際がんセンターとして生まれ変わりますね。

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2017年3月に新築移転が予定されている「大阪国際がんセンター」(イメージ)

 「国際がんセンター」という名前を聞くと、一般の方は、一部の富裕層をターゲットとした「メディカルツーリズム」をイメージされるかもしれませんが、決してそうではありません。当センターの責務は、外国人医療従事者や研究者との人材交流と、交流大学病院などからの患者さんに、高度先進医療を提供することです。こうした国際医療交流を推進するために、今年5月には、タイのタマサート大学、6月にはバングラデシュのイーストウエストメディカルカレッジ&ホスピタルといった海外の基幹医療施設と協定を締結しました。

 これまでも、ヨーロッパやアジアの大学に医師を派遣し、内視鏡の実技指導などをしてきましたが、診療科レベルのものでしたので、今後は交流協定を結び病院全体で本格的に取り組んでいきます。

 敷地内には、大阪初の「重粒子線がん治療センター」も設置されます。運営は医療法人協和会で、新病院の開院から約1 年後にスタートする予定です。大阪城のすぐそばで、アクセスも良いので患者さんにとっても利用しやすい施設になるのではないでしょうか。

 これからも、国内において最先端医療を確立すること、そして、それを世界へ発信する施設であることが、当院の使命だと考えています。

 また、海外から患者さんや医療者を受け入れるという状況を利用して、患者サービスを国際レベルに向上させたいと思います。

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 現在では医療の進歩によって、がんは慢性病となりました。がん患者さんは長期間にわたって、がんの不安やがん治療による肉体的ストレスと向き合わなければならない。こうした患者さんが抱える"がんストレス"に、われわれ医療者が介入せざるを得ない状況にあります。これまでは主に治療成績(根治治療+合併症予防)の向上が求められてきましたが、今は、それに加えて、がんストレスの軽減が求められるようになりました。

 一方、診療報酬制度による医療収益の統制、非効率な病院業務などによって赤字傾向の強い公的病院においては、患者サービスの向上は非常に難しい。しかし、これからは患者さんの満足を目標に、国や医療者が考える「患者視点」ではなく、患者さんとその家族が考える「患者視点」で、病院の機能を再構築していかなければいけません。

 新病院では、すべての病室を現行の1.5倍の広さに設計、患者さんのプライバシーに配慮した個室、特別室を準備。アメニティーも充実させました。

 さらに、入院によって「隔離される」というイメージを払拭(ふっしょく)することも重要な課題です。患者さんが外へ出たり、院外の人が中に入ってきたりすることで、入院中であっても世間とつながる環境をつくるということを目標にしました。そのためには、一般の人が病気でなくても来たくなる病院にしなければいけません。そこで、院内のレストランでは、上質な料理とサービスをコンセプトに、一般客も受け入れますし、病院の1階に造る200人収容のホールでは、一流の音楽やお笑いのライブなどを提供できる場として、一般に開放します。

 他にも、がん患者さんの交流ハウスをつくったり、がん患者の就労支援、アピアランスケア支援(外見問題の解決)などの患者サポートなども予定しています。外部の企業や機関とも連携しながら発展させていきたいと考えています。

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター
大阪市東成区中道1丁目3番3号
TEL:06-6972-1181(代表)
http://www.mc.pref.osaka.jp/


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