医療法人 寿仁会 沖縄セントラル病院 大仲 良一 理事長

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"Only One"の精神で沖縄の医療に尽力

沖縄県立糸満高校卒業 1955 日本大学教養学部修了1963 久留米大学医学部卒業 1968 同部大学院卒業1973 沖縄中央脳神経外科院長 1978 沖縄キリスト教短期大学理事 沖縄セントラル病院病院長

 沖縄が、本土復帰した翌年の1973(昭和48)年、県内の医療事業が劣悪な状態の中、沖縄中央脳神経外科(病床数35床)として開設した現沖縄セントラル病院。43年間「Only One」を目指し、まい進してきた大仲良一理事長に話を聞いた。

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ー医療スタッフが少ない中での開設には、ご苦労もあったのでは。

 当時は、医師や看護師を確保するためにタクシーを借り切って九州を回ったり、全国の大学に手紙を出したりして医師を募りました。しかし、どこも人材が足りない状態で、台湾まで医師を探しに行ったりしながら、5年目にして、ようやく現在の沖縄セントラル病院の体制に整えることができたのです。

 当院の設立目的である「ひたすら病める人々のために」を実現するために、他院ではできない医療の提供、すなわち「Only One」の医療を目指してやってきました。

 私は脳神経外科が専門なのですが、当時の沖縄は脳腫瘍などの手術をするための設備がまだ何もない時代でした。そこで、MRI(核磁気共鳴画像法)・MRA(磁気共鳴血管造影)といった検査を導入して交通事故や労災などで搬送されてくる患者さんの開頭手術を手掛けました。しかし、手術後に後遺症を残す患者さんもいました。まだ「リハビリテーション」という言葉さえなく、県内の公的な病院にもそうした施設のない時代のことです。

 1978(昭和53)年に北九州リハビリテーション学院から一人のPT(理学療法士)に来てもらって、リハビリテーション部門を開設。現在は、公的病院から私立病院へ医師や検査技師などを派遣して教育することがほとんどですが、当時は当院から県立病院へPTを派遣して教育をするという体制でした。

 私が開業したころは、医師が足りなかったので、自院の診療をしながら、隣接する現看護大学境内にあった救急センターの手伝いもしていました。

ー「高気圧酸素療法装置」「ガンマナイフ」の導入も沖縄初だったとか。

 高気圧酸素療法装置は減圧症(潜水病)治療が目的の医療器具ですが、近年では、突発性難聴、めまい、糖尿病による壊死(えし)、腰部脊椎間狭窄(きょうさく)症などの治療にも使われるようになりました。保険適用にもなりますので、多くの方に知っていただきたいですね。

 2002年にガンマナイフセンターを導入してからは、開頭手術でしか対応できなかった、脳腫瘍や脳血管障害にも低侵襲な治療ができるようになりました。2012年には最先端機器「ガンマナイフ・パーフェクション」を導入。他院では処置できない患者さんも数多くご紹介いただき、症例数はすでに2千数百例になります。

ー健康管理センターの開設も早かったそうですね。

 今でこそ健診の重要性が認知されてきましたが、昔はそうではなかった。しかし、当院では、「健やかなる人々のさらなる健康増進のために」という理念に基づき、1990年にTHP(トータル・ヘルス・プロモーションプラン)を導入し2003年にメディカルフィットネスセンターを併設。

 2004年には健康管理センターを開設しました。沖縄県は健康寿命で全国1位、2位という時代もありましたが、2010〜2014年の5年間の調査(栗盛須雅子聖徳大学看護学部教)によると、女性は46位、男性は47位に落ちてしまった。この状況を改善するには幼いころから食生活を改善し、運動不足を解消するしかありません。

 そのために構築しようとしているのが、幼少期・青年期・高齢期にわたる「三世代参加型健診」のしくみです。

 これは、各学校で実施されている現行の健診に加え、さらに精密に血液や運動機能についても検査をするというもの。高知県の一部で実施されているようですが、まだ全国的には普及していない。今後は、県内の教育機関と連携しながら推進していきたいですね。

ー国連認定NPO「AMDA(アジア医師連絡協議会)」の沖縄支部長ですね。

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 30年以上属しているロータリークラブに、今から20数年前、WHOからポリオ撲滅への協力依頼がありました。そこで、インドへ現状調査に行くことにした私は、インド北部のデリーから南端のトリバンドラムまで1カ月かけてポリオの現状を調査。その結果をWHOに報告したところ、それをもとにポリオの予防接種ができる体制を構築することになりました。

 当時のインドには20万人ほどのポリオ患者がいたので、定期的にインドに渡り診療を続けました。後遺症で歩けなくなった患者さんを受け入れたこともあります。自転車のタイヤを使って自作した車いすに座って、那覇空港に降り立った姿をみて「これじゃいかん」と約半年間、綿密な治療計画のもとリハビリテーションを行いました。

 つえをついて帰国した彼の姿がインドで反響を呼び、私の名前をつけた奨学金制度ができたほどです。これまでに4人がその奨学金で医師になっています。

 その後も世界中で国際支援活動を続けているうちに、AMDAの菅波茂・前理事長と知り合い、沖縄支部設立のきっかけとなりました。今後も、自然災害時の支援活動、エイズやポリオなどに関する保健活動を継続していきたいと考えています。

認定特定非営利活動法人AMDA(アムダ)とは
1984年の設立以来、「困った時はお互い様」という相互扶助精神のもと、「救える命があれば、どこへでも」をモットーに、紛争・災害・貧困に苦しむ人々への保健医療支援を柱とする国際人道支援活動をアジア・アフリカ・東欧・中南米56カ国で実施している。

AMDA公式ホームページより一部抜粋

医療法人 寿仁会沖縄セントラル病院
沖縄県那覇市与儀1丁目26番地6
TEL:098-854-5511(代表)
http://www.central.jyujinkai.or.jp/


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